33.怪現象の謎が解けました
サイエスから戻る前に、スマートフォンのアラームを設定していた。7時間後に鳴るようにだ。
砂糖・塩・胡椒で商談を進めているからね。数日くれとは言ったけど、納品は早いにこした事はない。商談はスピードが命!
「ちょっと業務用スーパーと100円ショップに行ってくるわ」
「何しに?」
「商業ギルドで砂糖・塩・胡椒の取引があるから」
「OK! いってら」
グッと親指を立てて送り出す妹。本当に金の事になるとテンションが上がるんだね。
今度から心の中では守銭奴と呼ぼう。
アイテムボックスがあるから一気に買い込んでも重たくないんだけど、外で使う訳にはいかないからお買い物用のコロコロカートを持っていくか。
折り畳み式の万能カート。買い物が多い時に重宝してます。
徒歩5分のところに100円ショップと業務スーパーがある。
本当便利な場所に家を買って良かったよ。中古だけど。
100円ショップで大きな布袋と直径10センチくらいの陶器の壺とを購入。勿論蓋つき。
そのまま鞄を通じてアイテムボックスへin。
業務スーパーで塩と砂糖と胡椒を購入。5キロで大体500円くらいと格安だ。
胡椒は高かったけど。サイエスで売りさばけは10倍以上は元が取れるので良しとする。
合計21キロの荷物をコロコロカートでヨタヨタ歩きながら家に戻った。
裏口のドアを閉めた瞬間、コロコロカートの中に入っている塩・胡椒・砂糖をアイテムボックスに収納した。
5分の距離でも死ぬかと思ったわ。重すぎる!! 子供を抱えて歩くお母さんの大変さが、少しだけ分かった気がする。
「ただいま……。疲れたよ」
「たかだか5分の距離じゃん。何言ってんの」
と鼻で笑われた。
「留美生も、やってみたら? 私の気持ちが分かるよ!」
「嫌だ。面倒臭い」
即答か! まあ、予想の範囲内の回答だ。
「これから袋に詰めていくから、作業の邪魔しないでね」
「はいはい」
「サクラのご飯がまだだったから、あげてくれる? あげすぎは厳禁だからね」
と釘をさしておく。守るかどうかは不安が残るが、時間が押しているので作業に専念せねば。
100円ショップで買ってきた布袋(大)を広げて、袋が着いた状態で10kg入るか確認する。
ちゃんと入るのを確認してから、袋の封を切って流し入れる。繰り返すこと8回。砂糖と塩はこれでOKだ。
後は、胡椒を壺に移し替えるだけ。壺の蓋を開けてサラサラと胡椒を流し込む、時々粉が飛んでくしゃみが出そうになった。
これは、マスクをして行った方が良さそうだ。
壺の蓋が閉まるギリギリのところまで入れて完成。少し余ったけど、今度に持ち越せば良いだろう。
アイテムボックスに仕舞い、う~んと背伸びをする。
マックマウスのテーマソングが流れ出した。
「もう、そんな時間か。留美生、サイエスに出発するよ」
返事がない。作業でも没頭しているんだろうか。
取り敢えず、私は商談があるし留美生は置いて行こう。
メモをテーブルに残し、サイエスへと戻った。
サイエスでは、丸一日経った時間だった。時刻は夕方の16時。今日は宿で寝て、明日朝一で商談するか。
一応予定を伝えるべく、スマートフォンを取出しアドレスの愚妹をタップする。
数秒のコール音の後、罵倒された。
「何で置いていくのよ、馬鹿! 声掛けてくれても良いじゃん」
「声掛けたのに無視したのは、お前じゃん。明日、商談があるからサイエスで泊っていくわ」
「は? 私もそっちに行くから帰ってこい」
無茶苦茶な事を言い出したぞ。
「無理<キリ>!」
「ドケチッ」
ケチも何も、仕事なんだから仕方がない。金を稼げって言ったのはお前なのに、本当何言ってんだコイツは。
「私も行くもん」
「いや、無理くね?」
「さっき行けたんだから、行けるはず!」
そう言って一方的にガチャ切りされた。
どうやって来るつもりなのかと思っていたら、本当に来たよ!
自宅の扉が現れたと思ったら、留美生が飛び出してきた。
これには、姉ちゃん驚いた。
「……これちゃった」
「……来ちゃったね」
先程検証した時と何が違うんだろうと、2人で検証を始めた結果、判明したのが私がサイエスに居る状態なら契約されている留美生も玄関の扉をくぐって来られると言う事だ。
Oh……なんて適当な仕様なんだ。あの自称糞神、ずぼらも良いところじゃないか。
留美生が自由にサイエスと地球を行き来出来るのは、私が軸になっているから。
私がサイエスに居ないときは、当然彼女も行けないということになる。
謎の解明が出来てすっきりしたけど、釈然としない。
本当この世界を作った神は、ずぼら過ぎると物申したい!
妹を契約出来てしまっている時点で、適当だとは思っていたけどね!




