32.想定外の事態です
割り当てられた部屋に留美生を押し込み、内鍵を閉めて腰に手を置いて仁王立ちしながら詰問開始。
「何でアンタがサイエスに居るの?」
「玄関から外に出たらサイエスに繋がってた。そりゃあ、もう大変だったんだから!!」
と、ほざいた。
キングホーネットとの闘いやこの街に至る経緯と愚痴を延々と零す屑をどうしてくれようか。
入所で問題起こすし、本当一掃のこと魔物と共に駆逐されれば良いと思うよ。
「はぁ、無事に合流出来たから良かった物の、そうじゃなかったらどうしてたのよ」
「それよりも一旦家に帰って物を引き取りに行きたい。あと私もマジックボックス取得したいんだけど出来る?」
私の質問に答えろ糞婆と内心毒吐きつつ、相手にするのも面倒になり適当に答えた。
「出来ると思うよ。今から取得しようか!」
「ステータスオープン」
---------STATUS---------
名前:ルミナ[山田留美生]
種族:人族
レベル:47
年齢:18歳[35歳]
体力:156→163
魔力:263→271
筋力:91→99
防御:78→84
知能:123→130
速度:53→59
運 :70→98
■装備:青のフリルAラインワンピース・ミュール・ミュンミュンのショルダーバッグ
■スキル:料理4・射撃5・神聖魔法1・神官1・生活魔法1・索敵1[5]・隠蔽2[7]・隠密[7]・魔力操作1・念話1
■ギフト:なし[アイテムボックス共有化]
■称 号:[レンの従魔]・蜂殺し
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■ボーナスポイント:18647pt]
ステータスを確認したら共有化してた!!
「えっ!? 共有化って事は私も使えるって事だよね?」
「そうだね、てか私も今気づいたよ。」
嬉しそうに確認する留美生に気圧される。
ビックリしたわ。共有化なんて本気で嫌なだけど。凹むわ。
「ちょっと試しにこっちで仕留めた獲物のドロップアイテム入れてみるわ」
バックの中から財布とサングラス4つ、サバイバルナイフとハンマー。
ちょっ、物騒過ぎないか妹よ。
お前、それで普通に買い物とか行こうとしてたのかよ。
どこのキチ●イだよ!! お前の行く先が、謎過ぎて怖いわ。
最後にエコバックをどんっとベッドの上に置き、戦利品をポンポンアイテムボックスに突っ込んでいく。
留美生が狩ってドロップされたのが以下の通りだ。
ウルフの毛皮×21
ワーウルフの毛皮×5
キラービーの羽×31枚
キングホーネットの腕×3本
キングホーネットの羽×2枚
毒針×1個
黄色の魔石(小)×22個
青い魔石(小)×13個
紫の魔石(中)×1個
緑の魔石(大)×1個
キングホーネットの心臓1個
金貨29枚・銀貨12枚・銅貨81枚・青銅貨103枚
……姉ちゃん、何も言えない。私より運悪くないか?
紫と緑の魔石なんて初めて見たんだけど!!
魔石の色や大きさによって買取金額が変わるのは知っているけど、紫と緑は青い魔石よりも高く買い取って貰えるのだろうか?
二人してアイテムボックスを確認し、スクロールもそれぞれ出来るようだ。
「花令、バッチリOKだったよー。家に帰ろう!!」
一旦、家に戻るか。取敢えず目的の1つは達成したし、塩などを購入するために買い出しに行かないといけないからね。
でも、行き成り現れて迷惑かけて即帰ろう宣言にはなんかこう腹が立つ。
留美生ブチブチ文句を言う私を宥めすかして自宅へ帰宅した。
「たっだいまー」
返事が返ってくることはないのは分かっているけど、言っちゃうのが習慣なんだよね。
リビングに入ると、色んな物が散乱していた。
まさかとは思い留美生の部屋を開けると汚部屋だった!
「この馬鹿!! 部屋を汚すんじゃねぇ! 部屋の汚さは、心の醜さだ! 綺麗に掃除しろ。このスカポンタン」
ゲシゲシと留美生の尻を蹴り飛ばし、散らかっていた部屋を掃除する。
ニャルカリから届いた商品を見つけ少し機嫌が回復した。待ち続けたんだよね。
コートが欲しくて探してたら、8000円とお値段も手頃でカーチのブランド!
新品とか高くて手に入らないけど、クーポンとポイント使ってGETしたよ。
ルンルン気分でコートをアイテムボックスの中に収納する。
アイテムボックスが共有化できるとなると、自分の物と留美生の物、サイエスでのドロップアイテムでカテゴリーを分けておく必要がある。
カテゴリー訳出来るかなぁと、思い弄ってみたら出来ました。
優秀ですね、アイテムボックス。
「花令、補充用の玉とか充電機や日用品とか買ってあるからアイテムボックスに入れてって。冷蔵庫にあるご飯もチンして入れてね」
留美生の指示に、へいへいと答えながらポンポンアイテムボックスに放り込んでいく。
留美生が自室に戻り、私はアイテムボックスの整理をして一息吐いていた。
「今回も結構な量だったから疲れたよ。お腹減ったし何か頂戴」
ご飯、ご飯とご飯を連呼する私に、ウェストポーチとタガーケースを渡された。
これはもしかして私のか! おお、小洒落てて良いじゃん。
サイエスでも違和感がないので使える。ナイスだ妹!
時短と称して手抜き料理を出されました。留美生曰く、サッパリ美味しいヘルシーなネバネバ丼に油揚げの味噌汁とスモークサーモンだそうだ。
「用意出来たけどって、そのウェストポーチ私のなんだけど!!」
「良いじゃん。これ私、欲しい。くれ!」
「嫌に決まってんだろーがっ! そんなに欲しいなら自分で作りな!」
ウェストポーチが剥ぎ取られた! そして、装着し小銭入れとスタンガン・化粧道具一式を詰めている。
「自分で作れないからアンタが作ったのを貰うんじゃん」
生産系スキルは調合だけだし。これも無理矢理取らされたやつ。私は取りたいとは思ったことないからね!
鍛冶スキルや細工スキル取っても、留美生のように作れる自信はない。
だって、センス皆無だもの。
「アンタの分も作ってやるから我慢しろよ。形とか要望も聞くし、それで良いでしょ!?」
妥協案を提案され、
「やったー! 宜しくね! 出来れば早めに作ってね!」
と催促しておいた。
「それよりご飯にしよう。冷めるよ」
腹減りMAXだよとご飯を催促したら、留美生も着席した。
「「頂きます。」」
ご飯を食べながら情報交換をする。報・連・相は大事だよね。
「そう言えば留美生から届いたメッセージに返信したけど、その後にシカトするってどういう事?」
連絡寄越せって言うからメールしたのに、シカトは酷いと睨んだら困った顔をされた。
「すまない、サイコさんの通知が鬱陶しくてメッセージに気付かなかった!ごめんね。」
また、何か変な奴に絡まれていたYO!!
昔からトラブルメーカーなだけあって、本当色々と迷惑をしょい込んでくるけど、こっちにとばっちり食らうのは頂けない。
「スマホの意味ないよね!? 何のための連絡機能だと思ってんの!? 使えないじゃん。」
取り敢えず、これだけは言っておかなくてはと物申せば、解せないと顔に書かれていた。
「これからはスマホに伝言残しといて。私が後で確認するから!」
連絡手段は、以降メールではなく電話になった。私の場合、即留守電に切り替わるけどね。気付くか不安だ。
ご飯も食べ終え、一通り掃除も終わり、荷物もアイテムボックスに収納出来たので、今回の現象を確かめることにした。
まず、留美生に玄関のドアを開けて外に出て貰ったが何も起こらない。
見慣れた近所の光景だ。
一旦、家の中に戻り今度は私が玄関のドアを開けたらセブールの宿で取った部屋に繋がった。
留美生単独でサイエスに来れたのは偶然なのだろうか?
何か法則でもあるんだろうか?
この不思議体験に2人して困惑した。
掃除が終わった留美生の部屋に入ると、タガーケースが置かれていた。
アイテムボックスから万能包丁を取出し、入れてみるとサイズもバッチリだ。
これは、私の為に作ってくれたんだな!
一応、メールで作ってねってお願いしてたし、私のものだ。
ウキウキとタガーケースを装備していると、
「いやぁぁあー! それ、私のなのにぃい」
と獣じみた悲鳴が聞こえたが無視だ。
お前がメール読まなかったのが悪いのだよ。




