２８．昇級試験
地図が良い仕事をしてくれています、現在進行形で。
留美生と共有化出来れば、土地勘のない留美生も大丈夫！
スマートフォンの地図アプリを使えば問題ないけど、この世界ではオーバーテクノロジーになるので自重させないといけない。
道に迷うことなく冒険者ギルドへ到着しました。本当に地図様様だ。
始まりの町も大きいと思ったけど、セブールの冒険者ギルドはそれ以上に大きい。
例えるなら駅前のスーパーと高嶋屋くらい違う！
ギルド内を回るだけでも、一日では終わらなさそう。
多分ギルドで働く人の宿舎にもなっているんだろうな。
カウンターを見て、空いてそうなところに並ぶ。
やっぱり、ここでも美人な受付さんのところは行列が出来ている。
おっさんやフツメン嬢は、人の列が少ないのは何処のギルドでも同じみたいだ。
「次の方どうぞ」
「すみません。始まりの町のギルドマスターから昇級試験を受けるように来ました」
レオなんちゃらって人だったと思う。
「紹介状をお願いします」
紹介状を渡すときに鑑定したら、レオンハルトの紹介状と出た。
そうそう、レオンハルトだった。興味ない人の名前を覚える気はない＜キリ☆彡＞
留美生が居たら、覚えられないの間違いだろうと突っ込まれていたに違いない。
「レオンハルト様からの紹介状ですね。分かりました。昇級試験は、地下で行います。この札を部屋の入口のものに見せて下さい」
Ｃランク試験と書かれた札を渡された。
「あの、旅の途中で契約した子がいるのでギルドカードに登録できますか？」
「貴女は、テイマーだったんですね。可能ですよ。契約された魔物は、連れてきてますか？」
「はい、この子達です」
鞄から出てきたサクラと蛇ちゃんズ。慣れているのか悲鳴は上がらなかったが、少し驚いた顔をされた。
ヒールスライム（いつの間にか進化してた）と地球産の蛇だもんね。
「ギルドカードをお願いします」
ギルドカードを渡すと、魔法具の上に置かれて何かカタカタとキーボードを打つような音が聞こえた。
「はい、登録終わりました」
「ありがとう御座います」
「そのスライム、ヒールスライムですよね？ 警戒心が強くて見た人は幸運を運ぶって言われているくらいレアなんですよ。契約出来るなんて凄いですね」
手がうずうずしてますよ、お姉さん。触りたいんですね。分かります。うちの子可愛いですから。
「触ってみますか？」
「良いんですか？」
「はい、どうぞ」
＜サクラ、お姉さんに触らせてあげて＞
＜いいよ～＞
念話で触らせてねとお願いしておく。この子、幸運値だけはずば抜けて高いからなぁ。
触ってご利益あるんだろうか？
赤白ちゃんと紅白ちゃんは、私の鞄の中に戻って寛いでいる。
恍惚とした顔でサクラを撫でまくる受付嬢。そろそろ返しておくれ。
「あの、そろそろ良いですか？」
「はっ！ すみません、つい触り心地が良くて」
うん、サクラちゃんのぷるぷるは私も虜です。親近感が沸くわ。
「昇級試験頑張って下さい」
「はい！」
サクラを回収して、指定された場所へと階段を下りていく。広い。デカ過ぎるでしょう！
いくつか部屋があった。札に書かれた番号の部屋を探すこと５分。見つけた！
入口に立っているおっさんに声を掛ける。
「昇級試験受けに来ました」
「札を出せ」
「はい」
札と私の顔を交互に眺め、蔑む目で一瞥され顎でしゃくり中に入れの仕草をされた。
何か偉そう。というか、反りが合わなさそう。完全に下に見られている。
こっそり鑑定してみたら、以下がおっさんのステータスだ。
---------ＳＴＡＴＵＳ---------
名前：ギリオン
種族：人族
レベル：３１
年齢：３５歳
体力：１３３
魔力：９１
筋力：２８１（＋１０）
防御：１９５（＋１３）
知能：８２
速度：７７
運 ：１４１
■装備：麻のシャツ・パンツ・靴・ブルーオーグの胸当て・鉄剣（普）
■スキル：剣術３・索敵１・隠密２・生活魔法１・手加減
■ギフト：剣豪
■称号：なし
■加護：なし
■ボーナスポイント：１１８，０３１ｐｔ
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私と同い年かよ!! 剣豪というスキルがあるのに、それを全く生かせてない。
レベルは、私より低い。ただし、筋力と防御力は私より上だ。
（）は装備した武器や防具が上乗せされて数字化されているみたいだ。
スキルに手加減があるのは驚いた。私も手加減覚えた方が良いよね。
文字通り必殺だからなー、私の攻撃。
「獲物は？」
銃は流石に色んな意味で不味いので、
「剣です」
と答えたら、隅に並んでいる剣を投げ渡された。
鑑定したら刃は潰されているけど、危ないじゃないか。
サッと避けて回避する。ガシャンと鈍い音がした。
「ちゃんと受け取れ」
「投げずに渡せば良かったのでは？」
「なんだと！」
ギリオンっておっさん、本当面倒臭い。正論で逆切れって糞だろう。
「試験は、俺に一撃与えること。魔法の使用も可能だ。どちらか気絶もしくは、死亡した場合のみ試験が終了になる」
死亡って物騒過ぎじゃないか！？
「試合の放棄宣言をすれば中止にならないんですか？」
「は？ そんな生ぬるい方法で冒険者が務まると思ってんのか。ああ!?」
喧嘩売られてます。大きな声を出せばビビると思ってる奴ほど弱いんだよね。
「命あっての物種って言葉知らないんですか？ 見るからに学がなさそうですもんねぇ～。大声で喚く、品のない人を何でギルド員なのか不思議ですぅ」
私は、売られた喧嘩は買う主義だ。全力で叩き潰してやる。
「貴方の獲物は何ですか？」
「お前と同じ剣だよ」
ポンポンと鉄剣を叩いている。真剣かよ！ こっちは刃を潰された物を渡されたのに。
こいつ、昇級試験受けに来た奴を潰すためにいる面倒臭い奴だ。
こんな腐った奴もギルド員になれるなんて大手らしいわ。
「なら、私も愛剣で勝負しないと。初めて使う獲物は、使い勝手が分かりませんし、何より不公平ですよね？」
文句を言ったら、苦い顔をして模擬用の剣に変えた。言わなかったら、絶対真剣で切りかかってきたに違いない。
鞄を部屋の隅に置き、中央でおっさんと向かい合う。
「構えろ」
授業で習った剣道の構えをすると、おっさんも剣を構える。
掛け声もなしに、いきなり切りかかて来た。幾ら刃が潰れていても、一撃を受けたら絶対痛いし、暫く動けなくなる。
不意打ち上等なおっさんの行動に、堪忍袋の緒がぶち切れた。
隠密を発動させ土魔法と水魔法を使って足元を泥濘を作り動きを阻害する。
一瞬身体が揺れたのを好機と捉え、思いっきり手首をぶん殴る。
おっさん、無様に模擬剣が落とした。そのまま、横っ面を左右殴って気絶させる。
所要時間３分。カップラーメンが作れるぜ。
鑑定したら両腕骨折・脳震盪・気絶と出ている。
念のため、ヒールを掛けてあげた私は優しい。
隅に置いていた鞄を回収し、受付カウンターに戻った。
「すみません。昇級試験で、試験官を気絶させたんですけど。どうしたら良いですか？」
「え？」
「いや、だから試験官が気絶か死亡じゃないと試験終了にならないって言うから気絶させました」
再度同じことを言ったら、受付があわただしくなった。
こういう時は、嫌な予感しかしないんだよなぁ。
