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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
アトラマント帝国 ロッド領
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196.チビ共を連れて強化ピクニック


 配給の力は偉大なり。

 町民達は割と元気になった。

 初日と二日目は粥だったのに、三日目くらいから肉を食える奴が出てきた。

 赤ちゃんも元気に泣くし、良きことかな。

 社務所で紅唐白(べにとうきよ)を膝に置きながら鑑定&治癒をしてお仕事に励んでいるよ!

 でも、ずっと座りっぱなしはキツイのですよ。

 留美生(るみな)が、町民把握のために住民票を作っていると聞き顔を出した。

「町民の住民票は作っているし、各個人の畑の大きさも確認中と…」

 書面とペンを持ちながらブツブツと念仏のように呟いている。

留美生(るみな)、お前が書類仕事って珍しいな」

 声を掛けられたら、ギロッと睨まれた。

「仕事の邪魔をしに来たんちゃうからな!! 聞きたい事があんねん」

 建物の設計などの書類が溜まっているから不機嫌なのか。

 でも、最終決裁は私に回ってくるのでもう少ししたら私も地獄かな。

「何や? あんたは簡易神社で治癒と紅唐白(べにとうきよ)ちゃんと一緒に座ってるだけやろ。仕事はどうした!?」

「や、そうやねんけどな…アンタが勝手に集めた子供等はどうするん?」

 一々私の行動を監視するのは止めれ、妹よ。

 大体、お前が勝手に拾ってきたガキ共はどうするのか聞かないことにはダメだろう。

 孤児院建てるにしても金が要るし、維持費も馬鹿にならない。

 今の状況を見ても孤児院は無理だ。

 当分は私が購入した自宅に住まわせるしかないだろう。

 その辺りどう考えているのか知りたいから声を掛けたのに、サボッてると思われるのは心外だ。

「諜報部員として育てるで。今は書類が山のようにあって動けんし、姉よワウルを連れてガキ共を特訓してや。中には韋駄天や流言などのユニークスキルを持っている奴がいるからな」

「え~面倒臭い」

 同行者がワウルというだけでも、根性なしの五月蠅いおっさんを引率させるのが心底嫌だ。

 その上、ガキ共のお守もするとなると面倒臭いことこの上ない。

 即答でお断りしたら、抱っこ紐を見せられた。

「これ欲しくないか?」

「抱っこ紐貰っても重いだけやん」

 既に抱っこ紐は持ってるし、紅唐白(べにとうきよ)の重さが私の腰をダイレクトアタックしているんだ。

 今は腰痛と肩コリに悩まされているけどな!

「普通はやろ。これの作成者私やで? 私だって好き好んで腹に重し付ける趣味はないわ」

「もしかして重力無効とかのスキル付与されてるん?」

 重さを感じない抱っこ紐……欲しい!

 腰痛と肩コリとおさらば出来るなら是非とも喉から手が出るほど欲しい代物だ。

「せやで。本当は抱っこ癖付くのも…って思ってたけど、まだ赤ちゃんやしな。で、どうするん?」

「やる! だから抱っこ紐クレ!」

 手を出すと、ペシッと叩かれた。

 何だよ、くれないのかよ。

「じゃあ、ガキ共の教育任せるわ。出来れば隠密のスキルを取得して欲しいな。レベルは150を目指してくれ。ガキ共はリオンの直属の隠密部隊にするからな。あと、直属になる時は魂の誓約させるさかい」

 宣誓魔法で縛るとか鬼の所業だな。

 まあ、レベル上げには協力するか。

 精々、諜報部隊くらいにはなってくれればリオンの役に立てるだろう。

 戦況も動かしやすいし。

 ただ、ワウル2号や3号が出来上がって欲しくはない。

 腰抜けの根性なしは要らん。

 抱っこ紐を押し付けられ、襟を掴まれペイッと執務室から放り出された。

「一応、私姉やのに何であんなに扱いが雑なんや。糞ババア」

 暴言を吐いて、紅唐白(べにとうきよ)を一度床に下ろし、抱っこ紐を装着してから紅唐白(べにとうきよ)を収めてその場を去った。

 私の暴言は留美生(るみな)に届いていたようで、その晩はサイエス飯にされた。



 留美生(るみな)が集めたガキ共を拠点(仮)に集合させ、ワウルは強制参加の強化ハイキングを行うことになった。

 鑑定で適性を見て、伸びしろがありそうなスキルから伸ばすことにした。

 勿論、肉調達ではなく戦闘訓練なので失敗作の処分も出来て一石二鳥。

 前衛と後衛に分けて、武器を渡していく。

「よし、ガキんちょ共。これから軽くロッソ山中腹までハイキングに行くで! お手本見せるから、ちゃんと指示通りに動きや。指示を無視したら即ご臨終やからな~」

 殿を務めながらバッサバッサと向かってくる魔物(モンスター)を切り捨て、心臓(コア)と魔石を回収していく。

「ドロップ品もちゃんと回収するんやで」

「いきなりロッソ山は鬼っす」

「ああん? お前、自分の部下が出来るんやから先輩として戦い方を見せたれ」

 ゲシッとワウルの背中を蹴り飛ばし、魔物(モンスター)の群れの中に投下した。

 ギャーッと悲鳴が聞こえるが、ギリギリのところで避けたり帯刀していた剣で応戦している。

 ガキ共は私の結界の中にいる。

「あの…私達もあれに参加するんですか?」

「ん? 最終的には多数対1で倒せるようになるまでやるで。初っ端からは、そこまで求めてへんから安心し」

 そう宣言したら絶望的な顔をされた。

 あちらこちらで僕らは死ぬんだとか不吉なことを言い始めた。

「最初は避け方から覚えようか」

 手頃な魔物(モンスター)を死なない程度にボコボコにして薬漬けにして動きを鈍らせたところにガキ共を投入。

 瀕死に近い状態で動きは鈍っているが、一撃でも食らったら即死亡に直結する。

 まあ、死なせたら怒られるので死ぬ前に回復は掛けてやるつもりでいるが。

「ほれほれ、サクサク避けんと死ぬで。相手の動きをよく見て! そいつは、動きは鈍いが腕力が強いから一撃食らったらバルハラ行になるからな! それが嫌なら、あそこでギャーギャー喚いているおっさんみたいに避けつつ攻撃せい」

 腹を括った者から瀕死の魔物(モンスター)に向かっていく。

 戦闘が終わる頃には、瀕死が多数と重軽傷が少数になった。

 エリアヒールで回復させ、それを繰り返し行う。

 ワウルには慈悲のない鬼と言われたが、鉄拳制裁を加えて黙らせた。

 夕飯が出来る前にはちゃんと村に戻ってきたよ。

 夕飯食いっぱぐれるのは嫌だしね。

 一日で常識を壊された彼等が、軽く散歩=魔物(モンスター)狩りという誤った認識を受け付けていたなどと私は知る由もなかった。

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