193.配給してます
ゲルド経由で村長に人員確保をお願いしたら、村全員が集まりました!
しかし、骨と皮で役に立ちそうもありません。
満足に食事も出来ず、水も飲めずなら仕方がないかもしれない。
「よし、先ずは食事と水分補給からやな! 碌なもん食べてへんやろうから、最初は粥から始めって2日目には様子見つつ固形食へ移行。順調に食事が出来たら1週間後から働いて貰うで」
「え? でも、お金が……」
食費の心配しているのか。
ざっと見て百人足らずの人間の水と食料くらい何とかなる。
手をひらひらさせて、金の心配は無用と言ってやった。
「要らん要らん。今回の仕事は身体が基本や。今にもくたばりそうな身体で働いて、身体を壊したら元も子もあらへんやん。1週間は賃金発生せんからな。仕事だと思って飯は食え。お残しは許さん。以上」
「おお……ありがとう。ありがとう御座います」
何か拝まれ始めたんだが?
どこの教主だよ。
「これも太陽神のお導きやからな。困っとる人を助けんかったら、私がお天道様に叱られるわ。困った人が居たら助けたり。後、感謝するなら私をここに連れてきた殿下にし。殿下が、この国を憂いてお戻りにならんかったら私はここにおらん」
さり気なく太陽信仰を吹き込みつつ、功績をリオンに擦り付けた。
そしたら、リオンに向かって拝み始める。
何か言いたそうな顔をしていたが知らね。
「飲み水は配るから1日飲める分だけの入れ物を持ってき。神社が建つ当面は、水は配給したる。後、余力がある人の中で調理できる人は留美生について行って粥作りや。作る前にCleaningで身体を綺麗にしてや。まずは、これを飲んでからな」
粉ポカリを寸胴に入れて水で溶かしたものをお玉で掬ってコップに入れて手渡す。
「これは?」
「栄養ドリンク」
身体に必要な成分が入った万能ドリンクだ。
上手いか不味いかと言われると、人にもよるんじゃなかろうか。
因みに私は、ポカリ派ではなくアクエリ派である。
味が若干違うんだよなぁ。
後、値段が安い!
主婦の見方だよね。
不思議な飲み物に吃驚している人が多数、口に合わなかったのか顔を顰める人が少数。
無言で飲み続ける人が大多数。
コップ一杯のポカリも直ぐになくなったよ!
「じゃあ、調理が出来て動けそうな人は留美生のところへ行って。その他の人は、水を配給するから入れ物持っといで~」
私の言葉に従う村人たち。
素直なのは良いことだ。
ポカリのお蔭で少しマシになったかな?
各家庭から水瓶を運んでくるので、手押し車を貸してあげた。
空の水瓶を運ぶのにもヨタヨタしていたから、ついね。
手押し車に感動すらしている人が居たよ。
留美生に粥の用意をして貰い、私は水魔法で作った真水を配給していく。
「水魔法の水って飲めるんですか?」
心配そうに聞いてくる村人に、私は作り出した水の一部を取出して飲んだ。
「ただの真水やから問題ないで。神社が建ったら雨ごいして雨を降らすから干ばつとはおさらばや! 太陽神の神の使いがおるからな」
私の肩に居座る紅唐白を撫でつつ言ったら、また拝まれた。
何か言うたびに拝むのは止めて欲しいな。
時間をかけて水を配給していたら、丁度留美生から粥が出来たと連絡が入ったので、一旦水の配給を止めた。
「粥が出来たから、まずは飯を食ってから水の配給を続けるで。飯の時に飲み水が欲しければ、そこにある寸胴に入っているから勝手に注いで飲みや」
酌はせんと言い残し、5列に並ばせて粥の配給を開始した。
横入りやマナーの悪い奴は、全員説教&最後尾に並ばせた。
だって慈善事業じゃないからね!
「お代わりは沢山あるけど、腹いっぱい食べたらしんどくなるから少しお腹が空くかなくらいで止めときや」
忠告はしたが守る奴はいないだろう。
忠告を無視する奴は、腹痛を起こすが良い。
水の配給も終わり、何やかんやしている内に、あっという間に夜になった。




