190.きな臭いことになってます
ブクマ500人突破!
ありがとう御座います(*'ω'*)
そろそろ地名や登場人物の整理をしないとと思うのですが、読み返すのに時間が掛ってしまい手つかずです。
近いうちに整理しますので、今しばらくお待ちくださいませ。
留美生に、元大衆食堂と土地を買ったことを報告したら手直しが必要か見てくるとイスパハンを連れて出て行った。
私は念話でアンナとコンタクトを取った。
<アンナ、今ちょっと良えか?>
<レン様、大丈夫ですよ。どうされましたか?>
<今、帝国入りしたんやけど物資が足りんから融通出来んかと思って>
<商談ですね>
<うん、今どこにおる?>
<ミスト領で指揮を執ってます。ルテゥの執務室にいますよ>
<OK。じゃあ、今から行くわ>
念話を切って、ルテゥの自宅の鍵を取出してサクッと移動した。
瞬間移動の魔法はないのに、こうして自宅にした建物の行き来が簡単に出来るのは楽だ。
この使い方をされるとは、アーラマンユも予想していなかっただろう。
ざまぁみろである。
執務室を訪ねると、アンナの他に見慣れない人が2人いた。
「レン様、お久しぶりです」
「久しぶり。そっちの2人は雇ったん?」
「ええ、私の秘書をして貰っています」
ボインちゃんとペチャパイちゃんか。
どっちも甲乙つけがたい可愛い子ちゃんだ。
「王都のダンジョンとシジェリダンのダンジョン制覇されたんですね」
「相変わらず耳が早いな」
ダンジョン制覇したのは、本当についこの間のことなのに。
アンナの情報網はどこから来るのだろう。
「今回はCremaとの商談で間違いありませんか?」
「ああ、私は既に退職した身やしな。個人的な商談やと思ってくれて構わんで」
「物資の融通というのは、具体的にどのような物でしょうか?」
「食料と塩やな」
そう答えると、アンナはふむと考え込んでしまった。
「……では、あの噂も本当なのかもしれませんね」
「噂って何よ?」
「レン様、情報料」
ニッコリと笑みを浮かべて手を出されたので、渋々金貨1枚握らせた。
「本当商売上手になって、憎たらしいわ」
「色々とお客様に揉まれてますから。それに、会社を押し付けて行った人がいますし」
私がCremaを押し付けたことが、そんなに気に食わんかったのか。
たった1年足らずで急成長した会社だからなぁ。
やりがいもある分、大勢の社員を抱えている責任も重いだろうが、そこはガンバレとしか言わない。
「帝国が干ばつで作物が育たず疲弊してきて、ハルモニアの領土を狙って軍を進行させようとしているとか」
「干ばつは事実や。今、領土侵犯なんかしたら帝国の敗戦確定やん」
ただでさえ飢えで苦しんでいるのに、戦争なんかしたら国力が一気に削がれてリオンが王座に就いても滅亡ルート確定じゃないか。
「内戦も秒読みと商人だけでなく、冒険者の間でも噂になってますよ。ただ、アーラマンユ教会がどうも裏で手を引いているみたいで仮にハルモニアと開戦しても暫く均衡は持つと思われます」
「借款か」
つくづく要らんことをする害悪な輩共だ。
「はい。兵や武器の借款から始まり、最終的には帝国はアーラマンユ教会の手に落ちるでしょうね」
「それは不味いな。こっちの計画が台無しになる」
「最近は、神社に参拝するアーラマンユ信徒が咎められて乗り替えてくる人が多いですね」
「宗教に対する寛容さがないから、そうなるんやろう。まあ、うちんところの神様は寛大やしな。それで話は戻るけど、物資の融通は可能か?」
「出来る限りは融通しますが、恐らく帝国民全員の食料を賄うことは無理です。塩は、レン様が日本から買い付けて手配したらどうですか?」
「それは最終手段や。値崩れされたら困るしな。ジェリダン共和国のロッソ街と帝国のアウトプット町に自宅買ったから、そっちに出店するなら手を貸すで」
「帝国はともかく、ジェリダンは魅力的ですね。この国で消費しきれない食物を売るということでどうでしょうか?」
「良えよ。後、ジェリダンで食料の買い付けも頼みたい。仲介料は払うし」
「畏まりました。食料の輸送ルートは、パンジーに依頼すれば良いですか?」
「うん、それで良えよ。クロエ夫人に渡り付けといてくれん。これは、心づけってことで」
ダンジョンから出た宝石が付いた宝箱を取出した。
小ぶりで指輪やネックレスが収まるものだ。
「これは……素晴らしいものですね。細工は古めかしい感じですが、あしらわれている宝石は良質ですね」
「王様との中継ぎしたいねん。こっちは、王様へ献上する用」
王都のダンジョンで回収された解毒付与されたネックレス。
正直私達が持っていても意味がないものである。
「今回、帝国に行った件で何かお考えがあるんですね」
「まあ、そんなところ。当面の物資のお金な」
白金貨10枚をテーブルの上に置いた。
「分かりました。クロエ様に連絡を取ってみます。恐らく、クロエ様から面会の依頼が来ると思います。その時は、連絡差し上げます」
「おおきに。じゃあ、忙しいところ邪魔したな」
冷めたコーヒーを啜り、私は席を立った。
「物資の件も準備が出来次第、パンジーに渡します」
ヒラヒラと手を振って執務室を後にした。
その足で、さっさとアウトプットの宿に戻ったのだった。




