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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ジェリダン共和国
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177.誘惑に負けました

 留美生(るみな)の膝の上には、地竜の赤ちゃんが乗っかっている。

 アルビノのようで、体は真っ白で綺麗なのだが…名前が、酷かった!

 契約(テイム)時には、名前が出汁巻き卵になっていた。

 名前を変更しようとしても、こればかりは出来なかった。

 留美生(るみな)も、何とか別の名前で呼びかけてみるが無反応を貫いた。

 そして一番気に食わないのが、留美生(るみな)を母親だと思っているところだ!

「出汁巻き卵、美味しいか?」

 牛乳でシナシナになったコーンフレークをスプーンで掬って食べさせている。

 留美生(るみな)以外からは、絶対に食べない。

 私が契約(テイム)したのにぃ!!!

 恨みがましくジト目で留美生(るみな)を見ていたら、

紅唐白(べにとうきよ)ちゃんが、怒ってるで」

と言われ、慌てて紅唐白(べにとうきよ)を構った。

 天照大御神から貰った壺の中身もそろそろ無くなりそうなので、離乳食に移っても良いかもしれない。

 出汁巻き卵が牛乳ひたひたのコンフレークを食べているから、留美生(るみな)に作らせよう。

「姉、来月の雛祭りの準備するように王都と公爵んとこに連絡せんと! 一応、雛祭りの専用お守りは作ってあるねんけど、アンナに連絡した方が良えかな?」

「う~ん、てかイベント多すぎひん? この間だって豆撒きに初午大祭はつうまたいさい、バレンタインしたんやろぉ」

 私を通さずに勝手にイベントしくさって、今更私の了解を取る必要あるのか?

 思わず眉間に皺が寄ってしまった。

「でも経済が回るで? それにマーライオンの凌ぎを削れて一石二鳥やん」

 そう言われると、確かに悪い話ではない。

 アーラマンユの信仰力を削ぎ落すのは願ったり叶ったりだ。

 ついでも金儲けも出来れば、ダメ出しする理由はない。

「分かったわ。あんたからアンナの携帯に連絡して指示出しといてーな」

 私は知らん。

 やりたければ、勝手にしてくれ。

 ギルドから迷宮攻略を期待されているし、催促される前にサクッと攻略する必要がある。

「OKやで。てか、一応こっちのメンバーでも雛祭りしとく? ちょっと豪華にちらし寿司と、お菓子にひなあられ、ひなゼリー、飲み物はひなカクテルの酒作るで!」

 別にしなくても良いと言おうとしたところで、

「それ良いですね! 食べてみたいです♪」

 レナがシュパっと手を挙げた。

「その心は?」

 私が続きを促すと、

「ひなカクテルが気になります。お菓子も食べたいので」

と照れながら食を熱く語りだした。

「俺はちらし寿司とやらに興味がある」

 ハンスはまだ見ぬちらし寿司に夢を見ているようだ。

「私はひなゼリーかしらね」

 ヘレンの言に他のメンバーも自分の食べたい物などを上げて行く。

 こうなるとダメとは言い出せない雰囲気だ。

「分かった。手配は、留美生(るみな)がしろよ」

「何で私!?」

「言い出しっぺだから」

 面倒臭いのは御免だ。

 折角、書類仕事から逃亡して自由の身になったのに定時帰宅できるくらいの仕事しかしたくないでござる。

 しかし、どうして私達のメンバーは食い意地が張っているのだろう。

 そりゃ、サイエスのご飯は不味いよ。

 その反動で旨い飯が食えた事で、食の探求に目覚めたのだろうか。

 絶対妹の影響だな。

「じゃあ、アンナに雛祭りの連絡入れとくから、お守りはフォルダに仕舞っときや」

「はいはい。てかこれからどうすんの? ワウルは帝国でプロパガンダと仲間集めしてるし、ゲルドのおっさんには優秀な軍師探せってお願いしたし、資金もそれなりにあるやん?防具完成したら乗り込むんか?」

「アンナの所のと、うちらもロッソ迷宮攻略やな」

「うち、ロッソ山に地下迷路攻略したで。あそこ改造して人が住めるように出来へんかな?」

 私の知らぬ間に勝手に攻略していた!!

 面倒くさいことになったぞ。

 冒険者ギルドに報告しなきゃならなくなったじゃないか。

「あんたいつ攻略したんやっ!!? てかドロップアイテムは!?」

「あんたが私の杖を強奪しようとした時や。私とクインテットたちで一掃したわ。ドロップアイテムは渡さへんよ。てか、自由時間に討伐したんやし、私等の戦利品をどう使うかは口出しせんといてーや! 姉ちゃんは、団体行動したドロップ品を持って行ってるんやし!」

「チームワークを何やと思ってんねん! 大体、ドロップ品は共有財産じゃ。私が1人で行動して狩った魔物(モンスター)のドロップ品も共有しているんやで」

「これやるわ。これで大人しくせい」

 留美生(るみな)は、アイテムバックから幻の酒【竜瓶(りゅうがめ)】を取り出した。

 値段もさることながら、生産が少なく手に入らない代物……飲みたい。

 いや、でも……それをすると留美生(るみな)の暴挙を容認してしまうことに……。

 ふら~ふら~と酒瓶を目の前で振られて、無意識のうちにパシッと酒瓶を掴んでいた。

「流石、留美生(るみな)! 愛してるー」

 欲望に負けた私は、酒瓶にキスをしまくった。

 アンナが、ここに居なくて良かった。

 独り占めして晩酌を楽しめる!!

 最近、お酒を買う暇もなくて飲めなかったから嬉しすぎるサプライズだった。

 まずは、パーティを組んで迷宮攻略だ!

 迷宮内の地図や敵の情報、ドロップ品などの情報を冒険者ギルドに売るのもありかもしれない。

 良い金儲けが出来そうだ。

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