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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ミスト領
166/295

163.千葉の工場を視察しに行きます

 安月給で馬車馬の如く働かされている花令(かれん)です。

 色々と手を回していたお蔭で、何とか街も機能してきました。

 面接地獄も終わり、やっと一息吐けると思ったらパンジーから地球の基礎化粧品セットの在庫が切れるという連絡が入り、急遽基礎化粧品セットを量産するためにリポビタンDとMPポーションを片手に頑張りました。

 徹夜で作れるだけ作って寝た。

 複製(コピー)を作るのにもMPを消費するので、徹夜すれば在庫不足なんて直ぐに解消される。

 留美生(るみな)も同じ状況下だったので、翌日アンナから休暇と称して2人して日本に送り返される。

 地球で3日間の休みを貰った。

 サイエスで言えば約1日ほどである。

 そこら辺きっちり管理しているアンナに、もう少し休みをくれよと直談判したが、鼻で嗤われて終わった。

 逆に休暇を減らすとまで言われたので、渋々その言葉を受けれた。

 初日は、2人して爆睡し丸1日を潰した。

 翌日は、ディゼニーへ行って千葉の社宅兼工場のお忍び視察をした。

 ディゼニーは、35周年のガーデンファイナルという事でファイナル限定商品を買い漁ってきた。

 シー限定キャラクターの新作グッズもゲットしましたよ!

 留美生(るみな)は、幼女で戦記な映画に行ってグッズを買っていた。

 私の分もお願いと、頼んでおいたら結構な値段を後から請求された。

 1着2万円するジャケットとか、無いわー。

 でも、恰好良かったから良いけど。

 生地は厚手だが、寒がりの私からすると春先にならないと着れない代物だった。

 アンナからは、何でそんな安物にお金を費やすのか分からないと言われた。

 会社を立ち上げてから殆ど使ってないから、お金は溜まる一方なのだ。

 欲しいものくらい買っても良いじゃんと思う。

 ディゼニーグッズも会社の経費で落としているので、複製(コピー)をした物を貰うという悲しい現実が待っている。

 留美生(るみな)が量産して複製品を売る機会を待っている。

 今は、拡張空間ホームにあるCrema(クリマ)フォルダーに収納されているがな。

 休日なのに仕事している私って……。

 はぁ、考えると空しくなった。

 買い物で日頃の鬱憤を発散しまくって、近くのトイレでスーツに着替えて仕事モードに切り替える。

 留美生(るみな)はディゼニーへ遊びに来たついでに保養所を利用する社員という名目で視察することになっているが、あいつが真面目に視察するとは思えないのでクインテットにお願いして各フロアを見て貰うことにした。

 私は正面から堂々と乗り込みますよ?

 千葉の工場にやってきました。

 元廃病院だったのに綺麗に整備されていたので、高級ホテルのように見えました。

 八代社長は、良い仕事をしてくれた。

 エントランスにいた受付嬢に、社員証を呈示したら美人受付嬢は卒なく対応してくれました。

「山田社長、お久しぶりです。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「覚えられていましたか。今日は、抜き打ち視察です」

「人の顔と名前を覚えるのが特技ですから」

 フフフと綺麗な笑みを貰った。

 一芸に秀でた人を集め捲ったからなぁ~。

 受付嬢と所長秘書は、暗記力のある人を雇った覚えがある。

 面接の時に1度だけしか会ってないのに、凄い記憶力だと思う。

「仕事はどうですか? 困った事などありませんか?」

「皆さんが良くしてくれてますし、お給料も福利厚生も良いので満足しています」

 花丸な回答を頂きました。

 まあ、経営者に聞かれたら本心でなくてもそう答えるわな。

 この後、彼女と同僚が残された時に本心をサクラに盗み聞きして貰おう。

「所長をお呼び致します」

「お願いします」

 内線で所長に抜き打ち視察の話を伝えたら、すっ飛んで来ました。

「社長、来られるなら前もって言って下さい!!」

 38歳で千葉支店の所長というポストに就いている女性社員こと、藤原穂乃果(ふじわらほのか)

 既婚だが、バリバリのキャリアウーマンでもある。

 夫と1歳になる子供が1人いるお母さんだ。

 夫のリストラで社員寮を追い出され、路頭に迷いかけていたところを私が拾った。

 経営手腕ではなく、管理能力に長けていたので、その場で採用を申し渡した人物である。

 夫の方は社員としては凡人なので、思い切って穂乃果自身が働きに出て夫は主夫をして貰えば良くないかと面接の時に提案したら、それが功を成したのか夫婦円満になったらしい。

 基本給は20万円だが、役職手当・残業手当・子供手当・歩合などを含めたら手取りで平均70万円くらいは貰っている。

 羨ましい……。

「それをしたら抜き打ちにならないじゃないですか」

「こちらも都合があるので、次からは私にだけは前もって教えて下さい」

 ハァ、と大きな溜息を貰ってしまった。

「次からは、そうします。今日は、私も副社長も保養所のホテルを使うので宜しく」

「一応予約制なんですが」

「空き部屋がある事は端末から確認しているから大丈夫でしょう」

「そういう問題ではありません」

 米神を押さえながら、私達の我がままに彼女は肩を竦めた。

「一応、本社勤務の社員が新商品のアクセサリーなどの視察に来たという事にしてくれる?」

「分かりました」

「忙しい中ごめんなさいね」

 私の謝罪に、苦笑いで返された。

「社長が奔放だと、秘書のアンナさんが大変ですね」

「それが、秘書の役割だから」

 そのアンナに、休み返上して視察を命じられているけどね!!

「では、参りましょう」

 ホテル階から順番に見て回る。

 清掃もしっかりされており、皆楽しそうに働いていた。

 デザイナーは、色々とアイディアを出して生産ラインに試作品を作って貰っている。

 服やアクセサリー、鞄、小物とデザインされた物だけでも数万点もある。

 実際にデザインをしているところも見せて貰ったり、生産ラインも見せて貰ったりした。

 一通り見終わり、応接室に通されお茶を飲む。

「皆勤勉だね。何か困った事とかないかな?」

「今のままでも充実してますが、強いて言うのであれば保育所があればと思います。後、病院が遠いので医者が常駐して下さる保育所が望ましいです」

「言うね。確かに、言われてみると保育所があればお母さんも気兼ねなく預けられるし、医者が居れば安心して仕事に精が出せる。保育所の件は検討させて貰うよ。他にはないかな?」

「他の会社と比べて福利厚生もしっかりしていますし、残業もありませんので文句の付けようがないです」

「ありがとう。デザイナーのデザイン画は参考になった。デザイン画をデータ化して、クラウドに保存して下さい。副社長がチェックして、問題なければ商品化します。ネット販売のみですが、名前が売れ出したら出店も考えてます。デザイナーの皆さんには期待してますとお伝え下さい」

「畏まりました」

「では、そろそろホテルの方に行って寛いできます。明日には、帰りますので見送りは不要です。いつも通り働いて下さい」

 ここから先はプライベートだからね、と釘を挿したら本日2度目の苦笑いをされた。

 エレベーター前まで見送られ、やっと仕事から解放された私は当てがわれた部屋で覆面観察をしていたクインテットから社内の報告を聞いたのだった。

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