155紅唐白おこです
慌ただしい1日だった。
今日食べたのは、朝食とスコーンのみ。
スコーンも遅い昼食にすらならない間食程度の物。
ミスト公爵の旧館に戻ると、見慣れない重機があった。
夕食を丁度食べ終わったくらいの時に戻ってきたようだ。
私達の分は、残念ながら残っていなかった。
「リオン、留美生の姿が見えへんのやけど」
「嗚呼、あいつならあんたが連れている魔物に電撃食らって気絶しているぜ」
「キヨちゃんは魔物ちゃうからな。神様にお仕えしてる神使やから。次、魔物扱いしたら天誅食らわすからな」
目を吊り上げて怒ると、リオンは気押されたのか仰け反って距離を取った。
「わ、分かった」
「分かれば宜しい。大方、留美生がベタベタしてたから雷落とされたんとちゃうん」
「いや、それもあるが……あんたが居なくなってから不機嫌になって雷落としても怒られなさそうな人間を狙って電撃を食らわせていたぞ」
呆れるような視線をリオンから頂きました。
置いてきぼり食らって拗ねた挙句、留美生が紅唐白のヘソを曲げるようなことをしたか、言ったかで気絶するくらいの電撃を食らわせたとみた。
「キヨちゃんは今どこに?」
「あそこに居る」
気絶した留美生の腹の上に堂々と寝そべっていた。
留美生は、うんうんと唸っている。
紅唐白の重さは大型犬並みだから、相当重いはず。
地味な嫌がらせをどこで覚えてきたんだか。
「キヨちゃん、置いてってごめんな」
手を差し出したら、ピシャーンッと雷を落とされた。
おこだよ!
激おこだよ!!
「キヨちゃん、母ちゃんが悪かった。機嫌直してや。な?」
プイッと顔を背けられた。
これは、相当怒ってる。
「ご飯まだやろう? まずは、ご飯食べてからキヨちゃんの言い分聞くから。な? まずは、こっちおいで」
ご飯の言葉にピクッと体が動くのを見逃さなかった。
ゆっくりと忍び足で近づき、紅唐白を抱き上げる。
グリグリと頭を平らな胸に押し付けてくる紅唐白の背中を軽く叩き、食事されていたであろう場所でテーブルと椅子を出して座る。
紅唐白のご飯が入った壺を出して、スプーンで掬って口元に持って行くと大人しく食べてくれた。
スプーンを一生懸命しゃぶる姿が、また格別に可愛い。
「レン様も食事にしましょう」
「メディションホームに留美生の作り置きご飯があるから、適当にテーブルに出してくれん?」
「分かりました」
アンナは、オムライスとポテトサラダとオニオンスープを出した。
相変わらず好きだね。
ちゃっかりケチャップも出して、絵を描いている。
絵心は私よりあるようで、某ネコ型ロボットを描いている。
一体いつ読んだのか謎である。
仕事量は私と同じくらいなのに、不思議だ。
私のは猫の絵が描かれていた。
ジプリの魔法使いの宅急便に出てくる黒ネコだ。
可愛いと言えば可愛いのだけど、それを全面に出したら紅唐白がもっと拗ねる。
「ありがとう。じゃあ、私も頂こうかな。いただきます」
両手を合わせて食べようとしたら、紅唐白に邪魔された。
スプーンを尻尾でベシッと叩き落とされ、ガシャンと音がした。
「キヨちゃん、どうしたん」
左手で紅唐白の背中を撫でつつ、再度右手にスプーンを持ち直して口に運ぼうとしたら、また尻尾で手を叩かれた。
「キヨちゃん、うちもご飯食べたいんやけど……」
ツンとそっぽ向く紅唐白に、これは夕飯返上で構い倒さないと機嫌が直らないみたいだ。
スープだけでもと思い手を伸ばしたら、ベシッと紅唐白の尻尾で叩かれる。
スープも駄目ですか、そうですか。
「アンナ、悪い。折角用意してくれたみたいやけど、キヨちゃんの機嫌が直るまで私はご飯抜きみたいや」
「構いませんよ。紅唐白様も行き成り置いてきぼりを食らって、さぞ寂しかったのでしょう。こちらの料理は、私が責任持って食べますのでお気になさらず」
置いてきぼりのところを強調している。
王都で置き去りにしたのが、相当根に持たれている。
ご飯で意趣返ししなくても良いのに……。
紅唐白にお代わりを急かされたので、新しいスプーンで掬って口元に持って行くと加えていたスプーンをペッと吐き出して新しいスプーンに食いついた。
スプーンをしゃぶっている姿は可愛いのだが、ご飯だけで機嫌を直してくれるはずもなく、1週間1日中抱っこして、お風呂に入り、一緒に寝るというベッタリ過ごした。
抱っこは腰にくるので出来れば勘弁してほしいのだが、そうでもしないと機嫌が直らなかったので致し方なし。
赤ちゃんだしね!
これからは、紅唐白を置いていくのは止めようと心に刻んだ。




