140.アベルと相対
留美生達のお蔭でアンテッドの数は激減しているが、しぶとく残っている者もいる。
刀を鞘から抜いて、鞘は拡張空間ホームに閉まっておいた。
片っ端からアンテッドを刀で切り裂き屠る。
スキルで剣術を取得しているが、本格的に居合でも習おうかな……。
剣に振り回されている感が半端ない。
身体強化しながら本丸のアベルのところへ一直線で駆ける。
近づくにつれてアンテッドの数が増える上に、手強くなっている。
「ほんま鬱陶しいな! しかも臭いし!! 居ねや」
八相の構えからの突きを繰り出す。
喉を狙って潰しているから、魔法で疎外されることもない。
まあ、無詠唱されたら意味ないんだけどね。
小手を中心に入れて武器を落とさせ、胴に刀を叩き込む。
面だと守備ががら空きになるので、守りに徹しながらチマチマとやらしく攻撃する手法を取った。
グチョッとかベチョッみたいな音がするが、気にしていたらキリがない。
向かってくる敵は排除と頭を切り替えて、蹴散らしていく。
紅唐白も援護のつもりか、雷を落としてくれるのだが、危うく私に当たりそうになった。
しかも、ちゃっかり逃げているし。
本当、君は一体誰に似たんだい。
地図を確認しながらアンテッドをサクサク倒していく。
勿論、ドロップした品はしっかり回収だ。
漸くアベルが根城にしている館に到着したのだが、これは館というよりお城だろ! 思わず突っ込みを入れてしまった。
正面突破と門を開けようとしたが錆が酷いのか中々あかない!!
時間との勝負なのに、こんなところでロスしている暇はない。
「力づくで開けたらぁあ!」
身体強化を使い門に向かって回し蹴りで門ごと破壊した。
こんな姿見られたら、誰も嫁に貰ってくれなくなる。
まあ、嫁に行く気もないので別に良いんだが。
ドゴッと蹴りを入れた部分から亀裂が入り、1人入れるくらいの穴が開いた。
その穴を潜り抜け、辺りを見渡すがアンテッドが見当たらない。
紅唐白も私の傍をふよふよ浮きながら辺りを見渡している。
城内に限定して索敵を展開すると、最上階に1番強い反応をキャッチした。
各界に障害になりそうな魔物が配置されているが、無視しよう!
1度外に出て、最上階と思わしき場所を目視で確認する。
索敵の内容と照らし合わせて間違いないことを確認した私は、靴にWing Bootsを付与して身体強化を使って思いっきりジャンプした。
窓に足を掛けてジャンプを繰り返す。
そのまま一気に最上階の部屋の窓へと辿り着いた。
下を見たらチビりそうになるので、見ないようにしている。
高所恐怖症ではないけど、2階より上だと下を見るのが怖いんだよね。
窓の縁をしっかり掴んで、窓を蹴破る。
ガシャンッと硝子の割れる音が響いた。
部屋に入る時に、割れた窓ガラスの破片で少し切ったくらいだ。
紅唐白共々、堂々と侵入したぜ。
「見ぃつ~けた~~」
ゆら~っと立ちながら、アベルを見ると何か恐れられている。
何故に?




