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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ハルモニア王国王都
132/295

130.第二弾強化合宿から帰宅しました

 第2回の強化合宿(ブートキャンプ)も無事終了した。

 どこの軍隊だと思うような規律と行動の徹底ぶり。

 本当、一体どこへ向かっているんだろうか。

 この強化合宿(ブートキャンプ)で新たなスキルを手に入れた者もいた。

 前回同様、モンスターの入れ食い状態なので捌くのが大変だった。

 事務作業もしっかり回される徹底ぶり。

 アンナ、お前は鬼だ!

 迎えを来させるのも面倒臭かったので、サイエスの自宅の鍵を取出して一瞬で帰宅という荒業に出た。

 帰りもモンスターに襲われるなんて嫌すぎる。

 お蔭で素材も溜まったし、経験値も美味しく頂いた。

 私の睡眠時間と精神力をガリガリ削った対価だね!

「ただいま~。疲れたぁ~」

 動きたくないで御座ると大広間のフロアでウンコ座りする私に対し、ニックが苦笑している。

「お疲れ様です。でも、そんな恰好していると他の面々に示しがつきませんよ」

「別に気にせんし」

 地べたに胡坐をかきながら、くるりと後ろを振り向いた。

 地獄の強化合宿(ブートキャンプ)に全員生還したことは喜ばしい。

「皆もお疲れさん。諸君、第1関門突破おめでとう。全員生還で戻って来れたのは喜ばしいことだが、まだ仮雇用やからな。次は実務の第2関門が待ってるで。これから希望の配属先と名前を紙に書いて、この箱の中に入れてや。取敢えず1週間の休暇後に各部署に配置する。必ずしも希望の場所に配置になるとは思わんといてな。適正と照らし合わせて配属するからな。では、以上。解散!」

「「「「「はい!」」」」」

 ビシッと両足を揃えて直立する彼らは、もはや軍人と言っても良いのではなかろうか。

 サーッと人が去って、私はそのままゴロンと寝ころんだ。

 紅唐白(べにとうきよ)が私のお腹に陣取っているが気にしない。

「ニックも1週間休暇な。好きな事してええで」

「レン様はどうされるんですか?」

「アンナに引継ぎして、最初に鍛えた一期生の進捗具合の確認と正規雇用有無の決済が待ってる」

 休みを取ったら取ったで仕事は溜まるし、休みを取らなかったら馬車馬のように扱き使われる。

 本当、社長に優しくないブラックな会社だよ。

「程々になさって下さいね」

 苦笑いをしながら、自分の部屋に戻るニックに恨みがましい視線を送った後、ちょっと休憩してから紅唐白(べにとうきよ)を抱っこして自分の執務室へと向かった。

<アンナ、今帰ったで~>

<聞こえてましたよ。執務室にいるので来て下さい>

<了解>

 面倒臭いなぁと思いつつも、執務室に足を運んだ。

 執務室の扉を開けて、大量の書類の山に思わず無言で閉じた。

「何現実逃避しているんですか。さっさと入室して仕事して下さい」

 バタンと扉が開き、私の腕を掴んでずりずり引きずりながら無理やり椅子に座らされた。

「行きよりも書類の数が半端ないんやけど!」

「日本とこちらの書類が溜まってますからね」

「アンナだって決裁権持ってるやん。そっちで捌いてや」

「給与分の仕事はしております」

 ノー残業だと言い切る彼女に、グヌヌヌッと何も言い返せなかった。

「これからハルモニア王国全土に神社を建て捲るんでしょう。だったら、しっかり働いて下さい」

「人参もないのに馬は動かへん。さっきまで馬車馬のように働いていた!」

 これ以上は無理と泣き言を言えば鼻で嗤われた。

「言い出しっぺが何を言っているんですか。最後までキッチリして下さい」

「もう嫌や~。強化合宿(ブートキャンプ)から帰ってきて更に仕事なんて鬼や」

「これもお銭々の為です。きちんと睡眠時間5時間は上げたじゃないですか」

 書類整理に時間が掛るのを見越しての犯行だったのか!

 やっぱりアンナは鬼だ。

 今度から銭ゲバではなく鬼婆と呼んでやる。

「今何か失礼なことでも考えましたか?」

 威圧してくるアンナに、私は冷や汗を垂らしながら胡麻化した。

「別に何も考えてへんし。さっさとこの書類の山を片付けないと」

 書類を手に取りザッと中身を流し見して、ボックスの中に入れて行く。

 重要案件、通常案件、緊急案件、クソ案件と分類していくことを覚えた。

 クソ案件は、勿論決済が下りるはずもなく却下のハンコが押されて終了。

 緊急案件は、翌日各担当者を呼んで打ち合わせをする。

 普通案件は後回しで、重要案件も緊急案件と並行して処理を行う。

 此処のところ、強化合宿(ブートキャンプ)と一緒に書類整理もしていたので新たなスキル並列思考を取得していた。

 並列思考のお蔭で書類整理も格段と早くなったが、全然嬉しくない。

 アンナがそれを見越してガンガン仕事を取ってくるので休む暇がない。

「何時になったら王都を出られるんやろう……」

「今日戻って来た面子が、実際に使い物になるように仕込んでからですね。貴族出も強化合宿(ブートキャンプ)で肩書などゴミに等しいと実感したでしょうし。バキバキに折れたプライドを再構築させるには良い手段だったと思いますよ? 脱落者が出てない事が驚きではありますが、実地で使い物にならなければクビですからね」

 私は少なからず愛着はあるのだが、この点はアンナはシビアだ。

 使い物にならないと思ったら即切る。

「まあ、強化合宿(ブートキャンプ)に耐えられたから落ちても騎士や冒険者くらにはなれるんとちゃう? 平均レベル150台やし」

 大物の入れ食いオンパレードだったからね。

 必然的にレベルが上がるし、連帯感も上がった。

「実務面では、私達が担当しますのでレン様は暫く書類仕事ですね」

「へいへい。それでどれくらい扱くん?」

「1週間くらいで基礎を叩き込みます。そこで適正判断して、どの部署にも適正なしと判断されたら解雇ですね」

 結構シビアな回答が返ってきた。

 日本だと半年の猶予があるのに、サイエスでは1週間の猶予しか貰えないとは……。

 でも、ここで下手に口を挟んだら国外行きも危うくなるので口を噤む。

「神職系の面子は揃って育ってるん?」

「そちらは留美生(るみな)様が指導してくれてますので大丈夫です」

「さよか」

 留美生(るみな)も安月給なのに馬車馬のように働かされてご愁傷様だ。

 特別手当はでないけど、これも仕事ガンバレ! と心の中で応援した。

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