126.運転免許取得してきます
アンナ班が無事運転免許証を取得出来て帰宅した。
「全員合格しました」
「一発合格おめでとう。次は、私の班やね。アンナ、キヨちゃんの面倒見てくれんか」
「何で、そこは私ちゃうん??」
意義有りと文句を言う留美生を一瞥し、
「だって、お前キヨちゃんにウザがられてるやん」
毎回雷食らってもなお紅唐白に頬擦りする馬鹿に預けるわけがないだろう。
嫌ってはっきり態度で示してるのに、何故分からないんだ。
「そんなことあらへんもん!」
「いや、今まさに嫌がられてるやん。雷落とされてるし」
キューキュー言いながら留美生から逃れようと必死になっている紅唐白を抱き上げて、ポンポンと背中を軽く叩いたら落ち着いてくれたようだ。
「キヨちゃん抱えながらは、流石に私も免許取得は無理やしな。アンナ、お世話お願いな」
「分かりました。紅唐白様、どうぞこちらへ」
アンナに渡そうとすると、キューッと鳴きながら足で服を掴んで離さない。
「キヨちゃん、服が破れるから離してや」
嫌々する紅唐白に、頭を抱える私。
絶対に離れないぞという意思が伝わる。
服が伸びるのはお構いなしに引っ張ってくれる。
「生まれたばかりですから、一緒に居た方が良いと思います。紅唐白様も嫌がってますし」
マリーの言葉に、一同頷いている。
どうするかなぁ……。
「キヨちゃんには、隠密の取得して貰って一緒に合宿をこなすしかないか」
「私が面倒見て上げるのにぃぃい」
「お前は、キヨちゃん自身が拒否ってるんやから止めとけ」
これ以上嫌われたら、特大の雷を落としかねない。
今のところ人的被害は、留美生と紅唐白にちょっかいを出した馬鹿に限るが、度を越したら物理的被害が出てしまうのは頂けない。
「キヨちゃん、大人しくしとくんやで?」
私の言葉に分かってるのか、分かってないのか、キューとひと鳴きし私の両太ももを陣取る。
抱っこして欲しいんだね。
大型犬並みの大きさだから、出来れば抱っこは遠慮したいのが本音だ。
「じゃあ、ジョン・マリー・イスパハンは私と一緒に免許合宿や。アンナ、留美生が暴走せんように見張っておいてな! 留美生、留守中に面倒臭いこと起こすなや。起こしたら、給与30%カットやからな!!」
「何でやねん!」
「トラブルメーカーが何口答えしてんねん。面倒事は起こされたら、尻ぬぐいするんのが面倒臭い」
こいつの所為で何度尻ぬぐいさせられたか分からない。
釘は刺した。
これで問題起こしたら、給与カットじゃ。
「緊急連絡はスマホにしてくれ。キャロルとルーシーは、引き続き実務頑張ってや。アンナは、庶民版の神社で私の代わりに人生相談しておいて。相談料は銀貨1枚な」
「キャロルとルーシーは分かりますが、何故私が人生相談をするんですか?」
「ステータス鑑定に来た人の中から青田刈りしようと思って始めたら、何か人生相談になってもうて……。良い人材が居たら唾つけられるし、悪くはないと思うで」
「ああ、そういう事でしたか。分かりました。やってみます」
「ありがとう。助かるわ」
この時、私はアンナが青田買いしまくりブートキャンプの日程まで組むとは予想もしていなかった。
後に、私は何であの時アンナに頼んだんだと猛烈に後悔する姿があった。




