120.パーティーの後は
王宮のパーティが終わり、サイエスの自宅へ戻ったらどっと疲れが出た。
談話室のソファーに4人でぐったりしている。
他のメンバーは、私室に引き籠り思い思いのことをしているようだ。
パーティーに置いて行った紅唐白が、私の膝の上を陣取り顔をお腹にこすり付けている。
可愛いけど、重いよ。
「パンジーお茶ちょーだい」
「あ、私も欲しいです」
スッと出された緑茶をすすり、ホッと一息吐いた。
パンジーの入れるお茶が、一番美味しいわ。
流石、メイドの中のメイド。
これから拠点も増えていくだろうし、他国にも行きたい。
今後、メイドの育成も必要になるだろう。
アンナと相談して、メイド要員を募集してみるのも良いかもしれない。
「あぁーーー疲れたわぁ。お茶が美味い! 姉ぇ、絶対王家の奴等ってば神社出来たらお忍びで来るで!?」
「あんたもそう思う?」
分かってるよ。
あの陛下のことだもの、自国に損益がないか確認しにくるくらいはするだろう。
人伝で聞くより、自身の目で確かめにくるタイプとみた。
「絶対に来るな。祭事を妨害されたら嫌やねんけど…でもお布施はがっぽり欲しいわぁ」
「それな! てか、新作何か作ったんか?」
「新作っていうか、お守りとかは作ったで! お札は流石に無理やわぁ。本職やないし!! 今は寄り合い所みないな所になっとるさかい、神社を建設して庭先とか休憩所とかでのんびりして欲しいとは思っとるよ! 桜の木を100本ほど移植したさかい、春には桜が満開になって綺麗になるでぇ!!」
こいつ、また会社の金を着服したんか!!
思わず尋問の声が低くなったよ。
「その桜の木ってどうやって用意したんやっ!! 会社の金に手着けてへんやろうな!?」
留美生の肩を鷲掴みにし、高速で前後に揺さぶった。
「ちょ、ちょっと……揺らすん止めーやっ!! 病気になって手に負えない桜の木を無料で貰ったんや! サクラちゃんのトータルヒールとリレイズで回復しているわ。元手タダなんやし別にサクラ植えても良えやろ!?」
と、文句言うなって怒鳴られた。
「また会社の金を着服したんかと思ったわ」
そう云い捨てて、ぺいっと留美生を捨てた。
「ま、それなら良えで。にしても祭事になると盛大にせえへんとアーラマンユが五月蠅くなるわぁ」
「スラム街の方でアーラマンユから嫌がらせがあるみたいやしなぁ。王家はマーライオン側に釘させへんのか?」
「宗教関係は口出し出来へんねん。暗黙の了解やろうなぁ」
宗教と王家が癒着してたら更に面倒臭いことになるが、あの陛下ならそれだけはないだろう。
アーラマンユ教を疎んでいる感じがしたもの。
感だが、お布施やら何やらで相当お金を取られているんじゃないだろうか。
国家予算の中にアーラマンユ教用の費用が割かれているのを減らすか失くしたいんだろう。
「じゃあ、Crema出資の天照大御神様の神社は対立の的やな!? まぁ、上手く立ち回れそうな人物が何人かスラムにおったさかい宮司と巫女さんに据えるけど、嫌がらせの方は姉ちゃんが何とかしてな。マーライオンの相手すんの正直メンドイし」
簡易神社が、本格的なお社になるならアーラマンユ教の相手を引き受けても良いわ。
良い嫌がらせが出来そうだ。
「良えで、あとマーライオンじゃなくてアーラマンユだからな。此処で徹底的に潰すか…」
これを足がかりにして、アーラマンユ教を徹底的に潰すのもありだな。
金持ちしか相手してない輩は敵じゃないし。
国民の8割は貧困層だ。
逆にそこを突いて良心的なお値段で治癒やポーションを提供すれば良いし、場合によっては慈善活動で無償奉仕もありだろう。
鑑定できる道具があれば、アーラマンユ教と同じ土台に立てるのになぁ。




