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社畜OLは、打倒邪神を目指す!  作者: もっけさん
ハルモニア王国王都
120/295

118.王宮の祝賀会(前編)

新年あけましておめでとう御座います。

これから神社に参拝される方も、参拝から戻って来られた方も、寒いので風邪には気を付けて下さいませ。

今年も『NOと言える底辺女の異世界道中記』を宜しくお願いします(*'ω'*)

 王宮に何とか時間内に到着したYO!

 あの糞教徒さえ来なかったら、もっと時間に余裕を持ってこれたのに!!

 馬車の乗り心地は最悪だと踏んで、ディゼニーのふわもこクッションを尻の下に引いたのは正解だった。

 結構揺れたけどね。

 揺れの少ない馬車を開発して、生産ギルドに特許申請出して量産して貰うのもありかもしれない。

 恭しく馬車の扉が開き、着物の裾をつまみ下りる。

 転ばないように注意しながら。

 物防・魔防共に+10000の防御特化の着物である。

 見たこともない恰好に、門番はギョッとしているが気にしない。

 もう慣れっこだしね。

 招待状を見せて、堂々と入ってやりましたよ。

 会場まで案内してくれるメイドさんが付いてくれたが、態度は慇懃無礼と言っていいほど冷たい。

 一介の庶民が王宮の祝賀会に招かれるなんて、貴族からしたら屈辱だものね。

 でも、それを招待客に見せたらあかんわ。

 完全アウトだ。

 私の従業員なら、再教育ものである。

 新年の祝賀会が行われているパーティー会場に入場すると、

Crema(クリマ)のレン様、ルミナ様、アンナ様、ワウル様のお着き~」

と大声で言われラッパが鳴った。

 めっちゃ五月蠅い。

 そして、むっちゃ視線が厚い。

 嫉妬、憎悪、羨望様々な感情が籠った視線が集中している。

<何かめっちゃ怖いんやけど>

<お前は、何も喋んな。無表情で黙っとけ>

 留美生(るみな)から念話が飛んできたが、サクッと来る前と同じ指示を出した。

 こいつが下手な立ち回りをして足元を掬われたら意味がない。

<アンナ、留美生(るみな)についててくれ>

<分かりました>

<アンナァ~、ありがと~>

留美生(るみな)、顔を何とかしろ>

 留美生(るみな)の傍にアンナを配置しておけば、アンナが窓口になってくれるので留美生(るみな)が多少ポカしてもフォローを入れてくれるだろう。

<ワウル、お前は情報収取に徹してや。私らの事は放置でOK。何かあったら念話してくれ>

<了解っす>

 遠巻きに私たちを見ている貴族共の顔を眺める。

 事前に暗記スキルを取得し、レベル20まで上げておいた。

 留美生(るみな)にも取得させたよ。

 ポイントも消費したけど、これでポンコツな頭でも覚えられるだろう。

 アンナが、耳元でこの国の有力貴族を教えてくれる事を頭に叩き込んでいく。

 暗記スキルが無かったら、10秒後には忘れている自信があるわ。

 遠目で眺めていた貴族の一人が近づいてきて挨拶をしてきた。

「ごきげんよう」

「ご機嫌麗しゅう。ミスト公爵夫人様。Crema(クリマ)の代表のレンと申します」

「私の事まで知っていらっしゃるのね」

「ええ、存じておりますわ。いつも化粧品を大量に購入して頂き誠にありがとう御座います」

 ミスト家の女傑で有名な公爵夫人。

 実質、この人が公爵領を運営している敏腕婦人だ。

 薬師ギルドに基礎化粧品セットをいつも爆買いすると要注意人物としてマークしていた人だ。

 転売はしないが、基礎化粧品セットを使って貴族の女子ネットワークの頂点に立つ人である。

 この人が参加するサロンは、貴族の間では一種のステータスになっている。

 私には関係ないがな!

「ふふふ、流石最年少の天才商人だけあるわね」

 何その嫌なふたつ名。

 サバ読みまくりのおばちゃんに相応しくないふたつ名です!

「恐れながら公爵夫人様、わたくしは天才ではありませんので。そのような過分な評価は不相応ですわ」

「謙遜しなくても宜しくてよ。貴女の魔法の美容薬や美髪セットは、貴族の間でも有名でしてよ」

「ありがとう御座います」

「直接取引したいものだわ」

 おお、直球で来たYO!

 でも、お断りだ。

「有難いお言葉ですが、ご期待に沿えず申し訳ございません。基礎化粧品セットも美髪セットも、商業ギルドと契約を結んで卸しております。ですので、特定の方と販売することが出来かねるのです」

「公爵家のわたくしが、直接言っても?」

「はい、契約は絶対です。誠実であれ、それが商人ですわ」

 無言で威圧してくる公爵夫人に、ニッコリと拒否をしたら、クスクスと笑われた。

「そう、それでは仕方が無いわ。諦めましょう。スラム街を買い占めて働かせているようだけど、何を作っているのかしら」

 引き際も間違えない。

 油断できない人だわ。

「基礎化粧品セットの改良や、化粧品などを作っておりますわ。Crema(クリマ)は人手が足りておりませんので、元スラムの住人達を雇用しておりますの」

「最近、Crema(クリマ)の従業員が貴族の家を回って不用品回収しているらしいけれど、それも何かあるのかしら」

 そんな事まで知っているのか。

 本当油断ならない人だな。

「ええ。不用品回収毎にスタンプを押してサインをしてますので、それが貯まれば市場に出回ってない上級の化粧品セットと交換しておりますの。これ以上は企業秘密なのでお教え出来かねますわ」

 不用品回収の目的は伏せたが、不用品を出すことでスタンプを貯めて市場に回らない上級の基礎化粧品セットの話をちらりと流したら、女性の視線が一気に集中した。

「口紅などの化粧品セットとの交換も出来るように選べますわ」

「……とても気になるわ。Crema(クリマ)で作られたものは、どれも一級品ばかりですもの。その珍しいドレスも形は不思議だけど、とても美しい洗礼されたデザインね」

「ありがとう御座います。これは、着物という民族衣装ですの。正装する時に着ますわ」

 はい、嘘です!

 正装用の着物はあるが、普段でも着てる人はいる。

 冬は着物だと寒いので着ないけど、夏は浴衣や甚平を愛用している。

 脱着が楽だからね!

「その髪に付けているものも美しいわ」

 硝子館で購入した簪だもの。1本1万円近くする。高いものだと2万円とかするものもあるしね。

 今日の着物に合わせて選んだ簪だ。

 気になっても仕方がない。

「ありがとう御座います。こちらは、簪と申しまして髪を結い留めるもので御座います」

 パーティーバッグから簪を1本取出して見せた。

「これで髪が纏まるのですか?」

 信じられないと目を見開き、簪をしげしげと眺めている。

「わたくしの髪をよく見てて下さい」

 簪を外し、纏まっていた髪が解かれる。

 公爵夫人に見えるように後ろを向いて、手ぐしで髪を纏め簪で留めた。

 一連の流れを見て、公爵夫人はほぅと溜息を吐いた。

「髪を纏めるのに、このような便利なものもあるのですね」

「はい。慣れるまでは失敗になりますが、慣れてしまえば私のようにその場でサッと髪を纏めることが出来ますわ。宜しければ、そちらをお納め下さい」

「ありがとう。頂くわ」

「今の御髪に、挿してもドレスに似合うと思いますよ」

 彼女のドレスは紫だ。

 簪は薄い紫のトンボ玉に金箔が散りばめられている。

 ゆらゆらと揺れる花びらのチャームがポイントになっている。

「それなら、私の髪に挿して頂戴な」

と簪を差し出された。

 言った手前、しないわけには行かず、簪を手に取り背伸びをしながら簪を挿した。

「皇太后アンネリー様、皇后シェリー様、エルザ陛下、アナスターシャ殿下のおな~り」

 ラッパの音と共に、主催者の登場だ。

 皆が一斉に臣下の礼をしているので、90度の礼をしてみせた。

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