117.アーラマンユ教徒にクレクレされました
王家主催パーティーに、私・アンナ・留美生・ワウルの4名が参加することになった。
留美生には、絶対口を開くな、愛想笑いもするなと厳命したよ。
ワウルは、情報収集させるために強制参加させている。
留美生に突貫で衣装を依頼したら、着物を用意された。
私は、大輪の牡丹が金色の糸で刺繍されてるものだ。
アンナは、紅から朱へグラデーションかつ椿の金刺繍が施された一品だ。
留美生は、黒に蝶を金刺繍されている。
和柄のパーティバックも、それぞれ同じ素材を使用していて綺麗だった。
ただ不満があるとすれば、
「服装はこんなんで良えかな? パーティバックはアイテムボックス型にしてあるからいくつか武器収納しても良えし! アンナの草履には小回復付与しているから靴擦れしても直ぐ回復するから痛くないようにしてあるで!」
とアンナばかりを優遇している点である。
「何で私のにも施してくれへんの!!」
と文句を言ったら、
「着慣れてる奴には不要やん。ピンヒで行くならイスハパンと一緒に作り直すけど?」
と返された。
履きなれているから草履ずれすることもないけどさ。
保険として付与してくれても良いやん。
これから精神的・肉体的に疲れる場所に乗り込むんだから、ちょっとは労わってくれよ。
文句を言ったら着物まで取り上げられそうなので黙った。
「じゃあ、各自着替えと顔を作ったらリビングに集合な!」
と言われ解散となった。
「アンナは着付けの仕方分からんと思うから、私が着付けしたるわ」
「ありがとう御座います」
襦袢を着てから、化粧に取り掛かる。
万が一、白粉が着物に付着したら困るからだ。
Cleaningを使えば問題ないんだろうが、形は大事である。
Your Tubeで磨いた化粧テクを存分に生かして、妖艶美女(笑)を作る。
アンナも薄化粧して準備が整った。
「髪も纏めようか。折角やし簪で纏めたるわ」
お宝の簪をテーブルに並べて着物に似合う簪を選んでいく。
初心者用のU簪と一本簪を選んだ。
色は浅黄色と緑葉色の硝子の簪だ。
髪をセットして、飾り簪も付けて最後に着物の着付けに入る。
アンナを着せて、私も着る。定番の太鼓帯は黒に帯紐は赤である。
帯留めが太陽を模したアンティーク調に作られた一品だ。
抗菌・防水の魔法が付与されている。
これで着物を汚すこともないだろう。
留美生から貰ったパーティーバッグに武器と招待状を入れて部屋を出たら玄関先が騒がしいことに気付いた。
「何かあったんかな?」
「行ってみましょう」
アンナと共に、転ばないように気を付けながら移動を開始する。
入口でブチ切れ気味の留美生と、喚くおっさんがいた。
丁度、マリーが傍に居たので状況を聞き出したら以下の通りだった。
私達が築いた財産を差し出し、看板商品を無償で提供しろとのことだった。
「許可なく癒しや施しを振る舞うとは何事か!! スラムには業があるのだ!それを勝手に改築するなど創造神アーラマンユ様を馬鹿にしているのか!? それに太陽神などと邪神を勝手に崇めおって許さんぞ! 大司教様もお怒りだ!」
大司教なんて知らんがな。
宗派違うし、スラムを無視してた分際で今更いちゃもん付けにくるなよ。
「あらあら困ったお人やわぁ。率直に言って何がお望みなん?」
丁寧な言葉でニコニコしているが、目が笑ってないぞ妹よ。
「先ずはお前達を特別に創造神アーラマンユ様の使徒とし帰化させてやろう。お前達が持っている財はこの度の不義理に対し没収とする。尚、ポーション他、扱っている全てを創造神アーラマンユ様の供物とせよ。案ずるな創造神アーラマンユ様は素晴らしいのだ!」
集りじゃなく強盗か。
よし、排除しても問題ないな。
「エラいお人どすなぁ」
「そうだ!創造神アーラマンユ様の使徒であるテーゼは偉いのだ! まぁ、異教徒であったお前達が作った物は質も性能も良かったからな!」
「おおきに、ありがとさんどす」
留美生の嫌味も効かないアーラマニンユ教徒は、皆クレクレ集団なんだろうか。
でも、必死で築き上げたものをくれてやるほど慈善的な人間じゃないのだよ。
「「さて、私達も用があるのでお暇してもらいまひょうか」」
留美生と言葉がシンクロしてしまったが気にしない。
笑みを消して無表情でギッとアーラマンユ教徒を睨みつけた。
<後は宜しく~>
<了解。ボコボコにしたるわ>
念話でバトンタッチされたので、遠慮なくボコることにした。
「先ほどからお話を聞いておりましたが、この国では新興宗教を立ち上げてはならないという法律はありませんでしてよ。それに、スラムの住人は殆どが私の従業員ですわ。わたくしの故郷の神を祭ってはならないなどという掟はありませんもの。どこで何をしようが、貴方がたには関係なくて? それに、助けが必要な時に見捨てたアーラマンユ教を信仰しようと思いますか? 別に使徒になりたいとも思いませんし、わたくし達の財産を根こそぎ奪おうだなんて何て厚かましいのかしら。いつから、アーラマンユ教は強奪者になったのでしょうか? 大体、癒しの魔法は素養があれば誰でもなれましてよ。勿論、スラム出身の者でもね。わたくし達の利益を損害するのであれば、それ相応の報復はお覚悟なさいませ」
パンパンと2回手を叩き、ハンスが出てきた。
「お帰りですわ。送って差し上げて」
物凄く嫌そうな顔で是と返された。
うちの子たちは、アーラマンユ嫌いが進んでるね。
その筆頭が私だから仕方がないのか?
「嗚呼、忘れてましたわ。道中お気をつけて」
ひらひらと手を振って、使徒を見送った後、盛大に悪態を吐いた。
「何やねん! あの腐った野郎は。人が必死で築いた財産を奪うとか、本気でキチガイなんですけど」
「仕方ないやん。キチ集団やし。最近、教徒がこっちに流れてきてるって専らの噂やで」
「お布施不要でヒールやポーションを格安で出してますからね。上級ポーションもアーラマンユ教よりも安く手に入りますし。あちらとしては、目の上のたん瘤なんでしょうね」
そりゃ絡んでくるな。
信仰心が薄れて神通力低下が目論見だし、あわよくばアーラマンユ教自体が廃れてくれると尚良しである。
「あのアホ教徒のせいで時間食ったし、急いで出発せんと時間に間に合わんで」
「ほんまに要らん事しかせーへんよな」
「では、参りましょうか」
既に到着していた迎えの馬車に謝罪して、超特急でお城へと向かって貰った。




