108.スラム大改革
スラム街の買取りは比較的簡単だった。
お金に困っている人が多かったからね。
偶に足元を見る輩もいたけど、そういうのは相手にしなかったら不利と悟り、最終的には安価で買い取れた。
日本の建築技術をルーシーに覚えて貰い、イスパハンに伝授して貰った。
彼は鍛冶職人ではあるが、建築にも興味が沸いたのか、どん欲に知識を吸収している。
商業ギルドに木材や資材を融通して貰い建物の取り壊しと立て直しを急ピッチで行う。
真冬になったら作業効率も落ちるし、今のスラムだと凍死者が出てもおかしくないレベルだ。
「キリキリ働きや~」
賃金は1日銀貨7枚、3食食事つきなら銀貨4枚で労働力を募ったら結構な人が集まった。
食事係にキャロル・マリー・イーリンとおチビちゃん2人を投入し、毎日料理ばかり作って貰っている。
老若男女同じ賃金です。
建築関係は危険がつきものなので、それに従事する人は須らく賃金が1銀貨プラスされる。
冒険者と同じくらい収入が増える。
仮設住宅をどんどん設置していく。
プレハブの3階建てを作ってみたよ。
サイエスで調達できない材料調達は、日本で爆買いしました。
プレハブの建て方をルーシーとイスパハンに見学させた甲斐があった。
建物を取り壊した時の廃材は、きっちり回収してリサイクルしてます。
手が器用な人に家具作りを依頼したりと目まぐるしい勢いで、建設が進められていく。
日本式なので土足厳禁!
家に入る時は靴を脱ぐ習慣を付けさせたら病気にかかりにくくなったらしい。
床に寝ころべるのでラグを引いて、のんびりする人もいるのだとか。
サイエス式のコタツを作ったら売れるかな?
真冬到来までには、何とか一区切り出来た。
集会場兼神社を建設してみた。
屋内で誰でも参拝出来る神社だ。
勿論、日本の参拝の仕方を絵の説明書きが付いている。
私の自宅と同じ神様をお祭りしている。
因みに、この神社はスラム街の避難所になっている。
「ここら一体は整備出来たし。後は、今まで働いてくれた人らをどうするかやなー」
計算や識字率が低いから、まずはそれを改善せねばならない。
清掃員や警備隊、簡単なお使いなどを神社を中心に張り出している。
勿論、雇い主は私だから出費が凄い。
稼いでも稼いでも、すぐにお金が出ていく。
馬車馬のように働いているのに、お金が一向に貯まらないのは何故だろう……。
Cremaの従業員も増えました。
スラムの住人の8割がCrema従業員だ。
読み書き算術が出来ないと意味がないので、勉強しながら働いて貰う形をとっている。
なので、日当が銀貨4枚と安い。
月20日働いたら金貨8枚になる。家賃として金貨1枚、保険料などの福利厚生で金貨1枚を徴収している。
最初は福利厚生や保険に疑問を抱いていた住民だが、噛み砕いて説明をすると納得し快く払ってくれるようになった。
週休2日制で長期休暇有、有給休暇有、保険有・雇用保険有(スラム内のみ)とメリット盛りだくさん。
ただし馬車馬のように働くことになるのと、1人ではちょっと贅沢できる金額だが家族を養うだけの給与ではないため、必然的に共働きになる。
働きに出るお母さんの為に、お年寄りに面倒を見て貰うシステムも作ってみた。
幼稚園や保育園のようなものだ。
保母さんや保父さんになりたい人も募集して、地域ぐるみで子供を育てるという意識を植え付けた。
改革は楽しいし、時間を忘れるくらい仕事に没頭するが、要らトラブルも引き寄せる。
以前私に捨て台詞を吐いたテレサが、教会にチクったのか教会からの神父が来ていちゃもんを付けてきた。
その一報を聞いた時に、面倒くせぇと苦虫を噛み潰したような顔をしていたとイーリンは後に語っていた。




