102.久しぶりの一人旅
キーキーと喚くチームバルドを振り切り、さっさと城門の外に出た。
全速力で1時間ほど走ったら、汗だくになった。
本当人間離れしているよね!
今の私の身体能力を考えたら、日本に戻ればオリンピックで世界一を取れる気がする。
やらないけど。
汗だくなので、索敵で周囲に人が居ないのを確認してから日本の自宅へ戻りシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終えて、汚れた服を洗濯機に放り込んで回す。
無駄に疲れたので、洗濯物が洗いあがるまで一服することにした。
「ビール飲みたいけど、我慢だなー」
飲酒運転はしない主義だ。
どうせ飲んでも引くのは魔物だし、飲んでも支障はないが、万が一人を轢いたらシャレにならないので飲まない。
冷蔵庫を漁るが、案の定何もない。
サイエスの行き来ができるようになってから、留美生は冷凍の作り置きも極力してないようだ。
せめて冷凍食品買って備蓄しておいてくれても良いのに……とは本人の前で言ったら嫌がらせ飯確定である。
「私が作ると物体Xになるからなぁ。コンビニで何か買うか」
流石にジャージ姿は外聞が悪いので、ハイネックのニットワンピースにニーハイブーツ・ピンクベージュのダウンコート。
カーチのウエストポーチに雑誌付録で付いてきたミニ財布と鍵を入れて裏口から出た。5階から1階まで階段を使わないといけないのが辛い。
玄関口のエレベーターはサイエスに直通しているので使えないのが難点だ。
1階まで下りて外に出ると、1階の店は結構な賑わいをみせていた。
客の入りも上々だ。
店に顔を出すのも面倒臭い。
社長が突然顔を出したら、それはそれで社員も緊張するだろう。
遠目で見ながら、近くのコンビニへジュースとお菓子を買いに行った。
コンビニが徒歩1分圏内にあるのは便利だよね!
私だけ食べたら、ヘビ様が五月蠅いのでヘビ様の分も購入して帰宅した。
キンキンに冷えたメロンソーダとキャラメルコーン。
いかにも体に悪そうな見た目なんだが、時々無性に飲みたくなるんだよねー。
本当に不思議だ。
屋上に行って、ヘビ様のお社の前に購入したメロンソーダとキャラメルコーンの袋を置いてみた。
いつもご飯とお酒なんだから、今日くらいはお菓子とジュースでも罰はあたらないだろう。
「ヘビ様、お納めください」
二礼二拍手一礼して、るんるん気分で部屋に戻り酒盛りの代わりにジュース盛りをしてみた。
酔いはしないが、これはこれで良い。
スマートフォンのゲームをピコピコしながら、ジュースとお菓子を堪能できる時間は至福だ。
まったりしているところ、いきなり背筋に寒気がした。
「何や!? 誰かが私の噂でもしてるんか?」
くしゃみじゃないところが怖い。
「サボリやないで。これは休憩や!」
誰に言うわけでもなく、自分に言い聞かせるように休憩と連呼してみた。
お菓子がなくなる頃に、洗濯物が終わったようだ。
風呂場に設置した室内乾燥用のポールに洗濯物を掛けていく。
1人分なので10分も掛からなかった。
「戻りたくないなぁ~」
ゴロゴロしていたいが、そんなことも言ってられないので留美生が作ってくれたコートを着てサイエスへと戻った。
後は、原付で魔物を引き殺しドロップアイテムを回収しながら始まりの町へと向かった。
流石に1日で付ける距離ではなかったので、途中でワイルドコッコーの住処に遭遇したので、駆除&中継点として活用させて貰った。
メディションホームの私のフォルダーが凄いことになっているが気にしなーい。
留美生が作った耳飾りが、良い仕事をしてくれているよ。
今までの私なら、手持ちのアイテム全部使いきってたと思うくらいボス級の魔物とエンカウントしまくっていただろう。
随分減ったが、それでもエンカウントする確率は他の誰かよりも多いと自負している。
帰ったら、留美生に狩った素材で何か作って貰おう。
虫よけと魔よけの薬を散布して、野営の準備をした。
この調子でいけば、明日の昼頃にははじまりの町に着くだろう。
「今日は、早く寝るべ」
メディションホームに入っていた留美生の作り置きを食べて、歯磨きを済ませた後、サクッと眠りについた。




