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マリンの行動にはビックリしたが、あれは何だったのだろう。多分、気が高ぶっていたからだろうと思う。変な気を起こして気まずくなるのも嫌なので、自然体でいる事にした。
さて、俺はどうしよう。こちらに残る事にしたからな。うん……!、そうだ。
「ハクウンいるか」
顔を出すと、ガキどもが何故かこちらにきた。
「ねえ、何でマリンお姉ちゃんとチュウした」ミルクちゃんが、不思議そうな顔で聞いてきた。正直、俺が知りたい。で、大きくなればわかるよ、で、ごまかした。
今度はマクラが俺の前にきて、「ワシにも、チュウしろ」と、好奇心なのか言ってくる。
「はい、はい、もっと大きくなったらね」
俺は、やさしくマクラの頭を撫でた。
「無礼者、ワシは1013歳じゃぞ。貴様より年上じゃ」
「はい、そうですか」
俺は面倒くさくなったので、二人にケーキを渡した。二人は、わーい、わーい、と大喜びでケーキを食べ始めた。その隙を見てハクウンに用事を話した。
「これから、ジャンロレーへ行こうと思う。お前もついて来い」
「わかりました。それではすぐに支度を」
ハクウンが支度が終わり、転移しようとした時、ミルクちゃんとマクラがケーキを食べ終わったみたいで、こちらに来た。
「どこへ行くのだ」
マクラが聞いて来たので、ジャンロレーヘ行くことを話すと、連れて行けとうるさくつきまとって来た。俺が、こいつら何とかせい的な目線をハクウンに向けると、ハクウンの奴、そっぽを向いて口笛を吹く真似をしやがった。結局諦め、みんなで転移。
すぐにラスタが駆け寄って来て、俺に抱きつこうとした時、何故かマリンが現れ、シャーと威嚇して来た。
(言ってなかったけど、どうしてわかったんだ?)
心の声が聞こえたかのように、
「晴人さんが何処へ行こうとわかります。せめて、ひとこと言ってください」
マリンはそっぽを向いたまま、ちょっと怒り気味に言った。
グリーに話がしたいので、ここへ、魔族代表でいいから集めてもらった、と言ったら、以外にも4、50人が集まってくれた。俺は集まってもらった魔族たちに俺の考えを述べ、結果的に全ての魔族が賛同してくれたようだ。会議が終了となった時、会議に参加した全ての魔族が、俺の前にきて、忠誠を誓ってくれた。ちょっと照れくさいが、みんなの気持ちを汲んで了承した。
会議が終わると、俺はハクウンにユーラ公国へ行こうと誘った。
「様子を見ることは必要だと思う。君の気持ちはわかるけど、全ての人間が敵ではない。その辺を見極めてみたい」
俺がそう述べると、ハクウンも不満ながら納得してくれたようで、出かける事にした。
ユーラ公国は意外と賑わっていた。予備知識では人族崇拝と排他的な傾向があると聞いていたが、それは、城内だけのようで、その周りの街は関係ないようだ。出入りも自由だし、明らかに獣人といった類の人だっている。結構オープンなのかもしれない。
ショッピングを楽しもうと近くの店で、貨幣を見せたらここでは使用できないようだ。近くに両替屋があると、親切に教えてもらったので、そこで両替してもらった。
ガキんちょ二人は興味津々で、珍しいものを見るとすぐに駆け寄って、お店の人に質問する。いろいろみて回って、一息ついたところで、マリンにお願いして、ガキんちょつれてカマレロに帰ってもらった。
「さて行きますか」俺の言葉の意味を理解して、少し緊張気味のハクウンを連れ、城門の前にきた。城のある所は周りが広い広場になっていて、一目で怪しい人物がいればわかるようになっている。そこで、深夜、城へ忍び込む事にして、一旦カマレロに帰る事にした。
深夜、待ち合わせて、ユーラ公国の城の前に転移した。そこから守衛の目を盗んで城内へ入る。
暗い中、一直線の通路を行くと巨大な扉がある。そこには守衛も誰もいないのでそっと扉を開け様子を伺う。中には人の気配がなくシーンとしていた。二人、そっと扉の中へ体を滑り込ませる。中央の奥には、一段高いところに、複雑な彫刻を施した立派な椅子があり、玉座であることを想像させる。するとここは、謁見の間だろうか。俺が見回していると、ハクウンの様子が明らかにおかしい。俺はハクウンの見ているところへ視線を向けた。そこには巨大な白い狼の剥製が2体あった。
「あれは……、父と母だ」
ハクウンは堪えきれずに嗚咽を漏らす。俺は慌てて、ハクウンの体を押さえ、カマレロへと転移した。その時、ハクウンの記憶が感情が俺の中へ流れ込んできた。




