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斥候から戻ったラスタとグリーから状況を聞いて、作戦をどうするか決めた。魔王城の警備はそれほど厳しくはなく、守衛が5、6人いるだけだ。その守衛をラスタとグリーに任せる。そして、俺とライナスリーク、それとマリンとで魔王城へ突入する。
コングさんたちはここで待機していてくれ。ハクウンは……、子守だな。それを聞いてハクウンが、がっくりと肩を落とす。この二人の子供を見ると、なんでついてきたんだ、と心の中で文句を吐いた。
手筈通り、ラスタとグリーが守衛を襲う。俺たちはそれを横目に、扉をけやぶり、一直線に伸びた通路を進む。前方にも巨大な扉があり、その前にいる衛兵も気づかないほど加速してドアを破壊する。
ドアの破壊音で、室内にいた魔族が何事かと、扉の方へ視線を向けた時には晴人は、玉座に座っているイモータルの首をはねていた。
電光石火の早業で、玉座に座る魔王イモータルの首を取った一人の人間を見て、10人もいた魔族たちは微動だにすることもなく、ただ、呆然と立っていた。
ライナスリークが室内に入った頃には、晴人はもうすでに魔王の首を片手に持ち、降伏勧告を高らかに発していた。
魔族たちも使える主君がいなくなったことに、動揺し、戦意は失せた状態になっていて、ただ呆然と立っているのみだった。遅れて、マリン、サウス、ラスタとグリーの兄弟も室内へ入って来た。その頃になると、魔族たちは、こちらの言いなりになって、皆、床に座し、降伏の意思表示をした。
ライナスリークは周りを見て、左側の壁に、自分の娘の姿を発見した。それは、水晶のようなものに閉じ込められ、レリーフのように壁に埋め込まれていた。
俺はマリンに出来そうかと尋ねると、指でOKサインをしたので、ライナスリークの娘を頼み、そして俺は、反対側の壁に埋め込まれている、サイレンの王の娘を助ける事にした。
娘は床より2mくらいのところに足があり、その辺の水晶の部分に手を添える。手が、水に触れるように水晶の中へ入る。手首くらいまで入れると、気を流し込む。水晶が、自動車のフロントガラスが粉々になるのと同じしょうな状態に飛び散る。露わになった娘が落下してくる。それをお姫様抱っこで受けとめて、マリンたちがいる方へ行く。
マリンはライナスリークの娘に回復魔法をかけると、閉ざされていた瞼が開いた。焦点がまだ合ってない、ぼうっとした状態であったが、弱々しながら「パパ?」と、ライナスリークに向けて声を出した。
ライナスリークは泣きながら、そっと手を娘の頭に添え、ごめん、ごめん、と何度も言った。
サウスは、その娘の青い髪、青い瞳を見て、ライナスリークが落ち着いてから、母親のことを訪ねてみたい。それで、リーンの子供だと知ると、サウスは娘の顔を見て、頭を撫で、リーンが生きていてこの子と一緒に会うことが出来たらどうだったろうか。幸せな笑顔を見せてくれただろうか。私はそれを拒否したのだ。二度と私の前に現れるなと。いっときの感情で友人を傷つけ、あまつさえ死に追いやったのは私の責任かもしれない。そう思うと目頭が熱くなり、悔しさに涙が溢れて来た。
「あのう、私どうしたらよろしいのでしょうか」
回復したサイレン王の娘が、不安そうな顔をして、晴人に聞いてきた。そういえばそうだな、すでにサイレンという国は滅んでいるし、血縁もいるかどうかわからない。この子は天涯孤独の身だ。
晴人は考え込んでから
「俺たちと一緒に来るか」と、聞いた。
「ダメです」即答したのは、娘だはなくマリンだった。
(絶対ダメです。この子は危険だと私の心は叫んでいる。この子はあの魔族の女以上に危険な存在だ。長い金色の髪。青い瞳。清楚で可憐な少女。危険です。非常に危険です。)
それを見ていたサウスは、ここにも一人心配な子がいると微笑んだ。




