第8章 魔王の娘を奪還せよ
第8章 魔王の娘を奪還せよ
今、俺たちはローエンに来ている。光剣さんも参加したいと言ってきたが、俺は丁重に断った。それでも行きたそうにしていたので、また俺に心配させるのかと言ったら、シュンとして大人しくなった。俺は彼女の頭をぽんぽんして、体をベストな状態にするのも修行だぞ、と言って、またケーキを渡したら、横にいたメイドが、私もいいですかとヨダレ垂らしながらニコニコしている。そんな顔したらどうぞとしか言えないよね。
ここからは、ジャンロレー魔族領へは馬車を借りて行く。馬車2台借り、先頭を、ライナスリークとその側近、俺とマリン、それと女神のサウスも同行する事になった。
2台目はコングをリーダーとしたコリルのメンバー全員とハクウン、妹のミルク、なぜかその友達(?)のマクラも同行している。
旅は順調で、俺は奥の方で船を漕いでいたら、突然馬車が停車して、目覚める。休憩かなと思っていたら、御者台の方にいるライナスリークから呼ぶ声が聞こえた。
「晴人さん。ちょっときてください」
何事かと立ち上がり、前方の様子を窺うと、二人の人間(?)が立っていた。ライナスリークとともに馬車を降り、二人の元へ行く。赤い髪と赤い目をした男女二人だ。それが突然座ったかと思うと土下座して、女性の方が、
「王よ。私たちには使える主君がいません。どうか私たちの王になっていただけないでしょうか」
どう見ても、ライナスリークではなく、俺の方に言っているように見えるので、右手で、自分の顔を指すと、女性はコクリと頷いた。
「晴人さんダメです。この人は危険です」
いつの間にか後ろにきていたマリンが忠告してきた。
「なぜだ。俺にはそのように見えないのだが……。悪魔だからか?」
「いえ、その……。とにかく危険です。晴人さんは自分のことわかっていません」そう言って、頬を膨らませ、プイッとそっぽを向いた。
何、怒っているか分からないが、無下にすることもないだろう。
「俺の名は神谷晴人。晴人でいい」
「私はラスタです。そしてこちらが弟のグリーといいます」
赤い長い髪の女性が自己紹介した。しかしよく見るとめちゃくちゃエロい。レオタードのような衣服が、彼女の素晴らしいスタイルを強調している。弟の方は姉によく似た顔立ちをしてハンサムなのだが、なんだかオドオドしている。人見知りでもするのだろうか。俺はこれからすることを二人に話した。姉の方は目をキラキラさせながら、素晴らしいと絶賛している。こっちが照れくさくなるほどの絶賛で、まんざらでもない俺は、
「ついてくるなら働いてもらう。その働きいかんで王になってもよい」
つい、口を滑らせてしまった。それを受けてラスタは、
「期待に添えるよう、尽力いたします」と、さらに目を輝かせた。
マリンは心の中で、
(やっぱり危険だわ。あの胸は脅威だわ。晴人さんをダメにしていますわ。何とかしないと。)
目に炎を燃やしていた。サウスはそんなマリンを見て、なんだか幸せそうだなと思った。
一方その頃、後方の馬車では、ミルクちゃんが兄にしがみついていて、近づこうとしているマクラに、シャーと、猫のような威嚇をしていた。
ハクウンはというと、やっぱり最近の子供の行動が分からん、と頭を抱えていた。




