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マリンはゼウス様の命により天空城を離れ、自由都市連合ローエンへ向かった。そこには水の神サウス様がいる。私と同じ水属性の先輩で私によくしてくれるお姉様的な存在の人。その人にゼウス様の命を相談しよう。マリンは滑空しながらゼウス様の命のことを考えていた。
「早朝、勇者召喚の儀が成功したようだ。1000年前の悲劇がまた起きるやもしれん。くれぐれも慎重に調査してくれ」
1000年前の悲劇。それを知る者はゼウス様を入れ数える程しかいない。
当時、人族と魔族の間に全面戦争が勃発した。神々は傍観する事にした。
魔族の圧倒的なパワーにより、人族が形勢不利になると勇者召喚をしたのである。召喚されたのは男女1名。
女性が勇者ムラサキ・シキブ。男性が剣士ヒカル・ゲンジであった。
勇者ムラサキ・シキブが参入すると戦場は一変した。形勢不利であった戦場が一昼夜にして、形勢を互角まで持っていったのである。
だが、敵は全方だけでは有らず。後方の仲間だと思われた人の手によりムラサキ・シキブは殺されたのである。慌てて駆け寄ったヒカル・ゲンジはすでに死んでいるムラサキ・シキブを抱きしめ絶叫した。その時である、空一面が闇に覆われ、ヒカル・ゲンジは異形なもの『神殺し』となった。剣を携えると、裏切り者を斬り裂き、一瞬にして人族を葬り、返す刀で魔族も葬った。
こうして神殺しとなったヒカル・ゲンジの虐殺が始まった。それでも神族は対岸の火事と傍観していたのである。
6日間の大量虐殺の後、ヒカル・ゲンジは天空にやって来た。その時になって、やっと事態の重要性に気が付いたが、時すでに遅しであった。
神々は1日にして全滅するところまで追い詰められた。それを救ったのは一人の女天使だった。名前をマリアという。
マリアはヒカル・ゲンジの前に出ると、土下座して
「あなたのお怒りは正当なものです。が、どうかこれ以上の殺戮はおやめになってください。私でよければ何をされても構いません。お怒りをお鎮めになってください」
ヒカル・ゲンジは土下座しているマリアの衣服を引き裂き、自らも裸になり、まぐわった。陵辱は明け方まで続いた。
やっと寝静まったと思い、覆いかぶさっている体をマリアは退けると、彼はすでに死んでいた。8日目の朝である。
その後、マリアは身ごもったと言われているが知るものはいない。
ハッと、我に返る。突然、魔法の痕跡が感じられ防御魔法を展開する。被弾するが、防御魔法により影響はない。敵の姿を探すと、前方のやや上の方に姿が見えた。一翼の翼を持つ魔族。
(まずい。私は戦闘は不得手、目の前の魔族に勝てるのか)
また魔法弾が飛んで来た。防御魔法を展開するが、先ほどとは比べ物にならないほどの威力だ。辛うじて防御できたが、このままでは防ぎきれない。
続いて魔法弾が……。もろにくらい衝撃で落下した。
(やっと仕留めたか。手こずらせやがって、さてトドメを……!!。チッ、人間か、騒ぎが大きくなると、またあの人に叱られちまう)
魔族のミルナは視界に入った人間を忌々しく睨みながら、あのお方の命令を遂行するために去って行った。






