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マリンは目覚めると、覆い被さっている晴人さんからそっと体を滑るように脱出した。その時、晴人さんの寝息が感じられ、生きていることにホッとし、直ぐにシャワールームへと向かった。
ボディーソープで全身を洗う。腕、足、胸、そして股間へと手が伸びる。まだ、晴人さんのモノが中に入っているような感覚を感じ、その時のことが思い出されて体が火照る。慌てて、記憶を洗い流そうとシャワーを頭から浴びた。
長めのシャワーを終え、濡れた髪を乾かしている時、鏡に額に汚れがついているように見えた。鏡に近づき額を見ると、汚れではなく、何か菱形のような模様がついていることが分かった。ハッとして、ステータスを確認する。
HP 50000
STR 50000
MP 50000
DEF 50000
AGI 50000
(MAX HP 100000)
(MAX STR 100000)
(MAX MP 100000)
(MAX DEF 100000)
(MAX AGI 100000)
EXT.SKILL 『神殺しの眷属』(MAXステータス)
マリンは慌ててサウス様に思念を送った……。
サウス様はちょうど、ここカマレロに来ていて、中央にある有名な茶店&食堂(ポポロの里)で待ち合わせることにした。
どうでもいいことだが『ポポロの里』といいうのは、オーナーの生まれ故郷の名だそうだ。
私が入ると、窓側の席のところに座っていて、私を発見すると、手を振って教えてくれた。
私はサウス様を見ると、緊張がほぐれたのか、涙腺が緩み、泣きながら駆け寄った。
「サウスさま~」
サウスはちょっと驚いたようだが、駆け寄った私の頭を優しく撫でてくれ、落ち着くまで待ってくれた。
やっと落ち着きテーブルの反対側の席に着くと、前髪を上げ、額の模様を見やすように前のめりになる。
「何それ?」
理解出来なくて困惑顔のサウス様に、マリンは自分のステータスを見せた。
「あんた、この世界滅ぼすき?」
「滅ぼしません!!」
マリンは席を立ち、ちょっと大きめの声を上げる。そして自分の挙動に気づき、あたりを見回して、こちらへ視線を向けている客に愛想笑いをして、ゆっくりと席に着いた。
ちょうどその時、サウスと背中合わせの席にいた、黒ずくめの魔道士スタイルの人が席を立ったが、二人は気にも留めなかった。何故なら、魔道士といったら黒ずくめのスタイルが普通で、この街にも多くいるからだが、それが子供くらいの身長となると話は別で、普通はいない。それに疑問を待たないほどに話に夢中になっていた。
マリンが席に着くと、サウスはいやらしい笑みを浮かべ、両手の指を使って卑猥なジェスチャーして、
「やったのか」
マリンはうつむき顔を赤くして、かすかにコクリと肯定する。
「どうだった。痛かったか」
さらに、サウスはキラキラした目で追求する。
「痛かった。すごく痛かった。強引に入れてくるんだもの……」
マリンは顔をさらにうつ向かせ、鬼灯のように赤くなる。
「あーん、可哀想に。初めてがそれじゃね」
サウスが自分の事のように、肩を落としがっかりした。それを弁解するように、マリンを顔を上げ、
「でも、最後は気持ちよかったです。何というか体フワッとして、こう……」
そこでマリンはハッとして、立ち上がり、前にいる頬杖をつきニタニタしているサウスの顔を見て、
「なっ……、何を言わせるのですか」
マリンは頬を膨らませ、プイッとそっぽを向いた。サウスはその仕草に友人の面影を見た。それは1000年以上も前の事である……。
サウスが天使だっと頃、共に神になろうと誓った親友がいた。名はリーン。長くて青い髪が印象的だった。そう、マリンの様な人だった。怒る時、すぐに頬を膨らませ、プイッとそっぽを向く。それが彼女の癖で、私はその癖を見るのが大好きだった。それでわざと怒らせたこともあった。
そのリーンが共に地上で修行していた時、わたしに会いに来てくれた。その姿を見た時、異変に気がついた。天使は翼の形をしたオーラを身に纏っている。それが無くなっていた。それがどういう事かというと、神か人になったという事だ。リーンの場合は明らかに後者だ。当然それを私は追及した。
リーンは地上で好きになった人ができたと言った。そして、共に暮らすと誓ったそうだ。私は当然怒り、二人が誓った約束を破るのかと詰め寄った。その時、彼女の幸せに満ちた笑顔を見た。私はそれ以上何も言うことができなかった。
「二度と私の前に現れるな」
私はそう言って、振り返りもせず、その場を離れて行った。
それから十数年が経ち、私が神になった頃、リーンが死んだという報せが届いた……。
「ねえ、サウス様。サウス様ったら、無視ですか。無視するんですか」
呼びかけに我を取り戻したサウスは、腕を組み、ふくれっ面のマリンを見て、この子には二の舞になって欲しくないと、心の中で強く思うのであった……。




