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パリンと音がして振り向くと、ゼウス様の手からコップが落ち、粉々になっていた。
「ゼウス様。大丈夫でしょうか」慌てて従者の天使が駆け寄る。
「ああ、始まった」ゼウスは頭を抱え怯える。
「あの時と同じだ。神殺しの蹂躙が始まる。今度こそ神々が滅びる」
従者は初めて見るゼウス様の異常な姿に、どうしたら良いのか判断がつかず、だだゼウス様の名を呼ぶだけだった……。
晴人は一部残っていた理性が飛び、目が赤く染まり、髪は逆立ち、神殺しが覚醒した。
神殺しが一声咆哮すると、大地が震え、大気が狂ったように暴れ出す。空は漆黒へと染まりゆき、稲妻が木を引き裂き森林や家屋に火災をもたらした。それに続く雷鳴は、大地に亀裂をもたらし、建造物は震え倒壊させていった。この世の終わりを告げているようだった。
「なによあれ、ああ、いっちゃう。この全身を貫く快感はなに。もうダメ」
ラスタは全身を震わす恐怖感が、快感へ、恍惚感へ、と昇華していった。
グリーは自分を遥かに凌駕した巨大な力に慄き、恐怖し、
「姉さん。あれは俺たちには手に負えるものじゃ無いよ」
必死に姉の衣服を掴み説得するも
「もうダメ、股間がぐちゃぐちゃだわ。いきそう」
ラスタは身を震わせエクスタシーへと達しようとしていた。
後方から悲鳴が聞こえた。
グリーが視線を向けると、先な矢を放った魔族のもとに、あいつがいて、その右手は魔族の胸を貫いていた。
(俺は気づきもしなかった。あんな遠くから一瞬に……。こいつとんでもないバケモノだ。こんなやつ、俺たちに扱えるわけがない。逃げよう。恐怖に狂いそうだ)
「姉さん。逃げよう。無理だよ。あんな奴、俺たちに扱えるわけがない」
グリーは必死で姉の服を掴み揺するも、ラスタの心は遥か遠く、エクスタシーへと浸っていた……。
マリンはあまりの恐怖に震え地面にひれ伏していたが、晴人さんがいないことに気がついた。慌てて探すと、遥か遠くの方に晴人さんを感じた。恐怖に震える体を叱咤して、マリンは晴人の方へ向かった。
マリンが近づくと、晴人さんに胸を貫かれた魔族が落下していた。あの魔族には見覚えがあった。初めて晴人さんと会った時、戦った魔族だ。
恐怖で体が震える。それでもやらなければならない。マリンは晴人さんの背後から飛びつき、
「晴人さん。晴人さん。こんなの晴人さんじゃないです。お願いです、正気に戻って、何時もの優しい晴人さんにもどって、お願い……」
マリンは必死に叫ぶも、恐怖に負け、気を失い、落下していった……。
神々は下界での異変に気がついていたが、他人事と気にもとめず、普段通りの行動をしているものがほとんどであった。それも、ここ天界は、神々とその眷属しが来ることができないところ。安全な所。そう信じていたらかこそ、下界で起きていることを、他人事として見ていたのだ。それが今や、天界にも影響がではじめた。空が徐々に闇の染まり出したのである。その時になって、やっと神や天使たちに動揺が走った。それが、恐怖に変わるのにそう時間はかからなかった。信じられないことに、稲妻が天界を縦横無尽に走り、容赦のない雷鳴が天界を襲ったのである。
これから起こるであろう、阿鼻叫喚の惨状、それを予知するものはゼウスと一握りの神のみである……。
マリンが目覚めると、どこかで見た天井だと虚ろな思考で感じていた。意識がはっきりすると、ここがキャンピングカーの中で、私は一糸纏わない裸であることに気づく。その時、晴人さんが覆いかぶさってきた。目が赤く、髪が逆立っている。恐怖で体が動かない。されるがままになっていると、晴人さんのモノが、私の中に入ってきた。痛い、怖い、「やめて、お願い。晴人さん。あなたはこんな事をする人じゃない。お願い」震えを帯びた弱々しい声を出すも、神殺しとなった晴人さんには届かず、凌辱されるまま、苦痛に耐えていた。その時ふと、ああ、この人も、神殺しという呪いにかかった被害者なんだと感じ、同情する気持ちが生まれた。出会ってから今まで、晴人さんを見てきた。ちょっとエッチな話になると、照れ笑いする晴人さん。怒られた時の子犬のような不安な顔。同じ世界から来た光剣さんと話す時の爽やかな笑顔。毎日の朝稽古に付き合う時のなんとも言えない困った顔。そうだわ、私は何時も晴人さんの顔を見ていた。私は……。
(晴人さんは悪くない。晴人さんは悪くないよ)私は心の中で囁き、そっと背中に手を回した。それがやがて、苦痛から快感へと変わり、はじめて女の悦びを感じた……。




