5-3
♢♢♢5-3
もうかれこれ一週間は滞在している。国王の厚意により俺たちは個室を与えられ、王宮に住むことが許された。これでわざわざキャンピングカーまで帰る必要がなくなった。それはいいのだが、毎朝5時には光剣さんが部屋を訪れるのは勘弁してほしい。彼女は毎朝欠かさず早朝の修行をしているそうだ。一人で欠かさず日々の修行には頭が下がるが、出来れば俺を巻き込まないでほしい。
今日も勝手に部屋に入ってきて布団をめくる。
「師匠、朝の修行です。さあ、行きましょう」
いつのまにか、俺は師匠になっていた。そして、毎朝の修行を一緒にすることになってしまった。
光剣さんは毎日が楽しそうで、笑顔が眩しい。あんな顔見せられちゃ、男なら絶対断れなくなる。それに俺は女性に免疫がないからなおさらだ。しかし、光剣さんいいよな。黒くて長い髪をポニーテールにして、キラキラした瞳、爽やかな笑顔、健康的な大和撫子って感じで、いいよあ。もう少し年齢が高ければ、とつい想像して、ニヤニヤしてしまう。ああ、俺も彼女欲しい。
彩は毎日が楽しくてしょうがなかった。初めて本気で戦える相手、ライバルとは程遠いが、全力で戦っても倒せない相手、それが目の前にいると思うと、嬉しくてしょうがなかった。いつかあの腕輪に、かすり傷でもいいからつけてやる。それが当面の目標であり、最終目標は腕輪を破壊することだ。そのことを考えると、自然と修行に力が入るのであった。それに、今までは、一人黙々と修行していたのだが、二人で修行することがこんなに楽しいと思わなかった。
ひと汗かいて休憩に入った頃、城内が騒がしくなり、不穏なものが感じた。
マントラさんがこちらへやって来た。表情からして何かあったようだ。
マントラさんが目の前まで来ると、
「魔族が西門前に続々と集結しているそうです。勇者様お願いします」
マントラさんは軽く頭を下げ、いそいそと去って行った。
早朝、使者がゾイル宅を訪れた時、胸騒ぎがして、急いでドアを開ける。使者の知らせを聞いて、ついに来たか、それがゾイルの心の声だった。ゾイルは使者を使い、魔道士を全員西門に集結するように連絡してもらうことにした。そして自分自身は急いで支度して、西門へと向かった。ベッヒルさんの予感が当たるとすると、今回は大変な災いになる可能性がある。そう思うと、こちらも万全の態勢で臨まないと、後の祭りにならぬとも限らない。ここは部下にも厳しく言っておこう。ゾイルは粟立つ身体を鼓舞して西門へ向かうのであった。




