第1章 異世界へ
第1章 異世界へ
夏は北海道で過ごそう。俺はノーパソやタブレットを使い、道の駅やオートキャンプ場をリサーチして、気分次第で楽しみながら、北上していった。
いよいよ夏本番の8月、俺は北海道へ上陸した。そして今、山道を走っている。道路が、松やナラといった原生林に覆われ陽が当たらないので、窓を開けていても冷たい風が入り気持ちいい。
ゆっくりと景観を楽しみながら上り坂を走っていると、前方にトンネルが見えて来た。
トンネルを抜けると、驚いた事に景色が、いや、全てが一変していた。
道路は、舗装さてた道ではなく、石畳になっていた。それでも平坦性はよく、走るのに不都合はない。景色はというと、松とかナラの原生林は無く、開けた草原地帯になっていた。見上げる空は青一色で、開放感が半端ない。GPSで確認しよとしたら、何故か何も映らない。しょうがないので、一直線に伸びた道を道なりに走る事にした。すると、空に何かが光った様な感じがした。
気のせいか、俺はスピードを緩め、上空を注意して走っていると、また、光った。今度は、間違いではなく確かに光った。青天の霹靂?そう思って見ていると、前方の右側に何かが落下した。
俺はその近くに行くと、車を止め、見に行った。
草丈は20cmくらいで歩きにくいほでではなかった。やすやすと目的地に近ずくと、焦げ臭い臭いが風に乗って感じられた。黒く焼けた跡が見えて来て、全貌が見えるところまで来ると、中心部に女性が倒れているのが見えた。
その女性は、掃き溜めに鶴といった感じで、黒く焦げたところに、似つかわしく無い派手な格好で倒れていた。コスプレ?、そう思いながらも慌てて駆け寄り、確認すると、焼け跡も、汚れもなく、ただ気絶しているようだ。
俺は彼女をお姫様抱っこして、キャンピングカーまで行き、後部の俺が使ってない方のベットに寝かせた。
そして、改めて見ると、不思議な感じがした。彼女の長い髪は薄い水色で、染めているというより自然な様に感じる。顔の色も黄色人のそれではなく、白人といった感じだし、顔の作りも小顔で鼻が高い。服装も天女?、乙姫様?、と、いった感じの服装で、このへんでコスプレの大会があって、外国からきたのではと想像した。
俺が見ていると、彼女は一つうめき声を上げ目を開いた。俺は大丈夫ですかと声をかけたが、反応はない。やはり外国の人だろうか、ちょっと困った事になりそうだと思いながら、冷蔵庫から冷たい水をコップに入れ持ってきた。
彼女は差し出したコップと俺を交互に見ながら、恐る恐る手を出し、コップを受け取ると一口飲んだ。
水だと安心したのだろうか俺の方を見ながら一気に飲み干したと思ったら、俺の顔面に水を吹き付けた。はあ?、俺がフリーズしていると、今度は、ひいーっ、と一つ悲鳴をあげると、慌てて俺から距離を取る様に後ろに下がり、壁に頭をぶつけ、また気絶した。
この娘、困ったちゃんなのかな?。