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「ラスタ姉さん、ラスタ姉さんってば」
「うるさいわね」ラスタは別の事を考えていたので、それを中断させた弟を、腹立たしく思いながら弟の方へ視線を向けた。
「ねえ、あれ見てよ」
弟の指差す方を見ると、見たことのない物が、すごいスピードで移動していた。
「やっぱ、あいつ欲しいな」
ラスタは、弟の何でも欲しがる癖を腹立たしく思いながら、道なりに移動している物を見たが、すぐに興味を失い、また物思いにふけっていった……。
ルルさんは助手席に乗ってキャッキャ言って喜んでいる。そういえばこの子も不思議な子だ。彼女の生まれは名もない小さな村で、貧乏の子沢山といわれるが如く、8人兄弟の末っ子として生まれた。
彼女の人生を一変する出来事が、彼女が10歳の時にあった。たまたまこの村に立ち寄った旅をしている賢者が、この子は魔法能力が高い、将来立派な魔法使いになるぞと言ったのがきっかけだった。ルルはその日から魔法を学び修行をするようになった。そして、12歳の春、魔法使いになると言って家を出たのである。両親は当然反対したのだが、娘の意志が固いのですぐに諦め、娘の出立を認めた。内心は貧乏なので食い扶持が減るのを喜んでいたと思う。私もそのことは重々承知していたので涙も出なかった。そうして、この街にきて、コングさんと出会ったのがきっかけで冒険者になった。(byルル談)
ルルさんは今は幸せだと思う。そのきっかけは旅をしていた賢者にあると思うが、それよりもコングさんと出会ったのが大きい。そう思うと、あのデカくて、イカつい顔の人だが、幸運の女神ならぬ幸運の猿人なのかもしれない。
この旅にはコングさんはついて来なかった。このキャンピングカー、大きいとはいってもコングさんにとっては窮屈だしね。お留守番すると言ってついて来なかった。食事のことを尋ねると、今まで生きてきたんだ、美味いものはともかく、食べるに不自由はないだろうと楽天的な事をいうので、楽しんでくることにした。
旅は順調で、スピードを出さず安全運転、途中、景色のいいところがあったら車を止め、キャンピングカーの屋上でティータイムしたり、昼食をしたり、しながら目的地へ向かった。
初日は、バルラック帝国付近の寒村に車を止め、朝を迎えることにした。
皆、シャワーを浴び、俺が取り寄せたリラックスウエアを着ながら、お菓子を食べたり、ジュースを飲んだりして、最初の車中泊を楽しんだ。




