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約束通り朝食は、みんなで、キャンピングカーで食べる事にした。昨日の話によると、食事をするのに不自由なようだったので、俺がここでしようと言ったのだ。
ここ自由都市連合ローエンは、亜人といわれる人たちにも寛容であるが、差別を持つのもは居ないわけではない。ちょっとしたことで、その差別が大きくなったりする。コングさんたちがいい例で、食事をさせてもらえる所がないらしいのだ。この世界には俺のいた世界のアパルトヘイトみたいな悪い風習が根強く残っているそうだ。もちろん、コングさんのいた所やリルネさんのいた所も排他的なところがあって、逆に人族を嫌っているそうなので、その辺のところは割り切っていて、まあ、簡単に言えば郷に入れば郷に従えってことだそうだ。
俺は気になったので、寝るところは大丈夫か聞いてみた。するとコングさんは、メンバーは冒険者ギルドで寝ているとのこと。冒険者ギルドは実力さえあれば、エルフだろうが、獣人だろうが、悪魔だって問題ないそうだ。最後の悪魔ってのは冗談みたいだが、最も差別がないそうだ。それでだろうか、俺たちが初めて入った時、皆ペコペコお辞儀していたのは……。
コングさんは今日は地下5階層まで行こうと言ってきた。5階層は、コングさんたちが何時も狩場にしているところで、そこまで行くパーティーは、片手の指折りで数えられる程、少ないのだそうだ。
1階層を最短で抜けて2階層めに突入。しばらく歩いていると、毛色が違うというか、本物の犬のような魔獣が現れ、襲いかかって来た。俺は飛びかかったところを右に素早くかわし、隙のできた胴へ右手に持った剣で斬り込もうとした時、後方にいたマリンが「ダメー、その子、魔獣じゃない!」と、叫んだ。
俺は慌てて剣を止め、剣を捨てる。魔獣?が着地して体勢を立て直そうとしたときには、俺は既に背後を取っていて、隙のできている胴を右手で軽く払うようにした。それが意外にも勢いよく魔獣?が飛ばされ思いっきり胴からダンジョンの壁に激突して、ズルズルと壁からすべり落ちた。
マリンさんは「キャッ」と叫びながら「晴人さん殺すつもりですか!」と、非難の声を上げながら、魔獣?のところへ近寄り、治療の呪文をかけ始めた。
俺としては、軽く払うつもりであったのが、勢いよく飛んでいったのには驚いた。それよりも驚いていたのは、コングさんたちで、「おい、今の見えたか」と、コングさんが言うと、マリネさん、ルルさんは、「ううん」と、首を横に振る。
マリンさんが治療していると、魔獣?の姿が変化して、10歳くらいの裸の少女になった。マリンさんは、こっちを見ないで、と叫び、俺は慌てて後ろを向く。
許可が出て振り向くと、少女を布のシートのようなもので包み、マリンさんは、お姫様抱っこしていた。
マリンさんが、ルルさんの方を向き、お願いと言って、俺たちはダンジョンを脱出した。
「ねえ、見たあ。凄かったね。あれいいなあ、俺、欲しいかも」
欲望に忠実なグリーは、姉のラスタに話しかけた。
実験的に人狼の子供を冒険者に仕向けて試して見たのだが、思いかけず凄い実力者がいたのに驚き、グリーはあれならいい操り人形になるのではと思ったのだ。
ラスタは弟ほどには興味がなく、から返事しながら、弟の何でも欲しがる癖を、また始まったと、眉をひそめながら聞いていた……。




