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夏の想い出に

作者: 有馬定春

製作途中のゲームの表シナリオもとい、BAD選択なしのストーリーです。少々くどい文章もあるかもしれませんが・・・実際のゲームは18禁ですが、ストレートだとそっち方面はまったくないので、乗せてみました。


めがね委員長

「最後に校長先生と理事長先生からのお話です、それではセティル校長先生、定春さだはる理事長先生、お願いします」



セティル

「わかりました、ありがとう詩織さん、もう席に戻っていいですよ」



詩織

「はい」



詩織と呼ばれた生徒が席に戻ると、校長は話し始める。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


セティル

「では、明日から夏休みに入りますが、みなさん怪我などしないように気をつけてくださいね」



セティル

「っと、次は理事長からです・・・・長くて悪いですが、これで本当に最期ですから我慢してくださいね」



理事長は新しい看板を取り出す・・・・。



理事長

「・・・・・・・・・」



そこには、、宿題なんかない!元気に遊べ!・・・・というようなことが書かれていた。



その途端。




「わぁ!」「まじかよ!?」



「やった!」「超うれしー!!」



などという歓声が生徒達から巻き起こる。





セティル

「・・・・・・はっ?」



校長は理事長に意義を申し立てるような声を発する。



生徒達がまた騒ぎ出す。




「えーー!!」「いいじゃん!」



「宿題のかわりに沢山遊ぶから!」



「あ、そうだ!遊ぶことを宿題にすればいいんだ!!」



と、言うような声が巻き起こる。


少しの間それを聞いていた先程の少女が立ち上がり言う。



詩織

「みんな、静かに!とりあえず先生の話を聞きましょう?いいわね?」



学年委員長である詩織が注意を促すと、少しの間こそ騒いでいたが、みんなは静かに席に着く。




その間も校長であるセティルと理事長である定春との口論?・・・が続いていた。




理事長

「・・・・・・・・・」



じぃ~っと校長を見つめる理事長・・・。



どうやら口が無い?ので、ああやって看板で会話をするようだ。



セティル

「いや、ですが宿題も学生気分を楽しむには必要ではないですか?」




言い合う二人を見る生徒達から、理事長頑張れ!という声援が聞こえてくる。




理事長

「・・・・・・・・・」



セティル

「はぁ・・・わかりました、では今回宿題は無しということで・・・」




その途端、また歓声が沸きあがる。



セティル

「ふぅ・・・すでに配ってある宿題は各自で自由にやるなり、やらないなりしてください」



セティル

「自主的にやった人が居た場合、各教科の先生に話をしておきますので、渡してください」



セティル

「それではみなさん怪我や病気などには気をつけてくださいね、あと、危険なところにはなるべく行かないように・・・」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



朱「ってことで!明日から夏休みだぁ~!!」


詩織「ええ、そうね」


あゆ「ですねぇ~、みんなでどこか行きましょうです~」


朱「うんうん!なにしてあそぼー!」


朱「宿題ないとか!すばらしいし!!」


詩織「それはそうだけれど・・・だからって怠けてると後で大変よ?」


詩織「宿題が無いのは驚いたけれど、今回だけだと思うし・・・」


詩織「冬休みとかの宿題が無いわけじゃないんだから、また朱の宿題を手伝って寝れないまま始業式、は、もうごめんよ?」


あゆ「ふふ~、あれはあれで楽しかったですけれど~、大変でしたよねぇ~」


朱「う、うぅ、、わ、わかってるよぉ~」


詩織「本当かしら?」


朱「そ、それより楽しい夏休みだよ!どこ行こうかきめよーよ!」


詩織「もう!そうやってすぐ誤魔化すんだから!」


朱「あうぅぅ~」


あゆ「まぁまぁまぁまぁ、詩織ちゃんも折角ですから楽しみましょうです」


詩織「あゆは優しすぎるんだから、あまり甘やかし過ぎちゃよくないわよ?」


あゆ「えへへ、詩織ちゃんにはかないませんですよ~」


詩織「?あゆ、それってどういう意味?」


あゆ「ふふ~です^^」


詩織の質問に言葉で答えないかわりに、あゆは笑顔で微笑む。


詩織「まぁいいわ、、あゆの言うとおり折角だし、どこか行きましょうか?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

海がいい山がいいなど色々な意見が飛び交う中、朱が思い出したように声をあげる。


朱「あっ!そだボク行きたいところがあったんだ!」


あゆ「どこですかぁ~?」


朱「ふふふ~えっとねぇ~・・・」




朱「うん!廃墟!廃墟に行こう!!」


詩織「いきなり何を言い出すのよ・・・」


あゆ「はいきょ、ですかぁ~?」


詩織「どうして、夏休みになるから何処かに行こうかしら?って話で、廃墟が出てくるのかしら?」


詩織「・・・でも、まさか廃墟ってあそこの廃墟?」


あゆ「むぅ~?」


朱「そうだよ!」


詩織「まぁ、それ以外考えられないけれど・・・」


朱「学校からのが近いし、行ってみようよ~!」


あゆ「廃墟って、えっと、、壊れちゃった建物ですよねぇ~?」


詩織「そうね」


朱「ちょっと前にネットで見つけて行ってみたい!って思ったんだよ~!いこーよ!いこ~よぉ!」


あゆ「危なくないでしょうかぁ?でも、どこにあるんですかぁ?」


詩織「場所は学校から、そうね1時間位歩いていけばつくと思うわ・・・私も多少なら聞いたことあるのよ・・・」


詩織「この辺りで一時期、幽霊がでるって有名になった所よ」


あゆ「ゆ、幽霊!?お化けですかぁ~!?こ、こわいですぅ><!!」


朱「大丈夫!ボクも、怖いから・・・でもしおりんがいれば大丈夫!きっと幽霊も逃げ出すよ!!」


詩織「あら、それはどーいう意味かしら?あ・け・み?」


微笑みながらそう言う詩織に、朱はビクリと体を振るわせる。


朱「はう!・・・で、でもボク行ってみたい!」


詩織「・・・・・・でも、ねぇ?」


あゆ「ですぅ・・・怖いですし危ないかもですし・・・」


詩織「そうね、それに危険なところには行かない様にって言われたばかりだものね」


あゆと詩織はそう言って見詰め合う。


朱「うー!いこうよ~!ねぇ!いこうよぉ!!行きたい行きたい~!」


行きたくないオーラを出す二人に、朱は駄々っ子のように手をブンブン振り回しながら叫んだ


あゆ「う、、う~・・・こ、怖いですけれど、朱ちゃんがそこまで行きたがるんですから、ちょ、ちょっとだけなら我慢しますぅ!」


詩織はため息をつきながら言う。


詩織「・・・しょうがないわねぇ・・・でも、暗くならないうちには帰るわよ?」


朱「やたー!」


3人が学校を出て、廃墟のある山に向かう道を歩いていると、一人の女性が近寄ってきて声をかけてきた


女性「こんにちは~、何処かお出かけ?」


いきなり話しかけてきた女性にすこし戸惑いながらも、詩織が答える。


詩織「え、ええ、3人でちょっと山のほうに行くんです」


女性「あ、驚かせちゃったかしら?いきなりごめんなさいね~、私、恵理子っていうのよ~」


3人は軽く自己紹介をすると、恵理子という女性は話を続ける。


恵理子「山に行くの?・・・・そうなの、ああ、夏休みだものね、ふふ、ピクニックかしら?」


朱「ピクニックじゃなくて、探検!」


恵理子「探検?・・・・もしかしてあなた達、廃墟のほうに行くのかしら?」


あゆ「そ、そうですぅ・・・・怖いですけれど・・・・」


詩織「あの、どうして、わかったんですか?廃墟に行くってこと」


恵理子「ふふ、おねぇさんはね~、こう見えてもフリーらいた~なのよぉ~。だ・か・ら、らいた~の勘、見たいな物よ。すごいでしょ?」


詩織「そ、そうなんですか・・・」


朱「フリーライターってなんだかカッコイイよね!おねーさんも冒険とかするの!?」


恵理子「まぁ、そうねぇ、似たようなことは~したことあるかな」


朱「今日は、廃墟に行くから駄目だから!今度会ったら、お話聞かせてよ!」


そう言ってはしゃいでいる朱に、恵理子は今までの間延びしたような言い方では無い言葉で、そして、真剣な顔をして言う。


恵理子「廃墟にはいかないほうがいいわよ」


朱「むぅ・・・」


詩織「やっぱり、危ないんですか?」


恵理子「危ないわね・・・それに、あの廃墟は本当に出るから・・・」


あゆ「で、でる!?お、おばけがでるんですかぁ~?」


恵理子「そうよぉ~、それにほら、女の子だけじゃ危ないじゃない?」


詩織「そう、ですよね」


朱「うー・・・」





朱「でも、ボクやっぱり行って見たい!」


恵理子「本当に危ないのよ?止めた方が良いわよ」


朱「大丈夫だよ!それに、冒険に危険は付き物だし!」


あゆ「そ、それって、大丈夫じゃないんじゃないですぅ?」


恵理子「・・・そう、でも行くなら気をつけてね」


詩織「ごめんなさい、心配して頂いてるのに・・・」


あゆ「ごめんなさいです~・・・」


恵理子「後、絶対に暗くなる前に廃墟から出るようにね」


心配そうに言う恵利子に、3人は一礼して廃墟へと向かう。


そうして恵理子と別れたあと3人は美味しいケーキなどの甘い物などの話をしながら歩き。


件の廃墟がある山の入口に着く。


詩織「本当に行くのね?」


あゆ「あ、あうぅ、何も起きなければいいのですが・・・」


朱「あゆち~、何も起きなかったら詰まんないじゃん!」


詩織「もう!朱!何かあったら大変でしょう!?」


あゆ「ですです~!」


朱「ぶーぶー、ぼーけんぼーけん!」


朱はそう言いながら、山に続く道に向かって走り出す。


詩織「もう・・・」


あゆ「はうぅ、朱ちゃん、あんまり急ぐと危ないですよぉ~」


朱「だいじょーぶだいじょーぶ!」


詩織「もう、怪我とかしてもしらないから」


朱「二人とも早くー!」


あゆ「わ、わかりましたです~」


詩織「もう、しょうがないわねぇ・・・・」


あゆと詩織は嫌々ながらも、朱の後に付いて行き、山への道に向かう。


あゆ「う、うぅぅ、ピクニックとかだったら、楽しいのにです~」


詩織「ほんとにね・・・」


朱「ぼーけんぼーけん♪」


詩織はズンズン先に進んでいく朱に向かって叫ぶ。


詩織「朱!はしゃぎ過ぎないの!」


朱「ぶーぶー!しおりんにはボクのこの湧き上がる探究心がわかんないかなー!」


詩織「あのねぇ・・・」


朱の言葉に呆れる詩織だが、その隣にいるあゆが不安そうな顔をして言う


あゆ「うぅぅ、なんだかとても怖いことがおきそうですぅ・・・」


怯えているあゆを、何も無いから大丈夫と言って気遣いたいとは思ったのだが・・・。


楽観的に成りすぎるのは返って危険かもしれないと思い別の言葉を返す。


詩織「そうならないと、、いいのだけれど・・・」


あゆ「です~、悪い予感は当たらな方がいいです・・・」


朱「大丈夫だよぉ~、しおりんもいるし!」


詩織「本当にあなたって子はもう!」


朱「ひぃぃ~!!しおりんが怒った~!」


あゆ「朱ちゃんも気をつけて先に進んでくださいです~」


朱「うん!」


詩織「もう・・・」






そんなやり取りをしつつ、3人は山道を歩き、目的の廃墟に辿り着いた・・・・・・。


その入り口の前で、一人廃墟を見上げている少女を見つける


あゆ「あれ~?だれかいますよぉ~?」


詩織「本当ね、こんなところに一人で来たのかしら?」


朱「むむ、一人で来るなんてすごい!・・・負けられないな!」


詩織「あのねぇ・・・」


あゆ「えへへ、確かに勇気ありますよねぇ~、ここまでくるのでもわたし一人だったら無理です~」


その少女はそんなやり取りをしている3人に気がつき振り向く


詩織「あ、わたし達に気づいたみたい・・・」


あゆ「こっちに来ますです~」


朱「むむ!どんな娘だろ!?」


少女「・・・・・・・・・」


少女は3人に近づくとまじまじと見つめる・・・。


詩織「・・・」


あゆ「・・・」


朱「む・・・?」


でも、見つめるてるだけで話しかけてはこない・・・。


朱「えっと!そっちも探検しにきたの!?」


そんな状況に我慢できなくなったのか、朱が少女に話しかける。


少女「ちがう・・・」


朱の問いに答え、初めて少女が口を開く。


りん、、と鈴が鳴るような、なんだか心地の良い綺麗な声だった。


詩織「一人でここまで来たの?」


少女「・・・そう・・・」


あゆ「すごいですぅ~」


少女「ここに、、用事があるの?」


朱「うん!ボク達ここを探検しようと思ってきたんだ!」


少女「そう・・・」


少しの沈黙の後で少女は口を開く。


少女「・・・わたしは、美鈴・・・ 織咲 美鈴 (おりさき みすず)」


美鈴「入るつもりなら・・・一緒に行かない・・・?」


あゆ「わっ!それは嬉しいです~心強いです!」


朱「うんうん!なかーまなかーま!」


詩織「・・・・・・」







朱「よし!一緒に行こう!」


あゆ「そうしましょ~う!」


詩織「そう、ね・・・」


美鈴「・・・・・・」


朱「あ、そだ、ボクは、朱っていう名前で・・・」


朱は美鈴に自己紹介をする。


その後で、詩織とあゆの紹介も始めた。


朱「で、こっちが、あゆちーでこっちが、しおりん!」


詩織「ちょっと、それじゃよくわからないでしょ・・・」


愛称で紹介された詩織は朱にそういうと自分で自己紹介をする。


詩織「わたしは 天月詩織あまつき しおりよ、それで、こっちの娘が 浅間朱あさま あけみよ」


朱「だよっ!よろしくねっ!!」


詩織は自分の紹介の後で、ちゃんとした朱の紹介も付けくわえる。


あゆ「わたしはですね~、新地あゆ(あらち あゆ)っていうんですよぉ~、よろしくです~」


それぞれが自己紹介をしたあと、4人は一緒に廃墟の中へ入るためにその扉の前に向かう。


詩織「・・・」


朱「よ、よし、さぁ!!いくぞ!」


あゆ「い、いきましょー!!」


ガコっ・・・ギギギギ・・・。


詩織「えっ・・・!」


朱「うわっ!まだ心の準備体操中だったのに!!」


あゆ「はうあ!わ、わたしもまだ準備が~><」


美鈴「・・・」


3人が中に入るために勇気を奮い起こしていると、立て付けの悪い音が聞こえてくる。


見ると美鈴は何の躊躇もなく廃墟の出入り口であるドアを開けていた。


美鈴「・・・」


美鈴は一度3人に振り向き目配せをすると、また何の迷いも無く中に入っていく。


詩織「あっ!、ちょっと!」


あゆ「ま、まってくださいです~><」


朱「むむ!ボ、ボクも行くよ!」


3人は少し慌てながら、美鈴の後に続いて廃墟の中へと足を踏み入れた。


中に入ってみると、そこにはカウンターと棚があるやや広めの空間だった。


詩織「ここは、ロビーみたいね」


あゆ「みたい、ですねぇ・・・」


朱「うんうん!でも、ちょっとボロボロだけど、雨とかは防げそう!」


美鈴「・・・・・・」


壁には幾つものひびが入っていて、床にも壊れたコンクリート片などが散らばっていた。


朱「よし!こっちから見てみよう!」


朱は右側の小部屋の方にいくとそこを覗いてみる。


朱「うーんと、こっちの部屋は物置かぁ、隣は階段だよ」


小部屋が物置で、その隣には階段があることを告げると、早速、朱は階段を上がろうとする。


詩織「もう朱!あんまり一人で動かないの!」


小部屋と階段を見た後で、また、勝手に色々みてまわろうとし始めた朱をたしなめる。


朱「むー、わかったよ~」


詩織に言われて渋々と、朱はみんなの元に戻ってくる。


あゆ「ですねぇ~、みんな一緒に行きましょうです」


朱が戻ってくると4人はとりあえず、どうするかを話す。


詩織「階段を上がる前に、もう一つの部屋をみましょうか?」


朱「勿論だよ!いってみよう!」


あゆ「こ、こっちはなんでしょうねぇ・・・?」


美鈴「・・・」


左側はどうやら仮眠室と医療室が一緒になっている部屋のようだ。


あゆ「ここはぁ、休憩する所ですかねぇ?」


詩織「そう、みたいね・・・」


朱「う~ん、何も使えそうなものとか無いなぁ~」


詩織「朱、あんまり触らないほうがいいわよ、怪我とかしたら大変でしょ」


朱「う~ん・・・うわっ!」


突然、朱は声を上げると、立ち上がる。


朱「うー・・・指切った~・・・」


どうやら割れたガラスに触れ、指に怪我をしたらしい。


詩織「はぁ、もう」


あゆ「だ、だいじょうぶですかぁ~!?あ、今、絆創膏だしますです」


う~っ、と、言いながら、怪我した指を口に含んでいる朱をみて、呆れたように言う詩織に、あゆは持っていた絆創膏を手渡す。


あゆ「はい、詩織ちゃん」


詩織「え?」


あゆ「朱ちゃんにつけてあげてくださいです」


詩織「・・・わかったわ、ありがとう、あゆ」


詩織はあゆから絆創膏を受け取ると、朱に言う。


詩織「ほら、指、みせてみて」


朱「う、う~・・・」


詩織「まってなさい、いま絆創膏はってあげるから」


詩織は絆創膏のテープをはずして、絆創膏を朱の指に巻こうとする。


詩織「血、まだ出てるわね・・・」


朱の指からはまだ少し血が出ていて、指の先にちいさな玉のように浮き上がっていた。


朱「んみゅっ・・・」


朱が驚いたような変な声をあげたが、詩織は気にしないで、朱の指の血を口に含んで舐めとった後、絆創膏をはる。


詩織「はい、これでいいわ・・・もう危ない物とかに触っちゃダメよ?」


朱「う~、気をつける・・・」


あゆ「ふふ~、です^^」


美鈴「・・・・・・」


詩織「さ、ここにはもう何も無いみたいだし、他も見るなら早く行きましょう」


あゆ「つ、つぎはどこにいきましょう」


朱「階段上がって上のほうを見てみようよ!」


すでに元気になっている朱に、詩織はすこしだけ呆れたような声で言う。


詩織「はぁ、わかったわ、さ、早く他も見て帰りましょう」


あゆ「ですねぇ、ケーキとか食べたいですし~」


朱「うん!冒険した後の甘い物は最高だよ!」


美鈴「・・・甘い物・・・」


朱「美鈴っちも一緒に行くよね!?」


あゆ「ですねぇ~、折角こうして会えたんですし、一緒にいきましょうです」


美鈴「・・・・・・」


詩織「どうしたの?もしかして、甘い物は嫌い?」


美鈴「・・・嫌い、じゃない・・・好き・・・」


朱「じゃ!ここを探検し終わったらいこーよ!」


美鈴「・・・・・・」


詩織「・・・・・・」


あゆ「だめ・・・なんですかぁ?」


美鈴「・・・わからない・・・」


朱「?用事とかあるの?それならまた今度でもいいからいこよー」


詩織「朱、あんまり無理に誘おうとしないの」


美鈴「・・・・・・」


詩織「ん、まぁ、今日がダメなら、また別の日に行けばいいじゃない」


あゆ「そうですね~、いつか行きましょうです」


朱「うー、残念だけど、しょがないかぁ~」


朱「今度一緒に行けたらいこーね!美鈴っち!」


美鈴「・・・・・・」


朱の言葉に美鈴は小さくコクリと頷く。


朱「ささ!次はどこいこーか!?」


朱は自分でそういってすぐに、みんなに振り向くという。


朱「そだ!屋上!外から屋上がみえたし、いってみよー!」


詩織「はいはい、わかったわよ、それじゃ屋上にいってみましょう」


あゆ「そうですねぇ、屋上ならお外ですし、ここよりは怖くなさそうです~」


朱の屋上に行きたいという言葉を聞いて、4人は階段をのぼって上の階に向かう。


途中2階は廊下があり、幾つかの部屋と大きな扉のある部屋があった。


朱「うーん、おっきなドアの部屋が気になるけれど、まず屋上!」


あゆ「いきましょうです~」


詩織「そうね、外の空気が吸いたいし」


美鈴「・・・・・・」


4人は更に上へと向かう、3階も2階と同じような廊下があり、ここには普通の部屋が幾つかあった。


更に屋上に向かうために階段を上っていく。


朱「あうぅ~~・・・」


あゆ「閉じられちゃってますですねぇ・・・」


屋上へと続く扉は事故防止のためか、鎖が巻いてあり、鍵もついていた。


詩織「残念だけれど、屋上に出るのは無理そうね」


朱「ぶーぶー!つまんなーい!」


朱は駄々をこねるように手をブンブン振り回す。


詩織「駄々をこねないの!」


朱「ぶー」


朱「ちえー、しょーがないから下の階をたんけーん!」


4人はいま来た階段を降りて3階の廊下にたどり着く。


朱「よし!まずは一番近い部屋からいくぞ!」


そうして幾つかの部屋を見た後で詩織が言う。


詩織「ここは、普通の客室があるだけ見たいね・・・」


朱「むぅ~、よし!次の部屋!」


次に朱がはいった部屋は、他の部屋に比べると比較的綺麗な部屋だった。


あゆ「この部屋は他の部屋よりも綺麗ですねぇ~」


朱「ほんとだ!なにかないかなぁ~?」


朱は何か無いか辺りを物色しだす。


詩織「朱ったら、今度は怪我、しないようにね」


朱「・・・怪我したらまたしおりんに舐めてもらうから大丈夫だよ~!」


詩織「はぁ・・・?朱、、あなたねぇ・・・」


なんだか訳のわからないことを言い出す朱に、かなり呆れたように詩織はいった。


朱「しおりんはボクの血が好きなんだぁ~!やぁ~い吸血鬼ぃ~!」


詩織「あのねぇ・・・」


そんな朱の言葉に詩織は本気で呆れているが、あゆが朱をたしなめる。


あゆ「朱ちゃん、そんな事言ったらだめですよ~」


朱「へへぇ~・・・」


朱はいきなり詩織の元に走って戻ってくると、ずいっと、鼻と鼻がくっ付きそうなくらい顔を近づける。


詩織「な、なによ」


驚く詩織に悪戯っぽく、にっと笑って朱は言う。


朱「ボク、しおりんになら血を吸われてもいいよ」


朱「しおりんのこと、好きだし・・・怖いけど!」


そういって朱は後ろにぴょんと飛び跳ねるようにして、顔を離す。


詩織「も、もう!朱!あんまりからかうと怒るわよ!」


朱「もう怒ってるじゃん!でも、本当のことだしぃ~」


詩織「もっ、もう!」


詩織は顔を赤くして、朱を追いかける。


あゆ「ふふ~、ですぅ~」


そんな二人をあゆはニコニコしてみている。


朱「ぎゃ~つかまった~、たぁ~べ~ら~れ~るぅ~!」


詩織「たべないわよ!もう!」


そんな3人の前に美鈴がスッと歩み出てる。


その目線は隣にあるもう一つの部屋の、隅に向けられていた。


詩織「あなた・・・どうかしたの?」


朱「む?なんかある~?」


あゆ「ほぇ~?」


3人も美鈴が見つめている、部屋の隅に眼を向ける。


暗くてよく見えないが、良く見るとそこには、白黒の靄?のような何かが蠢いていた・・・。


朱「なに!?あれ!」


あゆ「はわわ!な、なんでしょうか!?」


詩織「なに、かしら?壁の模様とか染みじゃ、ないわよね・・・」


そう、みんなが驚いていると・・・。


美鈴「・・・こっちにくる・・・」


詩織・あゆ・朱「・・・え?」


「お"お"ぉぉぉ・・・」


「う"、うぁぁぁ"ああああ"あ・・・」


現れた不気味な存在はうめき声のような奇声を上げ、ゆっくりと4人に迫ってくる。


そのこの世の者とはとても思えないものに3人とも驚いていると・・・。


美鈴「大丈夫、私の近くに居れば平気・・・」


美鈴は3人に目配せすると言う。


そういっている間に、亡霊が襲い掛かってくる。


美鈴「・・・もう、何も残ってないのね・・・」


一言哀れみを篭めたように呟くと、あっという間にその霊を除霊した。


朱「すっご~~い!」


あゆ「あわわ、今の!今のなんですか><!?」


詩織「・・・あなた・・・・」


美鈴「・・・ここの噂を聞いて来た、違う?・・・」


あゆ「そ、そうです~」


美鈴「・・・その、噂の通り・・・」


朱「本当に幽霊出るんだ・・・」


美鈴「・・・そう、、今のも噂を聞いてここに来た人のなれの果て・・・。でも、最近は近寄る人もいない・・・」


詩織「・・・最近?あなたもしかして前もここに来たことあるの?」


美鈴「・・・ある」


詩織「どうして?私なら一度来るだけでも・・・」


美鈴「・・・探し物がある。それと、何とかしなくちゃいけないことがある・・・」


あゆ「探し物ですかぁ?」


美鈴「・・・一緒に、探してくれる?」





詩織「・・・いいわ、それで探し物ってなに?」


美鈴「・・・鈴・・・」


朱「鈴?どこら辺にあるかなぁ~、とか、わからないかな??」


あゆ「ですねぇ~、鈴ですと小さいですし・・・見つかると良いんですけれど・・・」


美鈴「大体の見当は、つく・・・多分ここの階・・・」


詩織「そう、それじゃあ手分けして探してみましょう」


美鈴「・・・みんな一緒のほうが良い・・・」


詩織「でも、それだと・・・ん、でも、そうね・・・そのほうが安心よね」


朱「そうそう!お化けとか出たら嫌だし!」


あゆ「ですぅ~(泣)」


美鈴「ついて来て・・・」


歩きながら、美鈴は話を続ける。


美鈴「・・・・・・何処かに隠されてる・・・。それに、鈴だけじゃない・・・もっと大きな物と一緒・・・」


あゆ「もっと、大きなものですかぁ~?」


美鈴「そう、、私と同じ位の大きさの物・・・だから、きっと何処かに別の隠された場所がある・・・」


朱「むぅ~!!!なんだかワクワクしてきたー!よ~し!探すぞぉ~!」


詩織「隠された部屋・・・もしかして、それって入り口とか塞がれてたりするのかしら・・・もしそうなら何かで壊さないといけないから、私たちじゃ無理かも知れないわね」


あゆ「あぅ~、そうですねぇ・・・でも、だれがそんな意地悪したんですかぁ~?いけない人ですぅ~!」


美鈴「人、じゃない・・・人だった者・・・。それと、何かで塞がれているとかは、無い・・・入り口が・・・私には見えないだけ・・・」


朱「人じゃないって・・・ここのお化けとか?」


美鈴「・・・そう」


詩織「あなたには、どうして見えないの?」


美鈴「・・・それだけ強い結界が張られてる・・・でもきっとあなたなら見つけられる・・・」


美鈴はそういって朱をみる。


詩織「朱・・・なら見えるっていうの?」


美鈴「・・・そう」


詩織「そう・・・まぁ、朱は確かに勘が良いから、そいうの見つけるの得意かもしれないわね・・・」


美鈴「・・・そんなところ・・・」


詩織「でも、あなたに見えないものが朱に見えるのかしら?」


美鈴「・・・私だけに特別に見えなくなってる・・・。だから、あなた達にも見える・・・でも、あの娘が一番よく見える・・・」


あゆ「朱ちゃん!ファイト!です~」


朱「よ~し!ますます!ワクワクしてきた~!」


話をしながら歩いているうちに、美鈴はひとつの大きな部屋に来て立ち止まる。


美鈴「・・・きっとこの部屋の何処か・・・・・・」


朱「よーし!頑張って探すからね!」


朱は部屋を見たりして、怪しいところはないか探す。


美鈴「・・・お願い・・・私はここに結界を張る・・・」


3人は美鈴にお願いされて、辺りを探してみる・・・。


あゆ「うー、見つかりません~」


詩織「・・・・・・朱、そっちはどう?」


朱「むぅ・・・」


朱はガラクタが沢山おいてある所に向かい、ガラクタを掻き分ける。


あゆ「朱ちゃ~ん!怪我しないように気をつけてくださいです~」


詩織「・・・・・・わたしはこっちを探してみるわね!」


詩織も別のガラクタが置いてあるところに行き、朱と同じように物をどけたりして探してみる。


あゆ「わ、わたしも!」


あゆも周りを色々見たり、物をどかしたりして探し始める。


朱「あ!」


詩織「みつけたの!?」


あゆ「みつかりましたか~!?」


美鈴「・・・・・・!」


朱「うん!きっとこれだと思う!」


詩織、あゆ、美鈴は朱がいるところに向かう、すると物をどかしたりしたところの壁に小さめの扉があった。


詩織「お手柄ね!朱!」


朱「エッヘン!」


あゆ「すごいです~、朱ちゃん!」


美鈴「・・・・・・開けて・・・みて・・・」


朱「うん!」


朱がドアを開けると、ギィィィィ~~~~という、立て付けの悪い音をさせてドアが開く。


朱「よし!はいってみよう!」


美鈴「まって」


朱「どうしたの?美鈴っち?」


詩織「そうよ、ここに探し物があるかもしれないんでしょう?」


あゆ「ん~?」


美鈴「・・・そう・・・ここ、間違いない・・・」


詩織「なら、早く探し物を見つけましょう」


美鈴「・・・・・・なにを見ても、私を信じて・・・」


朱「ん?どうしたの美鈴っち~、ボク達疑ったりしないよぉ~」


あゆ「そうですぅ~!何を見たって、美鈴ちゃんを信じますよぉ~」


詩織「・・・私はあなたの事、ちょっと普通じゃない娘だと思ってたけれど、悪い感じは全然しないし・・・」


詩織「朱やあゆが信じるのなら私も信じないとね」


美鈴「・・・・・・」


ゆっくりとした足取りで美鈴が部屋に入った後に、続いて3人も部屋に入る。


その部屋の中は白い壁ばかりの殺風景な部屋で何もなかった。


そう、何も無かった、唯一、壁際に黒いセーラー服の様な服を着た半分ミイラと化し・・・。


寄りかかっている白い壁を赤く染め、床に真っ赤な血を撒き散らしたであろう"死体"以外は・・・。


途中で美鈴が脚を止めた為、その死体を見つけたとき、3人は美鈴の前に立っていた。


あゆ「キャ!!!!!!!」


詩織「え!!」


朱「あう!!!!」


3人は驚きながらもその死体をみる、そして美鈴の方に振り向く。


美鈴「・・・・・・・・・」


詩織「・・・あなた、やっぱり・・・」


朱「・・・・・・み、美鈴っちと同じ服なだけ、だよ、ね・・・?」


あゆ「あうぅ~」


美鈴「"それ"の右手の中に、私の探している物がある・・・」


3人「・・・・・・」


美鈴「・・・・・・鈴の力のせいで "霊体" じゃさわれない・・・お願い・・・」


まさに、この亡骸の主が自分自身であると言う様な、その言葉に3人は美鈴を見つめる・・・。


詩織「そうよ・・・あのニュースがあったのって、わたし達が小さいときよね・・・8年くらい前かしら?」


誰に言うとでもなく、詩織が口を開く・・・。


詩織「・・・・・・あまり、思い出したくないことを思い出しちゃったわ・・・」


朱「え・・・な、なに?」


あゆ「こ、こわいこと・・・ですよね?」


詩織「・・・ええ、とても・・・」


詩織「ここって・・・壊されたはずじゃなかったかしら・・・?」


朱「え・・・そ、そうだっけ・・・?」


あゆ「え!じゃ、じゃあ、ここはなんなんですかぁ~!?」


詩織「勘違い、じゃなければ、だけれど・・・。確か、自殺する人が多いし、わたしたちと同じ様に肝試し感覚で来る人も多いから・・・」


詩織「何よりも、帰ってこない人が多すぎるから・・・壊されたってどこかで聞いたわ・・・」


朱「う、言われてみれば、そんな事が、ネットの最後のほうに、書いてあった、かも・・・」


あゆ「だとしたら、ここに、その、えっと・・・」


あゆは美鈴の死体が、と、言えずに口篭る。


あゆが言いたいことがわかったのか美鈴が口を開く。


美鈴「もう建物は壊された後だって聞いてた・・・でも、そこに存在した・・・」


美鈴「そして、ここの支配者にあった・・・。戦って負けて・・・ここに囚われた・・・」


あゆ「・・・・・・・・・・・・」


朱「う、うぅ・・・」


詩織「・・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


詩織「・・・右手に、もっているのね・・・」


覚悟を決めたように詩織はその死体に近寄ると横に座り、握り締められた右手を少しの間見つめて、意を決したように死体の右手を開こうとする・・・。


だけれど時間がかなり経っているというのに、まるで死後硬直のように硬く握り締められていて、何故かなかなか開かない。


あゆ「詩織、ちゃん」


朱「しおりん・・・」


そんな詩織をみて、他の二人も美鈴の死体であろうミイラの傍に座り、詩織を手伝おうとするが、やはり右手は開かない。


美鈴「・・・・・・"それ"はもう"ただの物"、無理やり開いていい・・・」


あゆ「!物じゃ、ない、です!美鈴・・・ちゃんの・・・美鈴、ちゃんの・・・だから・・・」


そういって泣きながら、右手をなるべく優しくゆっくり開こうとする。


朱「そうだよ・・・美鈴っちだから・・・」


詩織「・・・・・・・・・痛かった、でしょうね・・・」


右手が痛まないようにゆっくりと開いているとき、その死体の背中に刺さっているナイフが見えて、詩織は呟く・・・そして・・・。


詩織「・・・・・・」


ギュっ、とその死体を抱きしめる・・・。


美鈴「・・・!!」


そんな詩織を見て、すこし驚いた表情をする。


あゆ「えへへ、詩織ちゃんはすごく優しいんですよぉ・・・」


朱「むぅ~、ボクにも優しくしろ~!」


詩織「もう!朱はそうやって直ぐ調子に乗るんだから!」


そういって見つめあい3人は笑いあう。


少しの時間の後、やっと右手が開いて、その手の中にある綺麗な透明の鈴を取り出す・・・。


あゆ「綺麗ですぅ・・・」


朱「うん!綺麗・・・」


美鈴「・・・ありがとう、それがあれば・・・それは、あなたが持っていて・・・」


そういってあゆを見つめる。


あゆ「わたしが、ですかぁ?わ~、嬉しいです~」


朱「いいなぁ~あゆち~」


美鈴「・・・・・・?」


自分(美鈴)の体だった"物"を見つめている詩織を見る。


詩織「・・・・・・ねぇ、このままだと可哀想だから・・・」


あゆ「・・・そう、ですね・・・」


朱「うん・・・」


そういって3人は、美鈴の背中のナイフを引き抜き、美鈴の死体を壁から動かして、床に寝かせようとするが・・・。


まるで石の様に硬く固まってしまっている体は、壁にもたれかった姿勢のままであった、それをなんとかまっすぐに伸ばそうとする。


そんな3人をみて・・・。


美鈴「それは、もう、魂の無いタダの抜け殻・・・そんな事しなくていい・・・」


詩織「私たちが、そうしたいだけだから・・・もう少しまって・・・お願い・・・」


あゆ「・・・・・・美鈴ちゃん、お願いしますぅ・・・」


朱「ごめんね、美鈴っち・・・」


詩織が美鈴の死体を押してまっすぐにしようとする・・・そのときボキ!という音と共に美鈴の死体はまっすぐになり、床に眠った姿勢になった。


3人「あ!」


詩織「ご、ごめんなさい!」


美鈴「・・・・・・だから、それは魂の無いただの物、痛みなんて感じない・・・」


あゆ「そんな、悲しいこと言わないでください・・・また、泣きたくなっちゃいますぅ・・・」


美鈴「本当の事・・・」


朱「・・・ボク向こうの部屋で被せられる布みたいなの見つけたからとってくる!」


朱は直ぐ隣の部屋に駆け出す。


詩織「・・・美鈴・・・」


美鈴「・・・なに・・・」


詩織は美鈴を呼ぶとその傍に来て、"美鈴の体"を抱きしめたように、美鈴を抱きしめる・・・。


美鈴「・・・!」


少し驚く美鈴だが、詩織に抱きしめられて、気持ちよさそうに瞳を閉じて・・・。


心の中で(・・・暖かい・・・)と、そう思った。


詩織「・・・不思議、ね、こうやって触れる事が出来るのに、幽霊なんだもの・・・」


あゆ「・・・・・・」


そこに朱が戻ってきて、寝かせた美鈴の死体に、もって着た布を優しく被せる・・・そして詩織と美鈴を見つめながら言う・・・。


朱「・・・ボク、なんだか、幽霊怖がってたのが悪い気がしてきた、ごめんね、美鈴っち~・・・」


美鈴「・・・怖いものは、仕方がない・・・それに、恐怖を感じることはとても大事・・・」


詩織「ねぇ・・・美鈴・・・こんなになってまで、あなたがやらなきゃいけなかったことって、何だったの・・・?」


美鈴の耳元で囁くように言う詩織・・・。


美鈴「・・・ここの、廃墟の支配者を、倒すこと・・・」


詩織「支配者?・・・・・・」


あゆ「えっと、倒すですか?」


朱「しはいしゃ??」


美鈴「・・・そう・・・」


詩織「・・・それが、あなたを・・・」


美鈴「・・・そう・・・」


あゆ「いけないお化けさんです~!!」


朱「そうだね!やっつけないといけないよね!」


詩織「倒して・・・どうするの?」


美鈴「・・・どうもしない・・・ただ、空に、空に還すだけ・・・」


美鈴のとても澄んだ瞳で見つめられて・・・。


詩織「・・・・・・わかったわ、でも、もう一つだけ教えて・・・どうして、そこまでするの?自分の命を失ってまで、どうして?」


美鈴「・・・役目だから・・・選ばれた者にしか、出来ない事・・・」


あゆ「確かに、お化けを倒すなんて事、私にはできませんですよね」


朱「ぼ、ボクにも無理そう;」


美鈴はあゆを見つめて言う。


美鈴「・・・あなたには出来る・・・」


あゆ「ほぇ?」


美鈴「・・・私見たいになれる素質がある・・・」


あゆ「ほ、ほぇぇえぇ!?そ、そんなことないですよぉ!わたし、お化けとか怖いですし><そんな力ありませんです~!」


美鈴「・・・まだ、目覚めてないだけ・・・だから、一緒に来てもらった・・・あなたたちもそう・・・」


詩織「私たちも・・・?」


朱「あ!そっか!ボクにはれーのーりょく?とかで隠された所を見つけられる力があるからかぁ~!」


美鈴「そう・・・」


詩織「あゆや朱にそんな力があったなんて・・・驚いたけれど、すごいじゃない!」


朱「エッヘン!」


あゆ「ほむむ、でもまだ信じられません~」


美鈴「・・・信じて、あなたには力がある・・・だから、鈴を持っていて欲しい、アレを倒すにはあなた達の力が必要・・・」


あゆ「わ、わかりましたです!信じます~!」


美鈴「・・・詩織・・・あなたは、とても強い・・・」


詩織「?え?強い?」


朱「うん、強いよねぇ~運動苦手なのにどうしてかなぁ~?」


美鈴「・・・違う・・・」


詩織・朱「?」


美鈴「・・・精神力がすごく強い・・・だからここの支配者であっても、あなたを操ることは出来ない・・・」


詩織「それって、とり憑れたりしないって、ことなのかしら?」


美鈴「そう・・・あなたがいるだけで、亡霊とかはあまり近いて来れない・・・」


詩織「あゆと同じで、私も自分にそんな力があるなんて、ちょっと信じられないけれど・・・」


美鈴「信じて」


詩織「信じるわ・・・何があってもあなたを信じる約束ですもの」


美鈴「・・・それも、霊を倒せる武器になる・・・」


あゆ「え?これが・・・ですかぁ?錆びちゃってますぅ~」


そういって、美鈴の体から抜いたナイフを見る。


あゆ「朱ちゃん、わたしはこういうのは苦手なので、もっておきませんですか?」


朱(う~・・・でも、すぐにでも折れちゃいそう・・・)




そのとき、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴという地響きとともに、建物が揺れた


美鈴「・・・・・・来た・・・・」


3人「!?」


美鈴は小部屋を出て大広間へと向かう、3人もそれに続いていく・・・・


美鈴「・・・・・・・・・・・・」


大広間へ出ると美鈴は3人に少し強力な結界を張る


詩織「私たちは何をすれば良いの!?」


あゆ「そ、そうです~!なんでもお手伝いします~!」


朱「うん!ボクも頑張るよ!」


美鈴「・・・・その時になったら、3人で精神を集中して・・・・」


朱「そのときって!?」


美鈴「・・・・それまで、待ってて・・・・」


朱「・・・・わかった」


詩織「わかったわ」


あゆ「わかりましたです~!」


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!!!!!」


地の底から響くような叫び声がする


3人「!!」


美鈴「・・・・・・・・」


両手で印を組み、霊気を溜める


あたりに黒い霧が立ち込め、その霧が一箇所に集まり一つの塊となる


その霧状の塊のなかには様々な苦悶に満ちた顔や、苦しそうにもがくように蠢く何本もの腕、その塊が廃墟の支配者の姿であった


あゆ「あう・・・・す、すごい、、ですぅ・・・」


朱「うん・・・・なんだかすごいね」


詩織「そう、、ね・・・・」


亡霊「・・・・・・久しぶりだな、巫女よ・・・・」


美鈴「・・・・そうね」


亡霊「ふ、人間の娘達を連れてくるとは、な・・・・」


亡霊はそういって、3人を見る


3人「・・・・・・」


亡霊から目をそむけずに見る


亡霊「・・・・なるほど、、な・・・・我の隠した物もみつけたか・・・・そうか・・・・」


美鈴「・・・・今度こそ、あなたを空に還してあげる!」


そういって亡霊に先ほど溜めた霊気をぶつける


それを弾き飛ばし


亡霊「ふふふ、では、やってみせてもらおうか!!!!」


美鈴と亡霊は互いに攻防をはじめる


亡霊の攻撃を避けながら、美鈴は両手でまた印を組んで霊気を溜める、そしてそれを亡霊に向かって放つ!


美鈴の霊気の塊をはじき返し


亡霊「・・・ふふふ、最初から全力でくるか!そうでなくてはな!・・・・だが少々狭いな・・・・はぁ!!」


亡霊はそう言って、美鈴の体があった場所を塞いでいた壁を打ち砕く


亡霊「これで、お互い唯意義に動けるというものだ!」


美鈴「・・・・・・」


美鈴は精神を集中し、もう一度両手で霊気を溜める、その間も亡霊の攻撃が続いていたが、美鈴は上手く避ける


美鈴は先に亡霊に放った2撃よりも、更に長く霊気を溜める


美鈴「!!」


美鈴は溜めた霊気を亡霊にぶつける


それをはじき返そうとるが・・・・


亡霊「グッ!」


流石に美鈴が溜めに溜めた霊気をはじき返すことが出来ず、その一撃でダメージを受ける


美鈴「・・・・・・はぁぁぁぁぁ」


一旦呼吸をおいて、美鈴はもう一度霊気を溜める


それを見て亡霊はさも愉快そうに笑う


亡霊「ふふふ・・・・はーははははは!!これが我の望み!!!!さぁ!我をとめてみよ!!」


そう言い亡霊は、ヤミの空間を作り出す・・・・あたり一面が闇に覆われ、美鈴は何も見えなくなる、この闇の中では全てが亡霊の攻撃範囲内であった


美鈴「いま・・・・!お願い!」


3人のいる位置に向かって美鈴は叫ぶ


3人は美鈴の姿も、亡霊の姿も見えなくなっていたが


詩織「やりましょう!!」


あゆ「いきます!!」


朱「うん!!」


美鈴の言葉に、詩織、朱、あゆは手を繋ぎ合い精神を集中する


すると、あゆの持っていた鈴が浮きあがり3人の間で止まる・・・・そして鈴はまばゆい光を放つ


あゆ「す、鈴が光って!」


朱「ま、まぶしい!」


詩織「っ・・・・・!」


いつの間にか闇は消えていて、周りが見えるようになっていた


鈴は浮いたままだが、光は消えていた・・・・


詩織「あ!」


詩織は美鈴がいるであろう場所をみる、亡霊と戦っている美鈴・・・・その少し離れた後のほうに、いつの間に現れたのか、一人の女性の姿が見えた


朱もあゆもそちらを見る


あゆ「あ!あぶないですよー!!」


朱「あれ!?あの人ここに来る前にあった人だよ!?でもあの時と雰囲気全然違う!」


美鈴「・・・・・・」


美鈴は右手と左手に溜めた霊気を、交互に亡霊に向けて放つ


亡霊「グォォォォォ!」


一撃防ぎ、ニ撃目もはじき返す、そして美鈴に向かって、使役した魂と触手でをぶつける


美鈴「・・・・・!」


それをかわしつつ霊気を溜める


その戦闘のさなか、その女性がニヤリと笑い美鈴に向かって走り出した


朱「あの人!ナイフ持ってる!!」


あゆ「えぇ!?」


詩織は女性が美鈴を狙っているのだと気ずき、叫ぶ


詩織「!!美鈴!!後ろ!!」


美鈴「!?」


詩織の言葉を聞き、後ろを振り向く・・・・


女性「が!?」


美鈴は只振り向いただけでなく、振り向きざまに肘で女性の鳩尾を打ち、更にそのまま顔に向けて拳を突き上げ、素早く一回転し、女性の腹部に回し蹴りを放った


美鈴の蹴りをうけたその女性は、後ろの方へ飛び、壁にぶち当って倒れる


詩織「手加減無し・・・・なのね・・・・」


あゆ「い、いたそぉ~ですぅ~・・・・」


朱「うん、あれは、痛いよ・・・・」


美鈴はそれを見もせずに回し蹴りを放った反動のまま、亡霊に向かって振り向きざまに溜めていた霊気を無数の弾丸のようにして放つ、そして一言・・・・


美鈴「・・・・無駄・・・・」


放たれた無数の霊気の塊を受けながら


亡霊「ぐ!ふふ、同じ手は、食わんか!ならば!!!」


亡霊はまた闇の空間をつくりだし、無数の使役した魂と触手を使い美鈴に攻撃を仕掛ける


詩織「ま、またなの!」


朱「ヒキョーものーーー!!」


あゆ「も、もう一度さっき見たいに精神集中しましょう!!」


詩織「そうね!」


朱「うん!」


あゆの言葉を聞き3人はまた手をつなぎあい、精神を集中する、するとまた鈴からまばゆい光が放たれ、そして亡霊の作り出した闇をかき消してゆく、だが、その闇が掻き消えた瞬間


美鈴「あう!」


という美鈴の声が聞こえる


あゆ「み、美鈴ちゃん!」


朱「美鈴っちー!」


詩織「美鈴!?」


美鈴は足を亡霊の触手に縛り付けられたようにされ、身動きが取れなくなっていた


美鈴「くっ・・・・」


美鈴は脚を拘束している触手に、霊気をぶつけようとするが、亡霊の攻撃によって阻まれる


亡霊「・・・・・・・・・・」


美鈴に攻撃をくわえつつ、先ほどの女性を一瞥すると、その女性は起き上がり・・・・美鈴に向かって走り出す!


詩織「くっ!」


それを見た詩織も、美鈴に向かって走り出す


あゆ「し、詩織ちゃん!!」


朱「しおりん!!」


詩織が恵理子から美鈴を護ろうとし、朱がナイフを投げつけるが外す。


あゆ「詩織ちゃんっ!!」


恵理子のナイフが詩織に襲い掛かったその瞬間、あゆの体が光り、その手には光り輝く弓と矢が握られていた。


あゆ「っ!えいっ!!」


無我夢中で射った矢が恵理子に迫る。


それを叩き落とす恵理子・・・・。


美鈴「・・・・!」


亡霊「くっ!」


美鈴「詩織!しゃがんで!!」


恵理子「がっ!!」


恵理子は美鈴と詩織に向き直るが、美鈴が拘束を外し、霊気を放ち恵理子を弾き飛ばす。



亡霊「ち、良いところだったのだが、やはり、うまくはいかんか」


壁際まで飛ばされ、ピクリともしなくなった恵理子をみて、亡霊は呟いた。


美鈴「ありがとう、詩織」


あゆ「だ、だいじょうぶですかぁ!?」


朱「しおりん!美鈴っち!」


美鈴「詩織・・・・」


詩織「美鈴、無事でよかった」


朱「もー!しおりん無茶しすぎ!!」


あゆ「ですよぉ!!」


詩織「ごめん、なさい・・・・」


美鈴「詩織、ありがとう」


詩織「え、えぇ」


美鈴「二人も・・・・」


朱「うん!、、っと、投げたの取りに行ってくる!」


美鈴「・・・・あゆも、戦力になる」


あゆ「えへへ、どうにかしなくちゃと思ったら、弓と矢が出てきました!」


3人が話しをしている間に、投げたナイフを取りに行ってきた、朱が戻ってくる。


朱「よっと、よし!これがあれば戦えるような気がする!」


美鈴「朱も、戦うことができる」


朱「よし!がんばるぞっ!」


あゆ「わ、わたしもですぅ!!」


詩織「みんな、、私が言うのも可笑しいけれど、無理はしないでね」


そういうと詩織は、美鈴たちがいる場所から、数歩下がる。


4人の行動を黙ってみていた亡霊が、言葉を発した。


亡霊「ふん、まぁいい・・・続きをしようか!!」


亡霊「だが、さすがにこのままでは分が悪いか・・・・はぁぁぁあああああ!!」


亡霊が力を籠めると、ものすごい霊力が放たれる。


朱「うわっ!!なにこれ、すごっ!!」


あゆ「はわわわっ、、ち、近づけないです!」


美鈴「・・・・・・・・」


一度放出された霊気は、また亡霊の体に吸い込まれる様にして、消えていった。


そこに立っていたのは、独りの闇だった。


美鈴「気を付けて・・・・いままで私が戦ってた時とは違う」


あゆ「は、はいです!」


朱「う、うん!」


亡霊「さて、はじめようか」


戦いの火蓋が切って落とされた、亡霊は4人に向かって猛然と突撃をする


取り分け美鈴を牽制しつつ、あゆと朱を狙っていく・・・・


あゆは自らの霊気で造り出した弓で、朱は巫女の血を吸い退魔の能力が宿ったナイフで・・・・襲い掛かってくる亡霊に互いに援護しつつ応戦する


朱「あゆち~、いいチームワーク!だね!」


あゆ「ですね!さ、がんばりましょー!」


互いに声を掛け元気を付け合いながら、あゆと朱は亡霊と対峙する


そして美鈴も、二人を狙う亡霊に対し、あゆと朱の連携の合間から亡霊に霊気で造りだした札と、短剣にも矢にも似た無数の霊気を亡霊に放つ


・・・・・・・あゆと朱、そして美鈴、3対1・・・・更に鈴の恩恵を受け、あゆは本来持っていた潜在能力、破魔の巫女としての能力に目覚め・・・・


更に襲い掛かってくる亡霊を朱はナイフでいなしつつ、攻撃をする・・・・


亡霊「・・・・なかなかいい動きだな、だが!」


亡霊は朱の攻撃をかわし、そのまま反撃に転じる


朱「むむ!!」


亡霊の連続的な攻撃をなんとか受ける朱


あゆ「朱ちゃん!下がって!」


あゆの言葉を聞き、朱は後ろに飛びのく、その瞬間に亡霊に向かい、あゆは矢を放った・・・・


はじめ一本だった矢は散弾のように細かい矢の雨となり、弾幕のように亡霊に襲い掛かる


美鈴「・・・・・・・」


美鈴もそのタイミングを逃さず、亡霊が二人に気を取られている間に、手のひらに集めた霊気を放つ


亡霊はあゆの散弾の矢を体を反転させその圧で薙ぎ払い、美鈴の放った白刃のような霊気衝波を体をのけぞるようにして避ける


亡霊「ぬるい」


亡霊は美鈴にそういいった後、、朱とあゆを見る、そして驚いたように一瞬目を見開く


亡霊「!・・・・斬魔・・・・」


朱の方に眼を向け、亡霊は斬魔、と、つぶやいた


朱「え?なになに??」


朱自身も何のことかわからず、驚いていると


美鈴「・・・・ナイフ・・・」


朱「え?」


あゆ「光ってます~」


美鈴にそういわれ、朱は自分の持つナイフに眼をやると、薄っすらとだが、光を放っていた・・・・


亡霊「ふっ、、斬魔の血を引く者・・・か・・・・」


朱の家系である浅間は、古に滅びたといわれている、最強の退魔師 斬魔 の血をひいている


本来ならば目覚める事がないほどに薄くなっていた、その血に宿る能力が僅かにだが目覚めていた


亡霊「と、いっても、、、、話に聞いた斬魔に比べると、紛い物と言うしかないほどに弱々しいがな」


朱「むぅ・・・・でも、これで斬られたら、きっと痛いと思うよ!」


それを鼻で笑いつつ答える


亡霊「・・・多少はな・・・・」


あゆ「朱ちゃん!おめでとです~、今までよりも強くなったのです!」


朱「うん!・・・・う~ん、でもさぁ、あっちはすごい余裕そう・・・・なんかムカっ!」


美鈴「・・・・斬魔、本当ならば斬った亡霊を消滅させることができる・・・・今のあなたにはそこまでの力はない、でも、それでいい・・・・」


亡霊「・・・・・・斬魔はその力ゆえに迫害され、そしてその血の力により滅びたという・・・・強すぎる力というものは、己をも傷つけるものだ・・・・」


亡霊はそういった後、、すこし眼を伏せ自嘲気味に笑う・・・・


詩織「・・・・・・」


戦う能力は無い、と自分でわかっていた詩織は美鈴達に庇われるように、その後ろから3人の戦いを黙って見ていた


そんな詩織がふと、亡霊のほうに眼をやると亡霊と眼が合う


亡霊「ふふ、、どれ、少し意地の悪いことをしてみよう」


そういって詩織に向かって行こうという姿勢をとる


詩織「え!?」


亡霊「くっくく、さて、3人の騎士はお姫様を護りきれるかな!?」


言葉を言い終えると同時に亡霊は詩織に襲い掛かる


あゆ、朱「!!」


美鈴「詩織!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



美鈴「っ!!はぁっ!」


攻防の一瞬の隙を突いて、美鈴が亡霊に向かい、巨大な白刃とも光刃にも見える強大な霊気を籠めた光を放つ。


亡霊「ふっ・・・・」


やや遊び半分で詩織を狙い、あゆと朱の二人を相手にし、更に美鈴に注意を払う・・・・そんな余裕のある亡霊にやっと、美鈴の必殺の一撃があたった


朱「やったかな!?」


あゆ「美鈴ちゃんの当たりましたです!!」


亡霊に一撃をくわえた美鈴は呟く・・・・


美鈴「・・・・だめ・・・・」


白刃の衝撃で亡霊がいた辺りは煙が揺らめき、亡霊自体の体からもダメージを受けた証拠である煙がモクモクとでてはいたが・・・・


亡霊「ふん、、心地の良い、、熱さ、と、言ったところか・・・・」


美鈴の放った白刃のような霊力の波動をうけても、亡霊は大した痛手を被ってはいないようだった


あゆ「はう!美鈴ちゃんの攻撃でもあまり痛くなさそうです・・・・」


朱「むむむ、どうしよう・・・・;これじゃあ、いつまでたっても終わらないよ」


霊気の光刃を放った手のひらを見た後、美鈴は頭の中でひとりごちる


美鈴(・・・・霊力は無くならないくらい、ある、でも、、力が、ない・・・・)


鈴の恩恵を受け、美鈴も無限に近い霊力を得ていたが・・・・肉体を持っていたときと比べ威力は格段に落ちていた・・・・故に亡霊に対しての決定打を撃てないでいた


亡霊「巫女よ、、お前が肉体を持っていた状態であったら、今の一撃で我を倒せていただろうにな」


美鈴「・・・・・・・」


亡霊に思った事を言われたが、美鈴は亡霊のほうを見ながら思う


美鈴(・・・・霊力はなくならない、危なくなったら、みんなを逃がす事はできる・・・・)


美鈴の考えていることをまた読んだように亡霊は言う


亡霊「巫女よ・・・いざとなれば、この娘達を外に飛ばす事は簡単だろうな」


美鈴「・・・・・・・」


あゆ「え!それじゃあだめです!美鈴ちゃんも!」


朱「そうだよ!ボクたちだけ逃げるなんて!」


詩織「・・・・・・・」


亡霊「ふん・・・・この中の誰か一人を、我が殺したとしたら、それでもお前は残った者だけを逃すのか?」


美鈴「それは、絶対にさせない・・・・」


美鈴は絶対的な自信があるように言う、実際亡霊が詩織を狙っても美鈴に阻まれ、指一本触れることができていない


そしてあゆや朱も攻撃こそされて入るがどれもこれもダメージといえるようなものは被っていない


あゆが援護したり朱が牽制したりはしているが、美鈴もちゃんと見ているのである、、亡霊が4人を相手取っているように


美鈴も3人を護りながら、亡霊の動きを追っている3人の誰かが危険になれば、すぐに身を挺してでも庇える姿勢を常にとっている・・・・。


亡霊「・・・・・ふん」


亡霊もそれがわかっている、だが・・・・


亡霊「巫女よ・・・・一つだけ言っておくぞ、我が倒すのは、なにもそこの娘達でなくてもよいのだ・・・・」


亡霊「お前を倒したとしたら、果たして、この娘達は素直に逃げるかな?」


美鈴「無理やりでも逃がす・・・・」


あゆ、詩織、朱「!!」


美鈴の言葉に3人は息を呑んで驚き、そして言う


あゆ「え!い、いやですよ!そんなの!」


朱「そーだよぉー!置いていける訳無いじゃんか!」


美鈴「だめ」


あゆ「だっ、だめじゃないですぅ!!」


朱「だよだよ!」


詩織「・・・・・・・」


あゆと朱は美鈴に抗議するが、詩織は美鈴を黙って見つめた後に言う


詩織「無駄よ・・・・あゆ、朱、この娘が本気になったら、ここから私達を外に出すことなんて簡単なことだと思うわ・・・・」


美鈴「・・・・そう・・・・だから、危なくなったら、3人とも逃がす・・・・」


あう「・・・・・・」


朱「うぬぬぬぬ~!!」


詩織「だから美鈴・・・・私のわがままだけれど、聞いて頂戴・・・・あなたもちゃんと逃げて」


美鈴「・・・・・・・」


そういった詩織を美鈴は少し、困ったように見つめる・・・・


あゆ「わ、わたしもそうしてくれなかったら、、、」


朱「うん・・・・ボクも、怒っちゃうぞ!」


美鈴「・・・・・・わかった・・・・できるだけ、、そうするようにする・・・・」


美鈴の自分も逃げるという言葉を聞いて、3人はとりあえず安堵の表情を見せる


美鈴「・・・・でも・・・・」


あゆ「え、、、?」


美鈴「彼はまだ、本気じゃない・・・・」


朱「う、、たしかにまだ遊んでるよね・・・・」


あゆ「あ、、で、でも負けませんです、頑張るです!」


詩織「いまのままでも、、十分強いとおもうのに、ね・・・・」


亡霊「ふん、そのとおりだ、さて、時も満もみちた事だ・・・・」


そういうと亡霊の体から瘴気が立ち込める


亡霊「遊ぶのも飽きたところだ、そろそろ本気でいかせてもらうぞ!!」


亡霊は標的を詩織ではなく美鈴に切り替え、執拗に美鈴を狙い撃ちにする


その動きはさっきまでとは比べ物にならない程に早い


美鈴「!!」


美鈴も早さに着いていくと言うよりは、反射神経のみで亡霊の攻撃を受け流している


亡霊「そらそら!巫女よ!それでは己自身すら護れんぞ!」


美鈴「くっ!」


あゆもなんとか美鈴を助けたいが、亡霊の動きが早すぎて、狙いが定まらない


それは朱も同じようで、いつ飛び込んでいいのかわからないで固まったまま、叫ぶ


朱「なんだよ!あれ!?反則だよ!早すぎ!!!」


朱がそういった瞬間


美鈴「あぐ!!」


亡霊の横殴りに薙ぎ払った腕が美鈴の防御している腕越しにあたり、飛ばされる


あゆ「みっ!」


あゆは美鈴の名前を叫ぼうとした、そのときにはもうあゆの目の前に亡霊がの姿があり、あゆの腹部に掌底を当てようとする寸前であった


詩織「あゆ!」


あゆ「あぅ!」


朱「あゆちー!」


だがその手が当たる瞬間、霊気の障壁があゆを護った


亡霊に弾き飛ばされたはずの美鈴が創り出したものだった、障壁に護られたあゆの腕をつかみ朱が亡霊から引き離す


あゆ「は、、はぅぅ・・・・」


詩織「本当に・・・・反則ね・・・・」


朱につれられて来て、そのままへたり込んでしまったあゆを抱きかかえながら詩織は言う


亡霊「間一髪・・・だったな?」


そういった亡霊に美鈴が攻撃を仕掛ける、、が、亡霊に腕をつかまれ宙吊りにされてしまう


美鈴「あう!」


そのまま亡霊つかんだ美鈴の腕に力を込める


美鈴「ぐっ・・・・!」


へたり込みながらもあゆは亡霊に向かって弓を射った


亡霊「・・・・・・」


亡霊はその矢を開いている片手で掴み取り、握りつぶしてしまう


更に朱が亡霊に背後から首筋を狙ってナイフを斬り込むが、亡霊は美鈴を掴んだまま振り向きざまに朱を蹴り飛ばす


朱「ぐぇぶ!!」


腹部のあたりを蹴られ、蛙の潰れた様な声をあげ、朱は詩織やあゆのいる場所まで飛ばされる


あゆ「朱ちゃん!」


詩織「朱!!」


蹴り飛ばされてそのまま床に落ちて、転がった朱を詩織が受け止める


朱「ゲホゲホ!!・・・・う~、へんなごえ、、だしたぁ・・・・かっこわりぃ・・・・ゲホゲホ!」


詩織「朱!・・・もう、、大丈夫?」


朱「う、、なんとか、、、みすずっちに助けられた~」


あゆ「よ、、、よかったですぅ」


またも美鈴は朱に亡霊の攻撃が当たる一瞬の間に、障壁をつくりだし朱を護った


障壁はまるでガラスのように粉々に砕けたが、それでも威力を弱めることができた


その間に美鈴は掴まれていないほうの手に霊気を溜め込み、光刃を零距離から亡霊に放つ


辺りが一瞬白く染まる


亡霊「・・・・・・・」


だが亡霊は、それでも、殆どダメージを負っていなかった


美鈴「・・・・・・・!」


驚いたような、諦めた様な表情を一瞬浮かべる美鈴


そんな美鈴の腕を亡霊は更に強く握りつぶす


美鈴「ぐっ・・・・」


苦痛にゆがむ美鈴の顔を見ながら亡霊は言う


亡霊「ふふ、巫女の苦痛に歪む顔をみるのは、、なかなかに楽しいもの、、だっ!!」


言葉が終わると同時に、美鈴を詩織達の方に投げ飛ばす


美鈴「っ!」


美鈴はなんとか受身をとり着地したが亡霊はその後を追うように美鈴や詩織たちのいる場所に疾風のような速さで突っ込んでくる


その亡霊に対してあゆは矢を放つが、亡霊にまるでゴミでも払うように叩き落される


あゆ「!!!」


朱「くっ・・・あう・・・・」


詩織「朱!」


朱もなんとかしようと立ち上がろうとするが、体に力が入らずしゃがみこむ


亡霊は朱と詩織に向かって疾走する


朱「し、しおりん!にげ」


詩織「ばか!そんなこと!」


亡霊が詩織たちの元にたどり着く瞬間、黒い塊が亡霊にぶつかった、黒い塊のように見えたのは美鈴だった、霊気の障壁を前面に創り出し正面から亡霊にぶっかったのだ


亡霊は衝撃で後ろに飛ばされ、美鈴も詩織たちの頭上を飛び越え、受身も取れないまま床に叩きつけられる


朱「みすずっちぃ!」


詩織「美鈴!!」


あゆ「美鈴ちゃん!」


3人は美鈴の名前を呼ぶ


美鈴「・・・・・・・・!」


美鈴は何とか起き上がろうとするが、そのままガクリと膝を付き、四つんばいになる


亡霊と衝突し床に叩き付けられた衝撃が体中に痺れを発生さていた


詩織はそんな美鈴の元に行き、抱き起こそうとする


詩織「美鈴!、、、無茶するんだから、、、」


美鈴「だ、、め・・・・しおり・・・離れ・・・」


詩織「え」


美鈴は立ち上がることができないでいる・・・・しかし、亡霊の方は違っていた・・・・体勢を立直し、立ち上がることのできない美鈴に向かっていく


美鈴「しおり・・・・くっ!」


美鈴は何とか立ち上がろうと体に力を入れるが、亡霊はもうすぐそこまで迫っていた


朱「うりゃーーーーー!!」


朱はやっと動くようになった体で美鈴がしたように亡霊にむかってぶつかろうと走り出す


あゆ「朱ちゃん!!えい!!」


あゆはそんな朱を援護するように弓を射る


だが矢ははじかれ、亡霊が振り上げた腕に朱は飛ばされる、腕が当たる前に美鈴のものと比べると薄いが、あゆが創り出した障壁によりなんとか護られはした。


それでも、美鈴達の更に後ろの床にたたき付けられる


朱「あぐっ!・・・・・・・・」


床にたたきつけられ、短い悲鳴を上げた朱はとこに突っ伏し、手の指がピクリと動くだけで、立ち上がれない


あゆ「朱ちゃん!!」


あゆはそんな朱の元に駆け寄る、その間にも亡霊は殴り掛かる姿勢のまま詩織と美鈴に突っ込もうとする


なんとか立ち上がった美鈴は、ふらつく足で詩織を護ろうと前にでようとする・・・・


美鈴「!?」


詩織「・・・・・・」


だが、、そんな美鈴を庇うように詩織が手を広げ立ち塞がった


美鈴「詩織!だめ!!」


詩織(また咄嗟に、、前に出ちゃった・・・・あゆや朱と違って、、なんの役にも立てなくて、、せっかくこの娘が助けてくれようとしたのに・・・・)


そんな詩織に亡霊の拳が降りかかる・・・・詩織は眼を閉じた・・・・


詩織(わたしって・・・・馬鹿よね・・・・ごめんなさい・・・・)


あゆ「詩織ちゃん!!!」


朱「しおりん!!!!」


美鈴「詩織ーーーー!!!!」


3人の悲鳴にも似た叫びの中、無常にも亡霊の拳は詩織の体に撃ち込まれた


「ぐっ!!!おおおおぉぉぉぉ!!!」


何かがぶつかる音と同時に、弾かれる音、そして男の驚きに満ちた叫び声がし、その少し後で、何かが床に叩きつけられる音がした


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


美鈴「し、おり・・・・」


あゆ「詩織ちゃん!」


朱「しおりん!!」


3人が詩織を呼ぶ声がする・・・・その声が聞こえ、詩織はゆっくりと目を開ける


詩織「!!」


詩織の前には丸い光が護るように放たれていた・・・・


詩織「・・・・え?」


あゆ「詩織ちゃん、、よかったですぅ」


朱「しおりんすごいよ!なにそれ!どうやったの!?」


美鈴「詩織・・・・よかった・・・・」


詩織「え、、えっ・・・・」


詩織自身にもまったくわからない・・・・


ただわかるのはこの円状の光が自分を護ってくれた、ということだけ・・・・


詩織「わたしにも、、わからない、わ・・・・」


詩織はそういうと美鈴を見る


美鈴「・・・・・・・」


詩織がこの力はなに?と聞きたいのが解かったのか美鈴が答える。


美鈴「今は確かなことはわからない、、でも、もしかしたら、詩織が切り札になる・・・・」


詩織「どういう、意味?美鈴」


あゆ「切り札、、ですかぁ?」


朱「あいつに、勝てるかもしれないんだね!」


美鈴「そう、勝てる」


がらがら・・・・と離れたところで音がした



亡霊「くっ・・・・一体、なにがおきたのだ・・・・?」



音の正体は立ち上がった亡霊だった、詩織を攻撃した亡霊は攻撃した瞬間に拳を弾き返された後、コンクリートの床に叩きつけられ


その床を抉り、更にバウンドして部屋の端まで飛ばされていた・・・・


亡霊「・・・・・・ぐぅ・・・・」


しかも、かなりのダメージをその体に受けていた・・・・


ゆっくりと、亡霊は詩織たちの元に歩み寄る・・・・


亡霊「・・・・お前、一体なにをした・・・・?」


ゆっくりと歩み寄り、ある程度近づきその脚を止めると、詩織に向かい言った


詩織「・・・・・・わから、、ないわよ」


亡霊「・・・・巫女にもわからんか?」


美鈴「・・・・・・・・」


亡霊「そう、か・・・・」



暫くの沈黙が続くが、やがて亡霊が考え事をするように顎をさすりつつ、言葉を発する


亡霊「まぁ、、いい、、はじめるか・・・・お互い少しは休めただろう・・・・」


亡霊が再戦の合図を言い、構えを取る


それを見た後、あゆと朱も詩織たちから離れて、攻撃に備えようとするが・・・・


美鈴「まって、なるべく詩織の近くに寄って」


美鈴の言葉に、二人は答える


あゆ「えっ・・・・わかりましたです」


朱「うん、わかった」


あゆと朱はその言葉を聞くと、詩織の傍に来る


詩織「美鈴・・・・」


少しだけ不安そうに詩織が美鈴の名を呼ぶ


美鈴「・・・・信じて・・・・詩織の周りに居れば、みんな平気・・・・」


詩織「わかったわ!」


詩織は強く頷くと、亡霊に眼を向ける


亡霊の黒い霧のようなものが払われ・・・・その姿がはっきりと見えるようになっていた


茶色のロングコートを着た、癖のある黒い長髪の男だった・・・・


今までの凶暴的な強さとは裏腹に、その見た目は暴力的というよりはどちらかといえば芸術肌的なイメージが強い


亡霊「っち・・・・これは笑えん程の痛手を受けたな・・・・」


自らの姿を認識した亡霊が呟く


それでも亡霊は姿勢を落とすと、詩織たちに向かっていく構えを取る


詩織「っ!」


あゆ「き、きますですね!」


朱「うん!」



美鈴「・・・・・・・」


亡霊「・・・・・・・・・」



なのに亡霊は攻撃してこない・・・・何か考えているのだろうか?



詩織「・・・・どうしたのかしら?」


あゆ「なにも、してきませんね~?」


朱「まだ体が痛い、、とか?だとしたら、流石しおりんだよ!」


詩織「朱!」


朱「ひぃ~!」


詩織「もう、こんなときなのに・・・・」


朱「でへへ~」


あゆ「ふふ~、帰ったらみんなで甘いもの食べにいきましょうですね」


詩織「もう、あゆまで・・・・でも、パフェとか食べたいわね・・・・」


朱「ボクも食べたい!」


美鈴「みんな・・・・」


美鈴はそんな3人に声をかける


詩織「あ、、ごめんなさい・・・・」


朱「むむ、油断大敵、だよね・・・・」


あゆ「ご、ごめんなさいです・・・・」


戦いの最中なのに、と、美鈴が嗜めたと思ったのだろう、3人は美鈴に謝る


美鈴「大丈夫・・・・必ず、帰れる・・・・」


美鈴は嗜める言葉でなく、必ず帰れると3人に言った



詩織「ええ!!」


あゆ「頑張りますです!!」


朱「うん!!」


美鈴の言葉に勇気付けられ、3人は笑顔を見せる


そんなやり取りをしている美鈴達に亡霊は言う


亡霊「・・・・そういえば」


亡霊が声を発すると、静寂が訪れる



亡霊「・・・・自己紹介をしてなかったな・・・・」




詩織「えっ!?」


朱「へ?」


あゆ「ほ、ほえ?」


拍子抜けしたような声をだす3人


美鈴だけが、真剣な眼差しで亡霊の顔を見つめていた


美鈴「・・・・・・」


亡霊「・・・・・・」


そんな美鈴を見つめ返すと亡霊は言う




亡霊「・・・・和辻、群青わつじ ぐんじょう・・・・だ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


暫くの沈黙・・・・・・その静寂の中で鈴の鳴るような声がした


美鈴「織咲美鈴おりさき みすず


和辻群青と名乗った亡霊を見つめて、美鈴は自らの名前を答える・・・・


群青「・・・・・・・・」


美鈴と群青はしばらく見つめ合う




詩織「ちょ、ちょっと、美鈴・・・・」


あゆ「あ、あうあう」


朱「えっとぉ~・・・・」


名前を名乗り合い、、自己紹介を始めた二人に戸惑う3人


そんな3人に催促するように群青はいう


群青「で、お前達の名は?」


詩織「・・・・・・・・」


あゆ「・・・・・・・・」


朱「・・・・・・・・・」



思案するような沈黙の後で、詩織が口を開く


詩織「わたしは、天月詩織あまつき しおりよ」


朱「ボクは浅間朱あさま あけみ!!」


あゆ「あっ!え、えっと、新地あゆ(あらち あゆ)です~!」


3人は名前を名乗る


詩織「でも、どうして名前なんて・・・・」


疑問を詩織は口にする


群青「・・・・斬魔に破魔巫女、そして鈴の巫女に・・・・我にも巫女にもわからん力を持った者・・・・」


群青「我を倒すには十分な面子・・・・ということだ・・・・」


詩織「・・・・」


朱「・・・・」


あゆ「・・・・」


名前を名乗り、名乗らせた意味を3人は理解した・・・・


美鈴「・・・・来る」


群青「いくぞ」


群青が遂に動いた


美鈴「詩織!」


詩織「やってみるわ!!」


美鈴の言葉に詩織は力強く答える


群青「・・・・ハッ!」


そんな詩織目掛けて群青が突進してくる


攻撃範囲に詩織を捉え、手刀で突きを放つ


詩織「・・・・!!」


詩織は意識を集中する


群青「っ!」


丁度詩織に腕を伸ばせば届く範囲、、、そこから先に進もうとすると円状の光のが邪魔をする


続けて群青は周り込むように光を避け、別の位置から詩織に裏拳を叩き込む


詩織「っ!!」


群青「ぐっ!!」


その攻撃は詩織の体に触れる前に光の防壁によって阻まれる


群青「・・・・・・」


群青はギリギリまで詩織に近づく


詩織「・・・・・!」


群青の手が詩織の首元に迫る、、が、その首を掴む前に群青の手は弾かれる


群青「ちぃ!」


そんな一方的な攻撃と鉄壁の防衛が繰り広げられる


詩織「・・・・!!」


群青「しっ!」


詩織「・・・・っはっ!」


群青「ぜぇい!」


詩織「・・・・・!!」


詩織「っ!・・・・はぁはぁ・・・・」


群青「流石に疲れはでるようだな」


詩織は確かに息があがっている、、、が、群青も無傷ではなかった


拳からは白い煙が上がっている・・・・


群青は詩織からやや離れるように後ろに飛びのく


少し荒い息を吐いている詩織に3人は駆け寄るとそれぞれ言葉をかける


美鈴「・・・・・・・・」


あゆ「詩織ちゃんすごいです~!」


朱「さすがしおりんだよ!!」


美鈴「詩織、ありがとう、もう大丈夫・・・・」


詩織「っ・・・はぁはぁ、、、、え?」


美鈴「少し、休んで・・・・」


美鈴「あゆ!朱!」


あゆ「は、はいです!」


朱「やっと出番だね!いつでもいけるよ!!」


言葉が終わると同時に3人は群青に散らばって攻撃を始める


詩織「みんな!」


朱「しおりんばかり大変だし!」


あゆ「ですです~!わたし達もがんばるです!」


詩織「ええ、でも無理はしたらだめよ!!」


その言葉に目配せでわかったと二人は合図をする


詩織と朱とあゆの3人は言葉を交わさなくても気持ちは伝わっていた


だって、ずっと親友だったから・・・・掛け替えの無い親友だから


そして美鈴とあゆと朱はそれぞれ別の位置から群青を迎え撃つ


美鈴「出来るだけ、彼にダメージをあたえて」


朱「うん!」


あゆ「わかりましたです!」


統率の取れた連携、美鈴が動いたら、あゆが、朱が


群青「はぁ!」


朱「っ、、あぶな」


群青「小賢しい!」


あゆ「朱ちゃん!」


朱「平気だよ!」


美鈴「・・・・・・」


群青「!!ちぃ!!」


朱が危なくなったら、あゆが護り、その間に美鈴が群青に攻撃をする


そう、3人も言葉を交わさなくても伝わっていた・・・・


まるで、、歴戦の戦友のように・・・・・・


その3人とたった一人で戦う群青も・・・・


確実に先ほどよりも、力は落ちている、、影が消えたとなると、相当なダメージをその身に受けているはずである


なのに、、亡霊は、、いや、群青の動きは切れが増している、そしてスピードも・・・・


先ほどまでと異色のない速さで美鈴達に攻撃を仕掛けてくる


全てを賭けているのだろう・・・・自らの終幕を悔いの無い最期にしてくれるであろう者達に全力で抗い、そして答えるために・・・・


その顔は、、意気揚々としている、そう、彼は、戦いながら・・・・




                 笑っていた




それは皮肉めいた笑いでもなく


自嘲する笑いでもなく


以前そんな笑みを浮かべたのは、いつだったのかすら思い出せないほど久しぶりな


彼の素直な、、、本当の、笑みなのだろう


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一度息を整えるためか、群青も美鈴達も距離をとる


美鈴たちは詩織の居る位置に、群青はそれとは反対側に・・・・


詩織はみんなを護るようにその前に立ち、いつでも群青に備えられるように構える


あゆ「はぁ、はぁ・・・ですぅ・・・」


朱「ふぅ、ふぅ・・・・ちょこっと疲れた~」


美鈴「・・・・・・ん」


美鈴は疲れを見せている二人に向かっていう


美鈴「彼は強い、もう少し、隙が出来るまで・・・・」


あゆ「が、がんばりますです!」


朱「ボクだって!」


美鈴「ありがとう・・・・」


二人の言葉を聞いた後、今度は詩織に向かって言う


美鈴「詩織・・・・ごめんなさい・・・・」


詩織「え?」


美鈴「さっき危ないことさせた・・・・」


詩織「何言ってるのよ、美鈴だってあゆだって朱だって、危ないでしょう?」


美鈴「・・・・詩織の力、わからなかった・・・・」


美鈴「聞いたことはある力・・・・でも見たことが無かった・・・・確信がなかった」


美鈴「だから、試した・・・・」


美鈴「だけど、憶測と違ってたら・・・・」


詩織「いいわよ、そんなこと」


詩織のその言葉を聞いても美鈴は顔を落とし続けて言う


美鈴「もし、違ってたら・・・・詩織を見捨てるのと、、同じ、だった・・・・」


詩織は美鈴の顔を覗き込むようにして、少し微笑むと優しい声でもう一度言う


詩織「いいわよ」


美鈴「ありがとう・・・・」


美鈴「詩織の力・・・・思った通り・・・・」


美鈴「やっぱり、切り札は詩織」


詩織「・・・・わたしに出来ることなら、なんでもするわ」


美鈴はその言葉にゆっくりと頷き、朱とあゆに向かって言う


美鈴「朱、あゆ、合図したら・・・・詩織の所に集まって・・・・」


あゆ「あいです!」


朱「うん!」


美鈴「それまで、がんばって・・・・」


美鈴「みんなが詩織のところに集まったら、詩織、自分の周り全てに、、”鏡”を張って」


詩織「・・・・わかったわ!任せておいて!」


美鈴は詩織の力を鏡といった・・・・





群青「お前は、我の攻撃をまったく受け付けんからなぁ・・・・」


群青は詩織をみて、いかんともし難いとでも言いたげに言うと


瓦礫の山から大き目のコンクリート片を持ち出してそれを頭上高く持ち上げる


群青「ならば、これならどうだ!?」


叫ぶと同時に詩織に向かってその瓦礫を投げつける


詩織「・・・!!」


詩織は群青の飛ばした瓦礫にむかって力を篭める


美鈴「!!詩織、だめ!逃げて!」


美鈴が詩織に向かって叫ぶ


パリーンとガラスが割れるような音がすると


詩織「きゃっ!」


美鈴「詩織!」


詩織が創り出した光は群青が投げ飛ばした瓦礫に当たると粉砕した


朱「しおりん!」


あゆ「詩織ちゃん!」


だが、光に当たった瞬間に瓦礫も勢いを失い詩織までは届かず、辛うじて詩織は難を逃れる


それを見た群青は詩織に向かって言う


群青「なるほど、霊的な力は全て無効化、、するどころか、吸収した挙句に反射するのか・・・・ありえんな」


群青「自分で殴れんのでは仕方が無いからな、、試してみたがどうやら、、物理的な力には無力なようだな」


確かに、詩織の力は物理的には無力であるが・・・・


霊的な力で飛ばしてきた物でもあるので、飛んできた物の勢いを若干削ぐことはできるようだ


群青「ふむ、とはいっても厄介なことに変わりは無い」


群青はそういうと全身に力を篭める


群青から黒い瘴気が立ち上り、部屋全体にある瓦礫、、


コンクリート片や壊れた傘、空き缶、木の残骸、などが空中に浮かび上がる


美鈴「詩織!!気をつけて!」


美鈴が詩織に向かって叫ぶ、と同時にあゆと朱と一緒に群青に向かって走り出す


だがそれよりも早く群青は詩織に向かって眼を見開き気合を込めた声を放つ


群青「はぁ!!!」


群青が叫ぶのと呼応して、浮かび上がった瓦礫の山が詩織に襲い掛かる


ぼん!!!


詩織「っ!」


ドシャ!!!


詩織「ちょ、ちょっと!!」


ガシャん!!!


詩織「あぶない、、、わね!」


唸りを上げて飛んでくるそれらを鏡を使いうまく交わす詩織


朱「しおりん大丈夫!?」


詩織「ええ!」


あゆ「よかったです~!」


詩織を心配するあゆと朱


群青「ふん、まだまだ次が・・・っと、今度は巫女か!?」


もう一度詩織を狙おうとした群青に美鈴が攻撃を仕掛ける


美鈴「させない」


群青「まぁ、そうだろうな!」


群青は突っ込んできた美鈴に応戦する、そしてあゆと朱もそれを援護する


詩織「みんな!」


詩織は最後までは言わなかったが、その言葉の後には無理はしないで!という言葉が続くことをみんなわかっていた・・・・


群青「ふっ、、、すばらしい、、な・・・・あのときの我も!!」


美鈴「っ!!」


群青の渾身の一撃が美鈴を捕らえる


あゆ「美鈴ちゃん!」


朱「美鈴っち!」


詩織「美鈴!!・・・・っ!!」


群青「ぐっ!!」


その一撃は一枚の鏡によって阻まれる


美鈴「・・・・・・・ありがとう、詩織」


そう、呟きながら、美鈴は詩織の鏡によって体勢を崩した群青に


群青「ふっ・・・・」


・・・・群青は鼻を鳴らすように笑う


美鈴「・・・・・・・・」


・・・・両手で白刃を放つ・・・・その顔は、これで・・・・終り、とでも言うような、優しい微笑みだった・・・・


群青「・・・・・・・・・」


その白刃を受けて群青は弾かれると、床に激突する


美鈴「あゆ!朱!」


美鈴が合図を、する


あゆ「はいです!!」


朱「うん、わかった!」


美鈴が合図をし、詩織の元に集まる・・・・


詩織「・・・・・・・っく!!!!!!!!!!」


詩織は先ほど言われたとおりに、美鈴達を含めた自分の周り一帯に力を集中させる


詩織が望んだ範囲に、光が現れ、詩織とその仲間達を護る円状の光の壁となる


群青が若干ふらつきながら、立ち上がる・・・・


詩織を取り囲み、あゆ、朱、美鈴は詩織の創り出した"鏡"に霊力を集める・・・・


美鈴達の霊力を吸った光の壁は、詩織のかざした手に集まり、真っ白に光り輝きまるで鏡のようになった


みんなの霊力を媒体にし、膨れ上がった霊気を詩織は攻撃の力に転換し、群青に向けてはなった・・・・


すべてが白く染まった・・・・静寂が訪れる・・・・その光の中で、美鈴と群青の二人だけの空間ができていた・・・・


美鈴と群青・・・双方が、互いに霊域を造り出したのだ・・・・美鈴は約束を果たすために・・・・群青は最後の会話を美鈴とするために・・・


その光の空間の中で、二人は話をしていた


群青「なぜ、我にそこまでする?」


美鈴「役目・・・・だから・・・」


群青「・・・・・・・」


美鈴「それに、、わたしは貴方が描いてくれた絵を、持ってる・・・・」


群青「・・・・?絵・・・だと?・・・・・・!!思い出した!そうか・・・・ふふ、、そうか・・・・巫女はあの時の・・・・」


美鈴「小さいとき、貴方が描いてくれた、私の絵・・・・とても、、好きだった・・・・」


群青「ふふ、しがない旅の絵描きが、偶々道端で出会った少女を、描いただけだ・・・・本当に、、それが理由で、、我を・・・・?」


美鈴「・・・・あの時の貴方はとても輝いていた、瞳が、、だから、お願いした、描いてほしいって・・・・」


群青「それが、この様だ・・・・失望しただろう?・・・・」


美鈴「・・・・・・・・」


群青「我は結局自らが描いた絵が売れず・・・・いや、それはまだ良かった、絵は売れずとも、描くのは楽しかった・・・・」


群青「社会的に認められずとも、友が、周りの者が認めてくれる、それだけで良かった、嬉しかった・・・・なのに・・・・」


美鈴「・・・・本当に力がある人の全てが、成功するわけじゃない・・・・」


美鈴「寧ろ、本当に才能があったからこそ、成功できなかった、そんな人も多いから・・・・」


群青「・・・・慰めのつもりか・・・・?」


美鈴「・・・・そうかも、、でも、貴方の絵が好きだったのは本当、、私以外にも、いる・・・・」


美鈴「でも貴方の絵は、、人を信じられなくなってから、、変わってしまった・・・・」


群青「・・・・・・・・」


群青「そうだ、生きていくには多少の金は必要だった、だから社会に出た・・・・だが社会に向かなかったのだろうな・・・・」


群青「社会や世の中は平和を求めているようで、結局は競争が全てだった・・・・金は欲しかったが、、そこまでの魅力は感じてはいなかった・・・・」


群青「金は価値がなければ、意味の無いものだ、だが、それを求めるがために、それを得る事が目標となり、競争が始まり、不幸になる人間が居た・・・・」


群青「足の引っ張り合い、平和とは名ばかりの暴力ではない暴行・・・・共存などありえない、そう思うには十分だった・・・・」


群青「競争の行き着く先は、戦争と殺し合いだ・・・・どうして、、人は共存できないのか?・・・・競争せずに生きてはいけないのか?」


群青「誰かと比べられ、誰かに認められないと駄目なのか?純粋に楽しむことは出来ないのか?・・・・なぜ、社会とはつまらないものなのか?」


群青「・・・・自分も絵が認められれば良いと思っていた、もしやあいつらと自分も同じなのか!?・・・・違う、違う!!・・・・自分は楽しんで生きていたいだけだ!!」


群青「好きなことをして何が悪いのだ!?好きなことすら出来ない今の世の中のほうが異常ではないか!?」


群青「そもそも、本当に楽しんで生きている奴が居るのか!?能面のような顔で毎日を生かされているだけではないのか!?」


群青「嘘をつき、人を蹴落とし、騙し騙し合い・・・・人だけではなく、自然や動物も巻き添えにし、自分自身をも騙して生きていく!!」


群青「あんな金という紙切れのために!!・・・・・・そのときに、こう思えばよかったのだ、同じ紙切れでも絵のように魂の宿るものもあると・・・・」


群青「自分はそんな人が楽しめる物を描けばいいのだと、思えればよかったのだ・・・・だが、すでに遅かった、、そんなことすら、考えることが出来なくなっていた」


群青「その不安と不満からか、頭の中がいつももやもやしていた、、そう、まるで雲がかかったみたいに・・・・」


群青「そうしてあたまに巡るのは、暗く陰険で救いの無い考えばかり・・・・」


群青「なぜだ!?どうしてだ!?何が悪い!?・・・・などと、思い続けるうちに・・・・・・こうなってしまった・・・・」


群青「絵は、、音楽と同じだ、絵を楽しむから描く・・・・それを絵楽えがくと、言うのだろう・・・・わかっていたのに・・・・」


群青「やがて、世の中が、社会が悪いのか、それとも自分が悪いのか、わからなくなった・・・・そして、他人が信用できなくなっていった・・・・」


美鈴「貴方が人を信じられなくなってから、描いた絵は、持つものに絶望をあたえ、死に至らしめる呪われた絵になってしまった・・・・」


群青「・・・・・・・・・・・・・・社会や世の中など気にせず、周りの人を信じて助け合っていけばよかったのだ・・・・」



一呼吸おいた後で、美鈴は群青に聞く



美鈴「・・・・あなたの、、友達がどうなったかしってる?」


群青「・・・・・・ああ、我の力にした魂の記憶で、、あいつが焼身自殺をしたことを知った・・・・」


美鈴「・・・・そう・・・・あなたの親友は貴方の絵を集めていた・・・・」


群青「我の、、絵を?昔と変わってしまった、、我の絵はもう見るに耐えないと・・・・そういって、我の前から去っていった、あいつが・・・・?」


美鈴「・・・・そう・・・・」


群青「・・・・確かに、、裏切られたと思い、怨んではいた・・・・だが、、あいつが死んだと知ったとき、、喜びではなく・・・・」


群青「無性に・・・・悲しかった・・・・我の絵のせいで死んだのか?我の不の感情が宿った絵のせいで・・・・?」


美鈴「・・・・・・・」



群青の言葉を聞き、美鈴は少しの間、瞳を閉じた後、口を開く


美鈴「・・・・違う・・・・あなたの親友だった人、その人は、あなたが自殺したんだということ知って、自分に責任があると責めていた・・・・」


美鈴「それからその人はあなたの描いた絵を集めだした・・・・そして貴方の絵を集めているうちに、貴方の絵が呪われた絵だと言われていることを知った・・・・」


群青「・・・・・・・・・・・」


美鈴「・・・・自殺の原因は、、本当に自殺・・・・その人は、貴方が自殺したこと、裏切ってしまった責任・・・・」


美鈴「そして、、もっとも我慢できなかったのが、好きだった貴方の絵が、本当に呪われていたということ・・・・」


美鈴「だから、その人はあなたが描いた・・・・呪われているといわれた絵を集めて、、自分と一緒に葬った・・・・」


群青「・・・・馬鹿な、、奴だ・・・・あの時のあいつの立場だったら、我も、我を裏切っていただろう・・・・気に悩むことはあれ、死ぬことは、ないのだ・・・・」


美鈴「・・・・・・」


群青「・・・・聞かせてくれ、今の話を何処で知った?」


美鈴「・・・・貴方の描いてくれた絵を見ていたときに、わたしの、おばあちゃんが教えてくれた・・・・」


美鈴「わたしも、、そんな気がしていた・・・・・・だからそのときに決めた・・・・もし貴方と出会えたら、私がその罪を流すことを・・・・」


群青「巫女よ・・・・我にそのような価値はない・・・・我は、自らの罪を自らで償わねばならない・・・・」


美鈴「約束した」


群青「だが!!」


美鈴「だめ・・・・それに、罪を償っても貴方は転生できない・・・・煉獄に落とされて、消滅させられる・・・・」


群青「それでも、我は、、、罪を償わねばならん!!我はそれだけの事をしたのだ!」


群青が言葉を言い終えた、瞬間に美鈴は群青を鋭い視線で見つめ言う


美鈴「何度も言わせないで・・・・駄目・・・・」


群青「なぜ!?なぜだ!!我は、我は、我を認めてくれていた・・・・我の絵を好きだといってくれた・・・・」


群青「あいつも、、そしてあの時の少女を・・・そのことすら忘れ、そんな我を救おうとした・・・・そんなお前まで殺したのだぞ!?なのになぜ!!??」


美鈴「・・・・だから・・・・あなたを信じていた、貴方が裏切った・・・・そんな人達のためにも、生まれ変わって・・・・そして・・・・今度こそ、夢を叶えて・・・・」


群青「・・・・・・・・・・」


美鈴「・・・・もし、来世で出会えたら、また、あの時の貴方の絵で私を描いて・・・・詩織達と、一緒に、私を描いて・・・・」


群青「グ・・・・いいのか?本当に・・・・それで・・・」


美鈴「・・・約束・・・」


群青「必ず・・・・・果たす・・・」


美鈴「約束」


群青「約束、だ・・・」


美鈴は瞳をゆっくりと閉じて、その男の罪を流すための力を使うために、この支配者だった男に問う


美鈴「もう一度、あなたの名前を教えて・・・・」


群青「・・・・和辻・・・・和辻群青だ・・・・」



男が自らの名を名乗る・・・・とても穏やかで優しい、眼差しを美鈴に向けながら・・・・



美鈴「和辻群青・・・・あなたの罪、その贖罪の全てを流します・・・・」


美鈴がその言葉を紡ぎ 罪流し の力を使う・・・・


滅びの力と魔を破る力・・・・


滅ぶすことしか出来ず、それゆえに斬った者の救いを望んだ斬魔の力と・・・・


魔を破ることは出来ても、罪そのものは破ることは出来ず


本来の 人 に戻った者が地獄に向かうたびに涙を流してきた、破魔の力・・・・


その二つの力と鈴の力・・・・二つの想いを、共鳴させる・・・・鈴の色と同じ、淡い蒼い光が現れ、男を包み込んだ・・・・


蒼い光に包まれながら群青は言う・・・・


群青「巫女、いや、美鈴、、我の罪を流したら、その罪はお前に降りかかるのではないのか?」


苦しげな表情で美鈴に問う群青に、美鈴は答える


美鈴「・・・・そう・・・・でも、あなただけの罪じゃないから・・・・私は平気・・・・だから・・・・」



その言葉を聞き、群青は眼を伏せ、少し笑うと言う


群青「すまぬ、いらぬ、心配だったな・・・・」


美鈴は、、そんな群青に 笑顔 で


美鈴「よかった・・・・貴方は、やっぱりいい人・・・・」


美鈴が言葉を言い終わると蒼い光が白い空間を染める・・・・


更に明るい光となって、男を包みながら共に消えていった・・・・・・・・


ゆっくりと光が消え、おなじくゆっくりと霊域が消えていく・・・・




詩織「美鈴!」


あゆ「美鈴ちゃん!」


朱「美鈴っち!」


霊域が消え、そして、美鈴がみんなのところに姿を現す。


詩織「なかなか姿が見えないから、、心配してたのよ・・・・何があったの?」


美鈴「・・・・彼と、話をしてた」


美鈴は群青とはなしたことをみんなに伝え、そして言う。


美鈴「罪は消えても、その罪で傷ついた人の恨みは遺る・・・・私はその痛みも償はないといけない・・・・」


あゆ「そ、そうなんですかぁ~?でも、罪を償うって・・・・!?も、もしかして美鈴ちゃん!!」


美鈴「そう・・・・地獄に堕ちる・・・・」


詩織「そんな!?そ、それってすごく理不尽よ!!どうして貴女が!?」


朱「そうだよ!どうして?美鈴っちは何も悪いことして無いじゃん!!」


美鈴「・・・・そう・・・それは、向こう(地獄に住まう者)もそう思ってるみたい・・・・」


あゆ「そ、それならどうして地獄になんて逝かないといけないんですか><!?」


美鈴「・・・・その罪のせいで、傷ついた心や、生まれた恨みの行き場がなくなる・・・・」


詩織「・・・・・・・」


美鈴「・・・・それが、負の力となって新しい彼の様な存在を創る・・・・そうならないように、恨みを変わりに背負う者が必要・・・・」


悔し涙の様な涙を浮かべながら朱は叫ぶ


朱「うぅぅぅぅぅ!!すんごい納得いかないんだけど!!やっぱり変だよ!!そんなの!!」


ボロボロ泣きながらあゆも声をあげる


あゆ「ですぅ!!おかしいです!!」


詩織「・・・・誰かの恨みで傷ついた人の恨みが、同じように誰かを傷つける元になるなんて、ありえないくらい皮肉ね・・・・」


詩織「でも、なにも貴女でなくてもいいんじゃないの!?あなた一人がこんなに傷ついて!あんなことにまでなって!」


詩織「なのに、なのにそのあげく地獄に堕ちるなんて、どう考えてもおかしいわよ!!」


詩織もそう叫んだ後、涙を流す


詩織「・・・・絶対・・・・変よ・・・・」


美鈴「・・・・でも、魂が消滅させられることはない・・・・そしてその恨みが晴れたとき・・・・もう一度生まれ変わることが出来る・・・・」


詩織「そのくらいしてもらって、当然よ・・・・」


朱「そーだよ、それでもし本当に悪い誰かの変わりにされて、美鈴っちのたましいが消えちゃったら」


朱「っ、、ボク、ボク、たとえ天国に逝けても、地獄に逝って、えっと、えっと、えんま大王蹴飛ばしてやる!!」


美鈴「・・・・閻魔ね・・・・居るには居るみたい・・・・」


あゆ「そうなったら・・・・わたしも、抗議しにいくです!」


美鈴「ありがとう・・・・でも、それは本当に平気・・・・魂は消されない・・・・例え地獄の苦しみに絶えられなくても、魂が消されることは絶対に無い・・・・」


美鈴「絶えられなかったら一時的に変わりになってくれる者がいるみたい・・・・」


美鈴「でも、一時的にだけ・・・・その間に魂を癒して、また苦しみを受ける・・・・それを何度も何度も繰り返す」


詩織「変!やっぱり変よ・・・・」


朱「うん、おかしいよ、、変わってもらったりとかできないのかな・・・・もっと別の方法とか・・・・」


あゆ「ですぅ、ですぅ・・・・」


美鈴「それは無理・・・・完全に恨みを晴らす事は、罪を流したものにしか出来無い事、代わりの者がやったとしても、恨みが遺る・・・・」


美鈴「遺った恨みは、罪を流した者の大切な人に流れていく・・・・」


詩織「そんなのただの逆恨みよ!」


あゆ「そうです!お門違いも良いところです!」


朱「うぅぅぅぅぅぅ!!ひどい話しだよ!!」


美鈴「・・・・流れた恨みは、大切な誰かを不幸にする・・・・わたしは、あなた達がそうなるのは嫌!」


美鈴は3人に向かい、はっきりとそう言った


美鈴「それに、私は必ずまたあなた達と一緒になれる・・・・罪を流し、流れた罪の恨みを晴らしたら・・・・普通とはちがう転生の仕方が出来る」


美鈴「・・・・望む時代、望む場所、そして望む体で転生できる、今の私の記憶も全部そのままにすることも出来る・・・・」


美鈴「わたしは、あなた達と一緒に・・・・生きてみたい」


そう言った後、美鈴の体はまばゆく光を放った後、小さな光の塊となって空に昇っていった


3人は昇って逝く魂に向かって口々に叫ぶ


詩織「まってる!まってるから!どんなに長くなってもずっと待ってるわ!」


朱「ボクも!ボクも待ってるよ!沢山一緒に色んなことして遊ぼう!!」


あゆ「今度会えたら、甘くておいしい物とか、一緒に食べましょうです~~~~!!!!」


美鈴の魂が空高く昇っていったとき、空から無数の小さな魂達が現れ、美鈴の魂を護り導くようにその周りを包み込み、美鈴の魂は空の果てへと昇り見えなくなった




美鈴の魂が見えなくなり、暫く3人は黙ったまま空を見上げていたが・・・・



やがて詩織がポツリと言葉を発した


詩織「・・・・帰りましょうか・・・・」


朱「うん、美鈴っち早く戻ってこれると良いね」


あゆ「・・・・・・」


涙を流しながら、うんうんと何度も何度も頷く







美鈴は地獄に着いた・・・・その先には自分の受ける苦痛が待っているであろう門の前に向かう・・・・そこには門番が一人立っていた


・・・・袴姿に錫杖を持ち、顔には大きな札が貼ってあり、表情は見えない・・・・


門番「・・・・・・」


門番は出迎えるように門の前に来た美鈴を迎える


門番は美鈴の後ろに立つと肩を両手で掴む・・・・美鈴と魂を通わせ、自分と繋ぐ儀式の様な物であり、魂を繋ぐことによって、地獄での美鈴の状態がわかり


さらに美鈴の魂が地獄の苦痛に耐えられなくなった時の一時的な代わりをすることが出来るようになる


自分の肩を掴む手が震えていることに気がついた美鈴が言う


美鈴「あなたも、大変ね・・・・」


門番「いや・・・・ただ、悲しいのだ、本来罪の無い者が罪を背負い、苦痛に堪えねばならぬ姿を見なければならないのがな・・・・」


美鈴「・・・・・・」


門番「ここにいる者は、元は罪人だ、私も戦場で沢山の人を殺した・・・・だが、この門をくぐる者はみな、お前のような実際には罪の無い者達だ」


門番は言い終わると、美鈴から手を離す


美鈴は顔を後ろに向け、その門番の姿を見る・・・・相変わらず顔は見えなかったが・・・・そして門の奥に向かって歩きながら少しだけ振り返った後で言った


美鈴「わたしは平気・・・・ありがとう、おじいちゃん・・・・」


門番「!?・・・・」


門番の顔こそは見えなかったが、その表情を隠している札の裏では明らかに驚いた表情をしたであろうことが一目でわかる程の、狼狽を一瞬見せる


美鈴の姿が見えなくなった後もその場所を見つめながら、門番はその顔を隠している札を手で押し上げる・・・。美鈴と同じ、真紅の瞳が愁いを帯びていた。






3人は帰路につくための道をゆっくりと歩いていると・・・・道の途中に人影が見えた・・・・


その人影はさっき空に昇って逝ったはずの・・・・・・・・・・・・


美鈴「ただいま」


朱「って、早!!!」


朱は驚くには驚いているが、目の前の事実を"真っ正直"に受け止める


詩織「え!えぇぇ!?あ、あなたさっき空に!!え!え!?幽霊!?空から落っこちちゃったとか!!??」


その横では詩織が珍しく狼狽しまくっていて


あゆ「・・・・・・・・」


あゆも状況を理解できず、両手で口元を押さえたままポ~~~~~~ッと固まってしまっていた


美鈴「・・・・詩織、あゆ、落ち着いて・・・・私は"人間"の美鈴だから・・・・」


喜び慌てる3人に美鈴は説明をする


あの世と現世とは時間の進みが違い、こちらでの一日が向こうでは無限の時間であり、そもそも比べられないこと・・・・そして、望む時間、望む場所を選んでここにしたこと・・・・


その話をし終わった後、美鈴は 微笑みながら もう一度みんなに


・・・・・・・


美鈴「朱、あゆ、詩織・・・・ただいま」



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