残暑の夜にて
「どうして、貴方はいつも帽子をかぶっているのですか?」
みすぼらしい少年が、またみすぼらしい老人に質問した。
「ここに傷があるからだ。私の傷を見て、よくないことを思い出す者もいるからな」
みすぼらしい少年は、満足すると足早にこの場所を後にした。
「どうして、貴方はいつも長袖を着ているのですか?」
裕福そうな少年が、みすぼらしい老人に質問した。
「ここに傷があるからだ。私の傷を見て、よくないことを思い出す者もいるからな」
裕福そうな少年は、満足すると足早にこの場所を後にした。
「どうして、貴方はいつも手袋をつけているのですか?」
退屈そうな少年が、みすぼらしい老人に質問した。
「ここに傷があるからだ。私の傷を見てよくないことを思い出す者もいるからな」
退屈そうな少年は、満足すると足早にこの場所を後にした。