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StardustMoon

作者: とりっぷ

ほぼ初めまして。とりっぷと申します。ここに作品を投稿するのはずいぶん久しぶりなので、初めましてとさせていただきました。

あらすじにも書いてあるように自分でこの設定で文章に起こすとどんな感じになるのかという確認の意味もあるので、あまり内容は期待しないでくださいw

手垢がついたような設定ばかりなので、あれがここに似てるーとかあるとは思いますが、是非まあこんなもんだろとスルーしてください!!←

それでは

 

 中世ヨーロッパのような街並みの中、ある少女たちが歩いていた。


「せっかく来たんだからボクはここのパフェが食べたいんだってば!」


 少女は長い青髪をポニーテールで結んでいた。


「いいや、私はここのケーキが食べたい! ここは譲らないわ!」

「……どっちでもいいわ」


 もうひとりはで茶髪ショートの少女。そして黒髪ツンツン頭の少年も一緒だ。少女たちの口論に少年は少しうんざりしている様子である。


「もう両方食えばいいじゃん……」

「「あ」」


 少年の言葉に少女たちは綺麗にハモる。


「でもボクたちお金無いし……」


 青髪の少女、瑞月がうなだれながら言う。それに対して茶髪のセリアが小さくため息をついた。


「この前大きく稼げたのを忘れたの?」

「そういえば……」

「本当に忘れてたのか……」


 黒髪の少年、エクトルがセリアと目を合わせて再びため息をつく。瑞月のいい加減さには行動を一緒にするようになってからもいつも悩まされてきたものだ。もうすっかり慣れてしまっている。


「う、うん、なら先にセリアが行きたいって言ってたお店から行こうか!!」

(……ごまかしたわ)

(ごまかしたな……)


 勢いよく手を挙げ歩き出した瑞月に続き、二人も歩き出すのだった。


「あ、見て見てワンちゃんがいる! ペットショップかなあ~」


 歩いているとある建物を指差して瑞月が嬉しそうに声を上げる。こういう無邪気なところも彼女の魅力ではある。一応……。ほかの二人にとって彼女は手の焼く妹のような存在なのだ。


「はいはい。でも今はケーキ食べに行くんでしょ?」

「う~……」

「あんまわがまま言ってっと置いてくぞー」


 セリアの言葉に瑞月は唸り声を上げる。それを見たエクトルからもさらに追撃が入る。このまま放っておいたら小一時間はここで足止めをくらってしまいそうな勢いである。

 瑞月を置いてそのまま歩き出す二人。こうすれば付いてくると思っていたのだが……。


「ねえ瑞月は……?」

「いねえ……マジかよ」


 トボトボ付いてきていると思っていた瑞月がなんとついてきていなかったのだ。これには完全に予想外だったらしく、焦ってあたりを見渡す。しかしやはりどこにも姿が見当たらない。


「ったく……手間かけさせやがって」

「探すわよエクトル」

「はいよー」


 セリナの言葉にエクトルは適当に返事をする。しかし探す気自体は十分にあるらしく、直ぐに行動に移った。


「さて、落ち合うのは目的地の喫茶店でいいな」

「もちろん」


 そう言うと二人は手分けして瑞月を探し始める。まだそれほど時間は経ってないためそう遠くに入っていないはずだが、この人ごみだ。探すのは少々骨が折れそうである。


 一方で肝心の瑞月はというと……


「セリナー? エクトルー!? ……はあ。ホントにボクのこと置いてかなくたっていいじゃんか……」


 完全に一人で迷子になってしまっていた。さみしそうな顔つきで歩いている。周りの景色を見る限りどうやら二人とは少し離れた場所に来てしまったようだ。


「ちょっといいかい?」

「なん――」


 後ろから声をかけられたかと思うと、背筋に何やら鋭いものが押し付けられるのを感じた。刃物だ。


「……ちょっとお兄さん達と来てくれるかな?」

「……」


 瑞月は男に言われるがまま、大通りを抜けて少しずつ人気ない場所へ誘導させられていった。


「このガキは見た目もいいし金になるぜ」

「そうすりゃボスに頼んで出世させてもらえますね!」


 今彼女の周りにいるのは三人。全員何かしらで武装している。しかし目立ったものはなく、普通の剣などだ。

 しばらく歩いていると見えてきたのは馬車だ。おそらくあれに乗ってどこかへ連れて行かれてしまうのだろう。そう考えると少しだけ怖い。でも……。


「にーしーろー……。うーん、全部で10人ってところかな?」

「あ?」


 周りをキョロキョロしながら瑞月はつぶやくように言う。


「この程度だったらボクひとりでも十分かなっ!!」


 瞬間、彼女にナイフを突き付けていた男を思いっきり蹴り飛ばす。驚いた男たちをよそに彼女は服のポケットから白と水色の配色をした筒のようなものを取り出し、その中から取っ手を取り出す。そしてその取っ手ヒュンッ!と横に振った瞬間、それが一瞬にして鎌のような姿に変形した。


「行くよ、スターダスト!」


 鎌。そんな恐ろしい武器にも関わらず配色は白をベースにシアンのラインを走らせるという何とも爽やかな色合いをしていた。

 そしてその鎌はこの時代背景にはあまりにも似つかわしくない機械的なものだった。


「そいつ……まさか……! オーバーロードウェポン!?」

「そっ。この子は消失の時代の遺物」


 驚く男たちをよそに瑞月は不敵に笑ってみせる。

 『消失の時代』。それは今よりもずっと昔。太古の時代、今よりも圧倒的に科学技術が優れていたと言われている時代である。その時代は魔法も使わずに巨大な鉄の塊が空を飛んだり、細長い建物がたくさん並んでいて、馬よりも早い乗り物があったと言われている。

 しかしそれは全て憶測の域を出ず、文献などもほぼ残っていないため『消失の時代』のことを知るのは今ではほぼ不可能であるとされる。

 そんななか唯一その時代があった証拠となるのが、今彼女が持っている武器である。かつての人類の英知の結晶であるオーバーロードウェポンは、数多の時をこえた現在でも起動するものが数多く存在する。


「ま、どうせボクたちにしか使えなし。キミたちが奪ってもしょうがないんだけどね」


 鎌、スターダストを持ち上げ構えながら瑞月はいう。

 そう。オーバーロードウェポンはその時代の人類の血を色濃く受け継ぐ者しか起動することができない。機動に必要な魔力が何らかの技術で識別されているのだ。それにもし仮にそれ以外の人間が起動できたとしても、人体の魔力が科学技術に拒絶反応を起こし、体に何らかの害を与えてしまうのだ。最悪の場合即死。運が良くても起動後まともに戦えるような軽いダメージはまずない。

 故に選ばれたものしか扱うことができない武器なのだ。それに魔法と科学技術を兼ね備えたこの武器はまさにその名に恥じない性能を誇る。


「オジサンたち悪い人みたいだし、やっつけちゃっていいよね!」


 瞬間、鎌を構え直した瑞月は地面を蹴り、もうひとり自分と一緒に歩いていた男の目の前に一瞬で移動した。


「はやっ……!」

「フゥッ!!」


 その勢いのまま放たれた蹴りで男を吹っ飛ばし、自身は鎌をで地面を削り減速する。するといつの間にやらゾロゾロと似たような格好をした男たちが増えていた。

 数人の男たちは銃を取り出す。銃といってもやはりその時代背景に合った銃である。

 男たちが発砲すると同時、彼女はスターダストを目の前で回転させて縦断を弾く。すると視界の端から大量の水が迫ってきていることに気づく。彼女は銃弾を弾きながら後ろに大きく飛んだ。しかしその水は彼女を完全に追跡している。


「水の魔法……! だったら!」


 瑞月が水に向けて手をかざした瞬間、水が一気に凍ってしまった。


「何っ……!?『遺物』を使ってる連中は魔法を使えないはずじゃ……!?」

「勉強不足だよオジサン? ボクたちは魔法が使えないじゃなくて、使える属性が限られてるだけなんだよ!!」


 属性とは、扱う魔法に付加するものを指す。例えば炎や水、電気や風といったポピュラー自然の力である。普通、得手不得手はあっても特定の属性の魔法が全く扱えないなんてことはありえない。しかし彼女たちは『遺物』を使える影響か、たった一種類しか魔法に属性を付け加えられないのだ。

 瑞月の目の前の氷が砕け、小さな礫へと変わる。


「お返しだよっ!」


 瞬間、氷の礫が男達に襲いかかる。


「くそっ!?」


 いかせん礫の量が多すぎる。対処しきれず両手て顔の部分をガードする。しかし礫は全て牽制であり、その隙に敵の懐にまで潜り込んでいた瑞月がスターダストで複数の敵を一閃した。しかし敵は切られてはおらず、勢いよく吹き飛んで気絶しているだけであった。


「これで半分くらいは……あれ?」


 ふうっ、と一息ついた彼女は振り向くと、減るどころか敵が増えていることに気づいた。どうやら増援が到着してしまっったらしい。


「ったく……。様子見に来たらこのザマかよ。こんなガキ一人になに手こずってんだか。給料分の働きはして欲しいもんだね」


 ハットを被った男がひとり奥から現れる。その男を見た瑞月は気引き締め直してスターダストを構える。この男は明らかに他の連中とは違う。


「別に遺物を使ってるからって無敵なわけじゃねーだろうがよ」

「………」


 ため息混じりに話す男から瑞月は視線を外さない。


「……ずらかるぞ」

「えっ?」


 思ってもみなかった言葉に瑞月は変な声を出してしまう。しかしその答えは直ぐにわかった。戦闘の音に気づいたこの街の人が警察組織に通報していたのだ。サイレンの音が聞こえてくる。

 一瞬にして手早く男たちは姿を消した。ただし気絶している連中は置いていかれているが。


「瑞月!!」


 セリナの声がする。エクトルも一緒だ。サイレンを聞きつけてもしやと思ってやってきたのだろう。


「あ、二人共! もー、ボクだけ置いてくなんてひどいよー」


 いつもの口調で話し出す彼女に二人は思わず顔を見合わせる。


「……あのなあ、勝手にいなくなったのはそっちだろ」

「えー?」


 呆れたように返すエクトルに瑞月は不満層に顔を膨らませる。


「はいはい。警察のご厄介になる前にさっさとここから離れましょう?じゃないとケーキもパフェも食べられなくなるわよ?」


 二人をなだめるようにセリナが口を挟むと瑞月は忘れてたと言わんばかり表情を変える。


「それはダメだ! 早く行こう二人共!!」

「また迷子になんぞ!」


 走り出す瑞月を追いかけるように二人も走り出す。彼女たちの物語はきっとこれからも続いていくのだろう。そう、いつまでも……。

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