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六話


しばらく、見つめ合ったあと…視線を落とす。

話が耳に入らなかった。けれど聞かなければと、膝の上の握りしめた拳を睨み付けた。


なぜ、


喉元まで込み上げる疑問をグッとこらえる。


「まず、君の…そうだね、状況を教えてあげよう」


柔らかい声に、眉間にシワがよる。けれど顔を上げた。優しい顔が気遣わしげに微笑みながら、言葉を続ける。


「この世界ではね、たまに魂が他所に飛んでってしまう事があるんだよ」



突拍子もない話に、からかっているのか、と頭に血が上りかけて こらえた。ばかに、…されては、いない。はず


「それでね、かりによそで肉を得ても、何代かするとその世界から異物として吐き出される」



逆恨みしそうな心を押さえ込んで話を聞くのは忍耐が、とても いる。そして、異物として吐き出される、という一言に顔を上げた、それは


「その異物が君だったんだ、」



思ってもみない事だった。もともと、私が?こちらの人間だと?

思わず立ち上がりそうになって、力の入らない足に気づいた。震えている。力一杯、手を振り上げて足を打とうとした時、暖かい手がそれを止めた。



手を掴む手をたどれば、それはにょろりとしたお兄さんで、薄暗がりの中でもその緑青の瞳がこちらを見ている事がわかった。ただ輪郭は ぼやけて見えない。恥ずかしいと頭のどこかで考えていた。でも、涙は止まらない。



私がどんな顔をしているのか私にはわからないが、にょろりとしたお兄さんは少し哀れむような顔をしていた。







チュンチュンと鳥がなく。世界は違えど、似たような生き物は何処にでも居るようだ。



朝のまだ明けきらぬ光が窓から差し込む。


目がしょぼしょぼして開かないため布団の中でのびをしようと寝返りを打つと、さらさらした布地とは違う、ひんやりと吸い付くような鮫肌ならぬへび肌?に触れた。



一瞬なにかわからなくて、曖昧な思考を頼りに思い出す。真っ先に思い浮かんだのは、にょろっとしたイケメンのお兄さんで、にょろりとした彼らの部族の名前は発音できないくらい難解で、とんでもなく長い。





彼らは、この火山地帯の温泉を根城にする一族で、数千年はここにいるらしく主な収入は湯治などで休養地として有名らしかった。これも、何代か前の長(この方も長い名前)が始めた事らしく今やメイン産業であるなどが、一ヶ月ほどここに居て知った情報だった。




そして、もう一点がさらに大事な点なのだが…うっすら目を開くと、ピスピス寝息をたてる、アナコンダ。



抱き枕にはちょっとデカいし、そんなカワイイものでは断じてない。断じてである。その緑青色のにょろっとした生き物に朝から心臓が止まりそうである。

思わず息を詰めてから、そろりそろりと壁際に寄る。ベットの上で壁とへびに挟まれて、床に降りるのはいささか難儀であったが…一月、繰り返せばなれる。



踏んづけないように跨ぎながら緑青色の超巨大アナコンダを眺め、

人間とへびの両方に変態?まあ変身できるとか異世界怖い。とぼんやり考えていた。




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