プロローグ
綺麗な色の、トラックのタイヤか何かだと信じたかった。
水色を帯びた緑。日に当たる鱗は均一で宝石のようにきらめきながら、うねるように水をかき分けて、今もするすると動いている。
オレンジがかったピンクのお湯に、緑色の苔の固まり、まりもがいくつも平和そうにぷかぷかと浮かんでいた。ボール大から気球くらいの大きさまで本当に沢山だ。向こう岸は湯気のせいかもしれないが、はるか遠く湖のような広さを感じる。
見知らぬ場所に見たことない景色。脳みそが真っ白になりながら、さっき見た、するすると動くものを考えてみる。人を飲み込める位のにょろっとしたアレか、チャイニーズなドラゴンか。
どちらにしろ、身じろぎ出来ないくらい、ぶるっている。あれコレ死語か。いやとにかく逃げ出そうと水辺を背に、そろそろと足音を立てないように動き出したとき、
ぽん
「ぅ ひゃぁああ゛ァア!??」
「ッうぉ、??」
濡れた手が私の肩を叩いて、首だけでバッと振り替えれば
「わ、るかったな、?大丈夫か…」
見知らぬイケメンなお兄さまがビックリした顔をして立っていた、しかもナゼか半裸だし。
「…」
行き場の無さそうな手をお兄さんがひいた時、やましい気持ちは無かったんだか下半身が見えて私は固まった。びしり、と音がしそうなほどお兄さんの股間を見て固まった私にお兄さんは
「あれ?蛇足みたの初めてか?」
さも意外そうにそう言った。
…ダソく?
綺麗な、青みがかった緑の髪にそれより濃い緑の瞳。だが、イケメンなお兄さまは下半身が…にょろっとしていた。