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第1章
「寒いな…」
『もう少し着てきたらよかったのに…それよりここから降りたら?』
「うっ…でももう少しだけ」
男はふっと小さく笑い眼下に広がる街を見下ろしていた。ここは日本のビジネス街にあるとあるビルの屋上。そこにいるのは30代後半の黒のコートをきた男性のみ。
「…」
『大丈夫よ‼私がついてるじゃない心配しらないわよ。』その声は男の耳に付けている赤外線通信器から聞こえてくる。
「だな…もし失敗したらーー」
『デートだよ』
「……」
『成功したらデートだよ』
そう言われやれやれと呆れたように首を振る、しかしその顔は笑っていた。
「じゃあ行こうかマキナ」
『ええ、正夜行きましょう』
そう言葉を交わした次の瞬間にはそこには誰もいなかった。
ーーーーAM4.00 ーーーー