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十話 エピローグ

十話 エピローグ



 クロス


 二つの線が交差する その一点を過ぎ去れば


 クロス


 もう二度と 交わることは許されないのだろうか 




 ユエ、ユエ。

彼女は俺の、なんだったんだろう?


 友達?親友?彼女?そのどれにも属さない。果たして、俺は彼女のことが好きだったのだろうか・・・。もし、彼女が死ななかったら、俺は彼女の事をこんなにも考えていたのだろうか。


カオルは、死んだ事によってユエを初めて、コレまでにないほど意識している自分に戸惑っていた。きっと、彼女が死ななかったら、ずっと今までどおりの毎日が淡々と続いて行くだけだったんだろう。近づくことも、離れることも無く。ただ、えんえんと続く平行線のような、そんな毎日が。


果たして、それは幸せと言えるんだろうか。


きっと、俺は彼女のことが好きだった。ただ、その気持に気がつかなかっただけだとしたら。


大学を出たら、軌跡でもない限り。あるいは何か必然的な力が働かない限りは、もう顔を合わせる事もなかっただろうし、ユエの近状の様子を乗せた風の噂だって俺のところにはそよとも吹かなかったんだろう。それをたまたま、ユエが結婚したとか、そんな噂を耳にしたとして。俺はただ、ふうんと聞き流すような世界があったとするなら、今の世界とどちらが幸せだったのだろう。

彼女が居ても彼女を絵画の背景の一部のようにしか捕らえられない世界と、彼女への愛に気づけても当の彼女が永遠に居ない世界と。理性は無論命が失われた世界を否定する。それとは裏腹に、カオルの中でその秤はゆらゆらと定まらず。

 俺は、ユエのことが好きだった。

 そう認識することで、どこかほっとする自信を、カオルはおぞましく思うのだった。


 おそらく、彼女への思いに気がつかなければ、こんな喪失感も、こんなわけも解らない戸惑いも、言い知れない悲しみも、知ることは無かったんだろう。

 まるで、ユエが死んだことで、自身が初めて人間になれたような。そんな不可思議な感覚に囚われている。


 今日も、カオルはユエの部屋の前で足を止める








ハッピーエンドにするつもりが、凄まじくバッドエンドになってしまいました(滝汗

つたない文章ではございましたが、ここまでお付き合いいただきほんとうにありがとうございました!!

もし万が一気が向いた時、たまたま荒野蛮の更新情報が貴方のデスクトップ上に出現していたらでかまいません。

→次の物語でまたお会いできたらうれしいです▼(^∀^)ノシ

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