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第12章 ともに生きる選択

「怪我が、まだ治りきっていないまま無理をして戻ってくるなんて……

本当に、アルジェリスは自分のことを大事にしなさすぎです」


そう言ってから、私は小さく息をついた。


アルジェリスは、私の膝に頭をのせたまま、

ゆっくりとこちらを見上げる。


「では、澪が私のことを大事にしてください」


……どうして、この人は。

こんなことを、こんな顔で、さらっと言えてしまうのだろう。


一瞬、言葉に詰まりながらも、私は小さく頷いた。


それだけで安心したように、

アルジェリスの表情がわずかに緩む。


次の瞬間、

私の頬へ、そっと手が伸びてきた。


「あ……」


触れられる直前で、声が漏れる。


縋るようなその瞳を見た瞬間、

胸の奥がきゅっと締まった。


私の選択が、

どれほど彼を不安にさせていたのか――

今になって、ようやく思い知らされる。


私は、頬に添えられたその手に、

そっと自分の手を重ねた。


「アルジェリス……本当に、私でいいんですか?」


不安を隠しきれないまま、続ける。


「私はきっと、これからも自分に自信が持てないし……

この先も、たくさん困らせてしまうと思うから」


ずるいと分かっていながら、

それでも、本音をこぼしてしまった。


アルジェリスは、小さく息を吐いてから、

少し困ったように笑う。


「それを、今さら言いますか」


呆れたようでいて、

どこまでも優しい声。


「澪が自信を持てないことなど、

最初から分かっていました」


そして、私の目をまっすぐ見つめて、

はっきりと告げる。


「ですが――問題ありません」


「私が、その何倍も、澪を愛していますから」


胸が、ぎゅっと詰まる。

顔が熱くて、何も言えなくなる。


……ああ、ずるい。

こんな言い方をされたら、

逃げ道なんて残らない。


私は、そっとアルジェリスの髪に指を通した。


「……本当に、ずるいです」


小さくそう呟くと、

アルジェリスが満足そうに目を細める。


「そう言われる覚悟は、できています」


その言葉に、思わず笑ってしまった。


――ああ、きっと私は。

この人から、もう逃げられない。


それは怖さではなく、

胸の奥が、じんわりと温かくなる感覚だった。


迷いも、不安も、なくならない。


それでも。


私は、アルジェリスと生きていく。

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