表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/65

ep.49 始まる前は、だいたいこんな感じ

事務所の朝は、いつも通りに始まっていた。


照明は通常モード。


エアコンの音も、足音も、特に変わらない。


俺は会議室とスタジオを行き来しながら、なんとなく、全体を眺めていた。


誰も急いでいない。


誰も立ち止まってもいない。


ただ、

いつもと同じなのに、少しだけ調子がズレてる気もする。


雪雄さんは、ストレッチをしながら全体を見渡している。


「今日は、詰めすぎないでいきましょうか」


声は穏やかで、いつも通り。


それ以上は、特に続かない。


カノンくんは、壁際でイヤホンをつけたまま、メトロノームを止めて、また鳴らす。


「……リズムは、うん、問題ない」


独り言みたいに言って、すぐ音に戻った。


千鶴は、発声練習の途中で一度言葉に詰まり、「あ、今のなし!」と笑う。


声は、少しだけよく出ている。


「今日さ」と言いかけて、やめた。


それを聞いて真秀は、スマホをいじりながら、


「まぁ、夜になったら分かるだろ」


軽く言って、画面を伏せる。


那音くんは、窓の外を一度だけ見てから、


「今日は……悪くない天気ですね」


そう言って、小さく頷いた。


ダズは、床に座ってストレッチマットを敷き、


足を伸ばしながら、ゆっくり息を整える。


「今日は、体がよく伸びる」


それだけ言って、そのまま体を伸ばし始めた。


辰煌はその隣で、一瞬だけ動きを止めて、


「なあ、ダズ。僕、柔らかくなってきたと思わない?……どう?」


返事を待たずに、また体を動かす。


翔太は、壁際で譜面を見ていた。


口は動かさない。

ただ、ページをめくる指先だけが、少し早い。

 

誰も、「今夜」という言葉は使わない。


その先にある配信の話もしない。


言わない約束をしたわけじゃない。


ただ、


初めてのことって、


どう話し始めればいいか分からないだけで、


気づくとそのまま時間が流れていく。

 

午後。


会議室では、最低限の確認だけが進んでいた。


椿社長は、画面を見ながら、少し考えてから口を開く。


「今日はね、結果を出す日じゃないと思ってて」


皆の顔を一度だけ見て、続けた。


「“始まった”って事実を出せれば、それでいいかなって」


猫太Pが、短く頷く。


「そうだニャ。キャラランド初の動画配信ニャ!


だからこそ、気負いすぎないのが一番ニャ」


投稿時間。


サムネイル。


文言。


どれも、いつもの確認作業みたいに決まっていく。


俺は時計を見る。


12時を少し回ったところだった。


時計から目を離して、


もう一度、事務所の中を見渡す。


昼の光は、まだ窓からまっすぐ入ってきている。


いつもの時間。


いつもの風景。


それでも、


みんながそれぞれ、


なんとなく同じ先を気にしてるのは、伝わってきた。


*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*

英賀田 雪雄(あがた ゆきお)  :日花子

根古島 カノン(ねこじま かのん) :日花子

京極 真秀(きょうごく まほろ)   :茶ばんだライス

折原 千鶴(おりはら ちづる)   :夏也 すみ

狭山 那音(さやま なおと)   :ギフカデ

Daz・Garcia(ダズ・ガルシア)  :HUNGRY

赤河 辰煌(あかがわ たつき)   :ウニヲ

佐藤 翔太(さとう しょうた)   :niko

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ