ep.34 コンセプト会議・序章──“言葉”にならないものを集めにいく
大晦日の記者会見まで、残された時間はあとわずか。
冬の朝の冷たい空気が入り込むキャラランドの廊下を歩きながら、
俺は社長から届いたメッセージを思い返していた。
――今日夕方、制作メンバーで“事前ミーティング”をしたいわ。
正式なコンセプト会議ではなく、その準備段階。
けれど胸の奥では、なにかが静かに動き始めている気がした。
(……いよいよ、“形”に向かって進むんだ)
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■レッスン後のスタジオ前で
午前のレッスンが終わる頃、スタジオ前を通りかかると——
扉のわずかな隙間から、レッスン後とは思えない活気がこぼれてきた。
「ユッキー!今のターン……めっちゃ綺麗だったよ!」
「ち、千鶴くん……そんな大声で言わなくても……!」
千鶴の弾んだ声と、雪雄さんの照れた笑いが混ざる。
奥では、カノンくんがスマホを睨みながら録音を数フレーム単位で巻き戻していた。
真秀は鏡の前で脚をゆっくり伸ばし、呼吸を整えている。
ダズは指先だけで一定のテンポを刻みながら、
「……こういう日、リズムが気持ちいい」と小さくつぶやいた。
一方で辰煌は、頼まれてもいないのに千鶴のステップに指導を始め、
那音くんが慌てて手を伸ばす。
「あ、赤河くん……そこ、勢いありすぎると危ないって……!」
それでも辰煌は笑っていて、千鶴も負けじと食らいつく。
そのやり取りに、周囲の空気が自然と明るくなっていく。
(……これが“La♪Ra・RISE!(ララライズ)”なんだよな)
まとまりがあるようで、ない。
でも確かに「ひとつ」に見える瞬間がある。
メンバーを見ていると、不思議な感覚が込み上げてきた。
千鶴の明るさには、ぱっと弾ける“光”が見えた。
雪雄さんには、揺るがない“深さ”。
カノンくんには、研ぎ澄まされた“透明な気配”。
真秀には、静かな“鋭い輝き”。
那音くんには、ふわりとした“あたたかさ”。
ダズには、穏やかに広がる“影”。
辰煌には、燃えるような“熱”。
翔太には、にじむ“優しい光”。
(……色だ)
色と言っていいのか分からない。
でも、全員に“それぞれの色の気配”がある。
(似てる……のか? いや、響き合ってる?)
その瞬間、脳裏に浮かんだのは——
キャラランドのマスコットたち。
ぽこぺんの強さ。
べにほっぺの小さなこだわり。
ガレットたんの気まぐれなやさしさ。
(……あれ?)
メンバーが自然に放つ“色の気配”と、
マスコットたちの“世界観”がどこかで重なる感覚があった。
まだ形にはならない。
ただの思いつきかもしれない。
でも——
(いつか、ユニットの“特別な色”になり得るかもしれない)
俺は急いでメモに書き足した。
・メンバーが放つ“色”
・キャラランドの世界観との親和性
・マスコットとの接点(あくまで仮)
胸の中がざわりと熱を帯びる。
(……これ、もしかして)
■夕方、事前ミーティングへ
資料を抱えて階段を降りていくと、自然と足が速くなっていた。
今日のミーティングは、椿社長、雨野チーフ、猫太P、岡さん、そして俺。
最終的なコンセプトは、このメンバーで決める。
(だったら……この“色”の感覚も、いつか話してみよう)
胸の奥でともった小さな灯りは、消えずに残っていた。
(8人の“真ん中にあるもの”を、探しにいこう)
そう思いながら、
俺はゆっくりとドアノブに手をかけた。
*キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




