ep.32 はじまりの説明
その日の夕方。
レッスン後、La♪Ra・RISE!(ララライズ)のメンバー8人がスタジオに集まっていた。
スタジオの隅には、猫沢さんの姿もあった。
メンバーに変な圧にならないよう、少し引いた位置で様子を見守ってくれている。
(……ありがたい。いてくれるだけで心強いです)
雪雄さんが、俺の顔を見て柔らかく眉を上げる。
「颯太くん、どうかしましたか?」
千鶴は落ち着きなく足踏みしながら、
「えっ、なんか始まる!? 発表!?」
と無邪気に聞いた。
翔太は不安そうに小さく手を挙げて、
「ぼくも聞いてて大丈夫……?」
と、いつもの控えめな声で言った。
ダズはくいっと首を傾けて、ゆるく笑う。
「ソウタ、顔怖いよ。まず深呼吸」
辰煌はレッスン後のせいかテンションが異様に高い。
「おっ……! なんかあるな!? そういう顔だよな!?ドッキリじゃないよな!?」」
カノンくんは腕を組み、冷静にぼくを見つめている。
「状況を整理したい。……まず、話の前提を共有してくれ」
真秀は軽く顎を引いて、短く声をかけてくれた。
「落ち着けよ。ちゃんと聞くから」
そして那音くんは、一歩だけ俺のほうに寄って小声で言う。
「……大丈夫だから。言いたいこと、言えよ」
その瞬間──
(やっぱりこの人たちを撮りたい)
俺は両手をぎゅっと握りしめ、まっすぐ顔を上げた。
「……みんなの“今”を記録する企画を、俺にやらせてください」
スタジオの空気がぴたりと止まる。
「ララライズ密着計画──
みんなの努力や素の瞬間を、SNSで届けたいんです」
言ってしまった。
手のひらは汗でじっとりして、足が震えている。
それでも、後悔はなかった。
最初に口を開いたのは、雪雄さんだった。
「……素敵ですね。誰かの心に届く光になるなら、僕は賛成です」
その表情は静かで、やさしかった。
翔太が、胸の前で手をぎゅっと握りながら頷く。
「ぼくの歌や努力を……誰かに届けられるなら……うれしいです」
千鶴は両手をぶんぶん振り回しながら叫ぶ。
「賛成ーっ! 俺、映ると元気になるタイプだし!」
辰煌は拳を握って跳ねるように言った。
「めっちゃいいじゃん! 面白そう!ライブ配信とかしたり!」
ダズはゆっくりと親指を立てる。
「OK。ソウタが撮るなら……安心」
那音くんは少し照れながらも、しっかり言葉を発した。
「……頑張ってる姿を見て、誰かが励まされたら嬉しいし。俺も賛成」
カノンくんは短く息を吐いたあと、真剣な声で言う。
「リスクもある。だけど、“残す価値のある記録”だ。……合理的的に判断して賛成」
そして最後に真秀が、ほんのすこしだけ笑って言った。
「ララライズをもっと知ってもらえるなら、俺も乗る。“姫たち”にも見せたいし、ライブ配信なら任せろ!!」
胸の奥の熱が、一気に広がった。
(……こんなふうに受け止めてもらえるなんて)
俺は頭を下げる。
「……ありがとう。必ず、みんなの『今』を届けます」
顔を上げたとき、
8人の姿は、ひとつのチームとして形を結び始めているように見えた。
後ろで見守っていた猫沢さんは、そっと目で合図をくれた。
「大丈夫、ちゃんと伝わってたよ」
そんな気持ちが読み取れるような柔らかい表情だった。
*キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




