表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/44

ep.31 視線の理由

スタジオの前を通るつもりなんて、最初はなかった。


でも──扉の向こうから聞こえたリズムが、俺の足を勝手に止めた。


少しだけ開いた隙間から、三人の姿が揺れていた。


真秀は鏡に向かい、真剣な表情で細かい角度を何度も確かめている。


指先ひとつのズレが許せないみたいに、静かで、でもすごく熱い。


カノンくんはひとつ動くたびに、自分の動きを分析して言い聞かせるように呟く。


「呼吸が早い。つまりテンポが乱れる原因は……」


本人は普通に話しているつもりらしいけど、すごく専門的で、俺には全然わからない。


那音くんは、ふたりの動きを見しながら合わせようとする。

メンバーで一番ダンスがうまい那音くん、その技術の高さが、動きの柔らかさにそのまま表れていた。


「……カノン、そのステップ、軽くなった?」

真秀が、呼吸の合間にぽつりと言う。


「そう?自分なりに分析しった結果」

カノンくんはふつうに答えてるけど、どこか嬉しそう。


「いいな分析って。俺もその分析、できるかな……」

那音くんが遠慮がちに言う。


「那音のダンスは十分技術が高い。呼吸を安定させればもっと良くなると思う」

ダンスの素人ながらカノンの指摘は、核心を突いている。


「……でも、那音のダンスをするときの息遣いも動きも、俺は好きだけどな」

真秀の声は淡々としているけれど、どこか優しい。


「一歩踏み出す感じがしてさ。見てて“らしいな”って思う」


「そ、そう……?」


那音くんは、耳の先まで赤くなる。


こんな小さなやり取りだけで、

スタジオの空気があたたかく変わっていく。


(……やっぱり、いいな)

俺は、そっと手帳を開いた。


急いで書き留めないと、この“温度”が逃げてしまいそうで。


でも──。


「……なあ、カノン。なんか視線感じん?」


真秀の声に、俺の肩が跳ねる。


「感じる・・・。観察者が、さっきからこっちを分析している」


カノンくんの言い方が妙に怖い。


那音くんが眉を寄せながら、ゆっくり扉のほうを見る。


「……あー……やっぱり。俺もなんか見られてる気がしてたんだよな……」


3人が向けた視線の先にいるのは──もちろん、俺・・・。


(やば……)


「……颯太?」


「あっ、その……っ!」


俺は中途半端に固まったまま、手帳を胸に抱えた。


真秀が静かに問いかける。


「どうした? なんかあるなら言ってくれ」


カノンくんも腕を組んだままこちらを見る。


俺は喉を鳴らし、深呼吸をひとつ。


「……みなさんに、お話ししたいことが……」


言った瞬間──

那音くんは一度「ん?」というように目を瞬かせたあと、ゆっくり表情を和らげた。


「……そっか。なんか相談あるんだな。だったらさ──俺ら三人より“みんな揃ってるとき”のほうが話しやすいんじゃない?」


那音くんは、軽く首をかしげながら続ける。


「La♪Ra・RISE!(ララライズ)に関わることなら、全員で聞いたほうがいいと思うし」


カノンくんも小さく頷いた。


「そのほうがスムーズだろ。全員で聞いたほうが、話が早い」


三人とも、“何の相談か”まではわかっていない。


ただ──俺がLa♪Ra・RISE!(ララライズ)のために何かを抱えている、と自然に受け止めてくれている。


「……うん。みんなが揃っている場で、話させてください」


三人がふっと緊張を解く。

8人がそろったときに、ちゃんと企画の話をしよう。


*キャラクター原案者*

英賀田 雪雄(あがた ゆきお)  :日花子

根古島 カノン(ねこじま かのん) :日花子

京極 真秀(きょうごく まほろ)   :茶ばんだライス

折原 千鶴(おりはら ちづる)   :夏也 すみ

狭山 那音(さやま なおと)   :ギフカデ

Daz・Garcia(ダズ・ガルシア)  :HUNGRY

赤河 辰煌(あかがわ たつき)   :ウニヲ

佐藤 翔太(さとう しょうた)   :niko

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ