ep.19 BEN主催アイドルユニットオーディション
LoHiオリジナル5の各事務所が並んで、
「ホームタウン制」について発表していたとき――
俺は、別のことを考えていた。
ステージ上の眩しい照明。
記者たちのシャッター音。
そのすべてが、どこか遠くに感じた。
……というのも、少し前に翔太から聞いた話が、頭から離れなかったのだ。
――BENの八手美和社長が、キャラランドを訪ねてきた。
しかも、BENを立ち上げる前は、キャラランドで働いていたらしい。
最初は耳を疑ったが、猿田さんや大宮さん、桜子さんから話を聞いて、。それが本当だとわかった。
それから、ずっと気になっていたけど……俺が首を突っ込むことじゃない。
そう思っていた。
でも、壇上でマイクを握る八手社長を見た瞬間、
心の奥のモヤモヤが一気に溢れ出した。
(……聞いてみよう。今、聞かなきゃ後悔する)
隣の席にいた、キャラランドの古参マネージャー――
猿田さんに声をかけた。
先代の頃からキャラランドを支えてきた人だ。
「猿田さん、ひとつ聞いてもいいですか」
「ん? なんだい、颯太くん」
「先日、BENの八手社長がキャラランドに来社されてたって、翔太から聞きました。
その……訪問の目的って、なんだったんでしょうか?」
猿田さんは、少し目を細めて笑った。
「美和ちゃん――いや、八手社長がうちの元マネージャーだったのは知ってるか?」
「はい。翔太が桜子さんから聞いたって」
「そうかぁ。一言で言えば、筋を通しに来たんだよ」
「……筋?」
「BENからLoHiに出場するユニットメンバーで明らかなのは、今のところJPだけだ。
残りのメンバーは、キャラランドと同じようににオーディションで決めるらしい。
しかも、大手配信サービスの番組と連動してな」
「なるほど……で、キャラランドとどう関係が?」
「プロもアマも関係なく応募できるらしい。
所属事務所の許可があれば、他の事務所に所属しているアイドルでも参加できる。その筋を通すため
だから八手社長は、自分で各事務所を回って挨拶してるんだ」
「うちにも?」
「そう。キャラランドに所属するは“La♪Ra・RISE!(ララライズ)”の8人だけだが、、
567人のオーディション応募者や、ギルド567のメンバーとは今も接点がある。
その子たちがBENのオーディションに参加する可能性も十分ありえる。
だから、事前に椿社長に筋を通しに来たんだ」
「……椿社長は、なんて?」
「『原石たちが輝くチャンスがあるなら、私は全力で応援します!』って、迷いなく答えてたよ」
猿田さんは微笑んだ。
――さすが、椿社長だ。
あの人らしい。
だけど、俺の胸の中には、どうしても複雑な気持ちが残った。
キャラランドから生まれた原石たちが、
別の場所で光るかもしれない。
それは嬉しいことだ。
けど、少しだけ――寂しいかもしれない。
記者会見が終わって外に出ると、
風がやけに冷たく感じた。
誰かが動けば、また新しい物語が生まれる。
それがキャラランドの外だとしても――。
俺は、その現実をまっすぐ見つめようと思った。
*キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




