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ep.15 もう1つのキャラランド

気づけば、俺の肩書きは2つだ。


「La♪Ra・RISE!(ララライズ)サブマネージャー」に、「キャラランドギルド567 アシスタントプロデューサー」だって。


……うん、わかってる。マネージャー、プロデューサーどちらも見習いだって。


でも、見習いだからって気を抜けるわけじゃない。


「颯太くん、ギルド567の参加確認リスト、今週分も更新お願いね」

「了解です、猫沢さん!」


「あと、ララライズのレッスンスケジュール、岡さんと共有しておいて」

「はいっ!……あ、スタジオの使用時間も一緒に確認しておきます!」


「あと、猫太Pが、ギルド567のことで打ち合わせがしたいって探していたわよ」


気づけば両手がスケジュール帳と資料で埋まってた。


……俺、本当にマネージャーとプロデューサーしてるんだなぁ。

________________________________________


とはいえ、忙しいのは俺だけじゃない。


岡さんも猫沢さんも、ララライズのマネージャーやプロモ担当をしながら、

本来の“マスコットキャラクターのマネージャー業”も続けている。


キャラランドはもともと、マスコットキャラクター専門の芸能事務所だ。


ご当地キャラ、ゆるキャラ、企業タイアップ……。


所属は数百キャラにのぼるけど、今も現役で活動しているのはほんの数十体。


活動しているマスコットキャラクターにはみんなそれぞれ担当マネージャーがついている。


岡さんの担当は――

鬼のマスコット「ぽこぺん」、鶴の「クラインくん」、そして新人の亀「カメリア」。


猫沢さんの担当は――

三毛猫の「ガレットたん」と、豚の「クライム」。


そして長年うさぎの「べにほっぺ」を見ているのが、猿田さんだ。


ぽこぺんは節分前になると引っ張りだこ。

見た目はコワモテだけど、後輩の面倒見がいい“兄貴肌”で、現場ではいつも頼られている。


べにほっぺは、見た目こそふわふわしたウサギだが、中身は48歳のベテラン。

「かわいさは仕事。プライベートは質素倹約主義」なんて言いながら、

スケジュール管理も完璧。

まるで人間のマネージャーみたいだ。


ガレットたんはというと……いつも自由奔放。

「おやつ食べた?」と聞かれると、どこからともなくクッキーの袋を出してくる。

マーガレットの香りがふわっと残るのが、いたずらのサインらしい。

社長室のソファが定位置で、たまに椿社長の書類をクシャッとするという噂もある。


クライムはビジネス志向。

「この案件はROIが見込めるでブー」と言って、企業担当者より先に話をまとめてくる。

本人いわく「キャラランドで一番勉強熱心なマスコット」らしい。


そして、クラインくんとカメリア。


カメリアはまだ入所したばかりの新米マスコット。

見た目はあどけないけど、甲羅を脱いで衣装チェンジする特技を持っている。

教育係のクラインくんは、そんなカメリアを優しく導く努力家だ。

________________________________________


オーディションが始まってから、マスコットたちにも変化があった。


以前よりも、自分たちで考えて行動するようになったのだ。


イベント企画を提案したり、SNSでファンサービスを始めたり。


“かわいい”や“面白い”だけじゃなく、

「誰かの心を励ます存在になりたい」って、本気で思っているのが伝わってくる。


キャラランドの原点――それは“笑顔を届けること”。


ステージの上でも、商店街のイベントでも、その気持ちは同じだ。

________________________________________


今日もスタジオの隅で、そんな“もう1つのキャラランド”を見た。


翔太がカメリアと何か話している。


翔太「まだ始まったばかりだけど……もっと多くの人にLa♪Ra・RISE!(ララライズ)を知ってもらいたいんです」


カメリア「カメのようにゆっくりでも、急がなくても、がんばってるを見てる人は、きっといるよ」


翔太「はい。焦らず、ゆっくりと。でも止まらずに。」


ふたりのやり取りに、思わず笑ってしまった。


カメリアの口調はいつもマイペースだけど、言葉には不思議と重みがある。


“のんびり”が、ちゃんと前に進む力になる――そんな気がした。


べにほっぺと雪雄くんが世間話をしていて、

「若いうちは無理するくらいでちょうどいい」と、48歳の説得力を発揮していた。


千鶴くんはクラインくんとストレッチをしながら、真面目に姿勢をチェックしている。


その向こうで、ガレットたんがこっそりカノンのカバンに肉球スタンプを押していた。


……平和だな。

でも、その平和の裏に、それぞれの努力がある。


ステージに立つアイドルも、街角で子どもを笑わせるマスコットも。


みんな、自分のやり方で“誰かを幸せにする”ために動いている。

________________________________________


俺も、その中の一人だ。


見習いでも、兼務でもいい。


この場所で、みんなと一緒に笑顔を作っていけるなら、それで十分だ。


「――よし、明日の確認リストももう一回チェックしておこう」


夕方のスタジオに、マスコットキャラクターたちの笑い声が響く。


その声を背に、俺はパソコンを開いた。


“もう1つのキャラランド”が、今日も動き出している。



*キャラクター原案者*

英賀田 雪雄(あがた ゆきお)  :日花子

根古島 カノン(ねこじま かのん) :日花子

京極 真秀(きょうごく まほろ)   :茶ばんだライス

折原 千鶴(おりはら ちづる)   :夏也 すみ

狭山 那音(さやま なおと)   :ギフカデ

Daz・Garcia(ダズ・ガルシア)  :HUNGRY

赤河 辰煌(あかがわ たつき)   :ウニヲ

佐藤 翔太(さとう しょうた)   :niko

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