⒍生徒会に勧誘されました
そのあと、殿下と私は生徒会室に連行された。
生徒会室は、なんというか『豪華』の一言に尽きる。
多分設計者はお金をかける配分を間違えてる。
ここだけどこかのお城の一室みたいになっていた。
私が豪華すぎる生徒会室に戸惑っていると謝罪をされた。
「すみません。何故か無理やり連れてくるような形になって。私はアルフィー・ライシャワー。今は副生徒会長です。」
はい!もちろん知っておりますとも!
なんといっても私の推し様だ!
公爵家筆頭のライシャワー家の嫡男。
真面目キャラで、顔も性格も私の性癖ドストライク。
前世で何周彼のルートをクリアしたかわからない。
「全然大丈夫です!むしろ困っていたので助かったくらいです!ありがとうございました!えと、私はフィンリー・オースティンです!」
もう最高だ。
推しに話しかけてもらえるとか神。
今日死んでも一生の悔いなし。
「君。私のこと忘れてるよね。」
私が思いっきり存在を無視していた殿下が面白くなさそうな声をあげる。
「あ〜忘れてました。でも殿下は私のことご存知だったようなので、自己紹介は要らないかなと。」
そっけない感じで答えると、私の言葉を聞いたアル様(前世で呼ばれていたアルフィー様の愛称)が声には出していないものの肩を震わして笑っているのがわかった。
………ハッ!今死んだ!心臓がもたない!やばい!アル様が笑った!尊い!カメラがないのが惜しい!
アル様が笑い、私は悶絶し、殿下は不貞腐れている不思議な状態になった。
その状態から抜け出せたのは、生徒会室にある人物が入ってきたからだった。
「何やっているんですかー?ヴィンセント殿下達連れてきましたよー。」
カール・アンダーソン。
私の華やかな金髪とは違い、柔らかなプラチナブロンドの髪。
エメラルドグリーンの瞳は垂れ目で色気満載。
女の子を弄ぶナンパ男。
もちろん彼も攻略対象だ。
「ありがとう。本題に入ろう。」
流石は第一王子。切り替えが素早い。
私とヴィンセント殿下。そしてモブとしてだが、確かに生徒会メンバーとしてゲームに出てきたその他二人がウィルフレッド殿下に促され、置かれていた椅子に座った。
「今回君たちを呼んだのは単刀直入にいうと生徒会への勧誘だね。本当は入試トップの3人だけを勧誘するつもりだったんだけど、今回は特待生として平民初の入学となるフィンリー嬢も勧誘することになった。」
見事にゲームの筋書き通りになった。
「つまりこの貴族しかいない学校で平民への偏見を無くすためということですか?」
ゲームでモブの立ち位置だった女の子が質問をした。
なんとなく、説明しているみたいで、やっぱり乙女ゲームの世界なんだなーと思ってしまう。
「その通り。まあ、生徒会に入ることで逆に風当たりが強くなる可能性もあるけど。それだけじゃなく、光の魔力適正があるフィンリー嬢が生徒会に入ったほうが何かと学園側も都合がいいんだ。でもあくまで勧誘だからフィンリー嬢も他の3人も入るか入らないかは決められるけどね。」
「全然大丈夫なんで入ります!生徒会入ってみたかったんです!」
私は即答した。
推しを近くで眺められるのになんでこんなチャンスを逃してしまうのかがわからない。
いやだってアル様が尊すぎるんだもん!
あわよくばアル様攻略したいし!
まあ、別に私は推しガチ恋派ではないから他の攻略対象でもいいんだけど…
「ハハッ!即答したのにうじうじ後になって悩むなんて意外と考えなしなんだね。」
突然笑い出した殿下の的外れな物言いにちょっとキレた。
「は?いやそんなわけないじゃないですか!悩んでたのは違うことです!殿下は意外とデリカシーがないというかその発言こそ考えなしじゃないですか!」
しまったと思っても遅かった。
モブ2人とウィルフレッド殿下は瞠目し、アル様は声をあげずに、カール様は声をあげて吹き出し、ヴィンセント殿下は面白そうに目を細め、私をみていた。
「……ハハッ……ふふふ。君すごいねー。平民っていうのもあって媚びる感じなのかと思ったら……ふー…ふふ。僕でも殿下の圧に慣れるのに相当かかったのに、まさか反論するなんて……ッハハッ!」
カール様はどうやら私が相当面白いようだ。
さっきから私の顔を見るたびに笑っている。
失礼極まりない。
しかし、これはまずい気がする。
でも、ここで謝りたくはないし!
なんか腹立つし!
私がムッとすると、ウィルフレッド殿下が思わずと言った感じで吹き出した。
突然のことだったので、私とモブ2人はちょっと引いた。いやかなり引いたかもしれない。
「ッハハ!やっぱ面白いね。ごめんね。意地悪言って。ようこそ生徒会へ!」
私はどうやらウィルフレッド殿下に『おもしれー女』認定されてしまったようだ。
ゲームで生徒会に勧誘してくるウィルフレッド殿下とはだいぶ雰囲気が違う気がするけど、ウィルフレッド殿下はすでに攻略対象から外れているため、あまり気にすることはない。
「他はどうする?」
切り替えた殿下は他の3人にも入るかどうか聞いて、全員が承諾し、軽い自己紹介タイムとなった。
ちょっと攻略対象達ががキャラ被りしそうで怖いです!
どうやって8人書き分けようかずっと悩んでたら1時間くらい妄想しちゃいました…
夢女子ですみません(-_-;)…