⒊待ちに待った入学式
ちょっと毎日忙し過ぎて辛い…
でも今日から少し余裕が出来ました!
今日は塾をサボって書いてます…
「ここがリュミエール王立魔法学園か〜。」
私が校門に足を踏み入れると木々が揺れ、私を迎えるように桜の花びらが舞う。
さすがヒロインエフェクト。
しっかりとヒロインとして認められているようだ。
なんと言うかすごい。
歩き始めると、私をすごい形相で睨んでくる黒髪赤眼の美女がいた。
そこで私は思い出す。
(そういえば悪役役の令嬢がここで私を転ばしてくるんだっけ。)
黒髪赤眼の美少女は確かどこかの公爵令嬢で、名前はティファニーとかだった気がする。
プライドが高くて、平民の私が許せないからいじめる…みたいな話だったと思うけど…
そんなことを考えていたら、例の彼女がこっちに向かってきた。
「……」
私は、彼女に気づかない振りをしながら彼女が私を転ばせようと瞬時に伸ばした足を華麗にスルーし、そのまま通り過ぎる。
だって痛いのは嫌なんだもん。
「…っちょっとあなた!私が誰なのかご存知で?」
あーもう最悪だ。話しかけられた。
でも、ここで構うほど私は暇じゃないし。
そもそもあなたとしか言われてないから、私に話しかけてきたのかどうか怪しい。
うん。きっと私以外の人に話しかけているのよ。
そうに違いない。
「ちょっと止まりなさいよー!」
もう面倒くさくなった私は早歩きで入学式が行われる体育館に向かった。
そして体育館に着いた私は後悔した。
何故なら悪役令嬢に引っかかった私を助けてくれるのが、今在校生代表として挨拶をしているウィルフレッド・メルキオール・ハワード第一王子殿下で、私たちの出会いイベントだ。
何を隠そう、彼はこのゲームのメインの攻略者対象だ。
私とセットになるべくして生まれたような銀髪赤眼の美少年。
銀髪といっても白に近く、赤眼はとても怖いイメージを持っているが、そんなイメージを腐食させるくらい優しい。
挨拶をしている時の微笑みは完璧で、すでに今日入学した女子生徒のほとんどが彼に心を奪われているようで。
「まるで絵本から出てきたかのような王子様ですわね。」
「あの方はいつ見ても美しいですわ。」
なんて口々に言われている。
反対に男子生徒のほとんどは王子を敵対視するような視線を向けているが、有力な王太子候補には媚を売っときたいのだろう。
「やはり、殿下はご立派だな。素晴らしい国になりそうだ。」
とか言っている。
貴族社会とは面倒なものだ。
殿下の挨拶が終わり、入学式も終盤に差し掛かった頃、後ろからふと視線を感じ何気なく振り返ってみると、あの悪役令嬢がこっちを見てる。
これは急いで寮に行かなければならないのでは?
乙女ゲームをプレイする分にはいじめなんて痛くも痒くもないが、現実となると辛い。
今も、射殺さんばかりの視線をグサグサと刺してきて、正直かなり怖い。
「確か彼女って第一王子ルートで1番あたりが強かったような…」
そうだ!彼女でさえも近づくことが躊躇われる王子に平民が気安く話しかけることが許せなくて、いじめがエスカレートしていった気がする。
え?普通にやだ。
王子ルートはないわ。
まあ、そもそも前世でプレイした時も推しは王子じゃなかったし。
なるべく近づかないようにしよう。
そもそも学年が違うから、なかなか関わる機会なんてないよね。
それが確かなフラグとなっていることに一ミリも気づけなかった私は、この「自分から近づかなければいい」みたいな考えが甘かったことに後々気付かされることになったのだった。
短いので今日はもう1エピソード書くつもりです