ライブハウス
若手バンド「vide」は売れないロックバンド。しかし彼らの楽曲は響く人達には響き、少しずつその人気を確立しているのだった。
今日も東京のライブハウスでの演奏が終わった後、バンドメンバーの一人、リードボーカルのアキラは、ファンとの交流を深めるために、ライブハウスの外で待っていたファン数人と話すことにした。ファンの一人、れいという少女が、興奮した様子でアキラに話しかけた。
「アキラさん、本当に感動しました!今日は本当に最高の夜です!」
アキラは微笑みながら答えた。「ありがとう、れい。みんなの応援があるからこそ、おれたちも全力で演奏できるよ!」
その後も数人のファンと写真を撮ったり、サインを書いたりしたが、アキラは次第に違和感を覚え始めた。何かがおかしい。ファンたちの視線がどこか無機質で、生気が感じられなかったのだ。しかし、その理由を深く考える暇もなく、スタッフがアキラに次の会場へ向かう時間だと告げた。
翌日、バンドは地方都市の小さなライブハウスで演奏することになった。アキラは前夜の出来事を振り払うように、全力で歌い続けた。しかし、ふと客席を見ると、そこには見覚えのある顔があった。前日の東京公演で会ったれいがそこに立っていたのだ。
「え、どうして……?」
アキラは驚きながらも、演奏を続けた。しかし、その夜もれいだけでなく、東京公演で会った他のファンたちの姿で埋め尽くされていた。不思議なことに、彼らは皆、同じ場所に同じ表情で立っている。
ライブが終わり、アキラは控室でメンバーたちにそのことを話した。だが、他のメンバーは彼の言葉にただ黙っているだけだった。
次の公演はさらに遠い地方都市で行われた。しかし、そこでも同じファンたちの顔で埋め尽くされていた。アキラは次第に恐怖を感じ始めた。彼らはどうやってこんなに短期間で各地のライブに現れるのか?
その夜、アキラはもう一度れいに話しかけてみることにした。れいは微笑みながら、まるで何も変わらない様子で答えた。
「私たちは、アキラさんの歌を聴くためならどこへでも行きますよ!ファンの間では全通してる人たちも多いんですよ!」
ライブツアーは無事に終了し、ギターのヒロトが売れ残ったチケット代を払っていた。アキラは改めてファンの存在に感動した。次も良いライブにしてみせる。おれにはみんながついてるんだ…




