表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▶️【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
 [第3章]ゴブリン・ライフは どこへ 行く...?
59/61

049. 俺らと、続・南の森

 作中7日目、金曜日です。



 ◇


 ジンジュです。ログインしたら、晴れた午後の東の街(イース)でした。

 すぐ狼獣人(ボーゼ)森人(えすと)と合流して、行き先とか相談してます。


 今日は(とがの)らが北西の草原、スライム(はっさく)らがイース川におるらしい。



 んで、街の南、「鬼族(おにぞく)の種族スタート地点」の話()ってみた。

 即、ボーゼが食いついた。俺の肩に(つか)みかかりそうな勢いで。


「おま……んな面白(おもろ)い話、何で(だま)っとってん?」

「や〜スマン、(かん)()()せとったわ。『スキルどないしよ?』とかって話のほうが、俺には大事やったからな〜……」

「あー、そらそーかー……」



 昨日街出るとき、門番さんに


里帰(さとがえ)り?」


とか聞かれんかったら、多分忘れっ(ぱな)しやったやろな〜。(あぶ)な危な……

 ドーモ、(みな)=サン。アホゴブリンです。



 んで、そのアホに、えすとが聞いてくる。


「でー、どこまで行ったん?」

「ボスの手前〜。 ……その間、特に何もなかった」

「あーそっか、ボスまだやったかー……(どく)()し足らんなぁ、買わな」



 ……毒消し、やと?

 そんなん()るってことは、何か毒持っとる敵が出てくるんやな。何やろ……?


 (ハチ)か毛虫か。それとも(ヘビ)とか蜥蜴(トカゲ)とか?



……(ぜぇん)()(いや)やな〜。俺、(まち)の子やし。



とか思とったら、ボーゼが答え教えてくれた。


「あそこのボス、バカでかい鳥のくせに毒()きよんよな」

「『ボケェ〜 !! 』とか言うて?」

「せやな、そっちの毒(・・・・・)も吐きよったわ」

「マジか〜……」



 人様のボケ(つぶ)しよったぞ? このボス鳥。



 許すまじ……



「そーそー。あとあの辺、デカい(アリ)さんも出てくるからなー」

「デカい、てどん(ぐらい)〜?」

「んー、50cm(センチ)位?」

「デカ……」


 うちの兎やスライムらよりデカいやんけ。勘弁(かんべん)してぇな……



「あ~せや、()(さん)て毒(あつか)いなん?」

「ゲームによる。ここは(ちゃ)うな、(ちゅう)()(ざい)が別にある」


 これな、これ〜……て感じで、ボーゼが小瓶(こびん)出してきて、振りよる。

ていうても、中身は透明な液体や。違いが分からん。



「まぁ基本、(ウルフ)(コッケ)や。んな気にせんでええ」

「さよか〜」


とか何とか、(しゃべ)りながら歩きだした。



 目的の店は街の西側、やて。



 ◇


 イース市の都心:中公園から歩くこと、10分弱。



「着いたー!」

(やかま)しッ」


 急に原始人みたいな奇声を上げるえすと。その口を、ボーゼが(あわ)てて(ふさ)ぎにかかる。



 すいやせん、今ちょっとビビりやした……



 さておき、目的地らしき薬局(やっきょく)に着いた。

ていうても、外からそうとは分からん。看板とか一切(いっさい)ないからな。


OPEN(あいてる)


て書いた板切れすら見当たらん。



 大通りから1本入った(とこ)で、家にしては開放的――1階が丸見え――すぎるから、ギリギリ


「あ、何かのお店なんや?」


て分かるレベル。



……極端やな〜。もうちょい何とかなれへん?



「よし、今日はおってやな」


 中(のぞ)いたえすとが、引き戸を開ける。建て付け悪いんか、ギィ〜ガタガタ……て音しよる。



「「「こんにちはー!」」」

「お? (なん)だい(でぇ)今日は」


 椅子(いす)にどっかと(こし)()けて、テーブルにもたれかかっとる(じい)ちゃんが、面倒(めんど)くさそうに()いてくる。

 店主(てんしゅ)さんらしい。



 この人物凄(ものっそ)い気ぃ(むずか)しそうやな〜……。


 小柄で(しわ)だらけやけど、目つきは(するど)い。んで、声低うて早口。



 これが(うわさ)の、“職人(しょくにん)(はだ)”てやつ……?



 格好(カッコ)ええな〜!

 いやちょっと怖いけど。身近におれへんタイプやし。



お前(ワレ)口から(さき)生まれたんけ?」

「ヘラヘラすなボケぇ!」


とか何とか、す〜ぐ言われるんが、ウチの親戚筋(しんせきすじ)やからな。



……で。そんな店主さんに、えすとは普通に話しかけよる。



「おっちゃん、毒消しと蟻酸の中和剤あるー?」

(しだり)(たな)でぇ。1本50万な」

「50万かー……」


 え~っと……初級MP回復薬(マナ・ポーション)が1本0.8マニ、やったよな。

 1本50万マニてことは……



……待って? おっちゃんそのノリ(つう)じるタイプなん ?? その(ふん)囲気(いき)で ???



「ほなこれでー」


 えすとが小瓶5本持って、テーブルへ。んで250マニ(・・)出して、その横に()えた。



 おっちゃんがニヤリと()ろて、一言。


「南か?」

「はい」

「そうか、気をつけてな。毎度(まいど)あり」



 通 じ た ァ 〜 ッ !!



「「「ありがとうございましたー !! 」」」


 お礼言うて、店出た。



 ほな行こか、南の森〜!



 ◇


 薬局から歩くこと、30分ちょい。

 イース市の南総門で検問クリアして、草原に出た。



「【ソード・スラッシュ】!」

「【火の魔球(ファイア・ボール)】」


 例のごとく、兎を狩る異人(プレーヤー)らが十数組。

 それと何かを爆発させる一団が…… 爆 発 ぅ ???



 草原の中ほどで、(オレンジ)色の()(ばしら)が上がった。んで、ちょい遅れて「ドゥオーン!」みたいな(じゅう)低音(ていおん)と、生温(なまぬる)い風が届く。

 うわァ……腹に(ひび)く〜!



「えっ、今の何?」

「は? ()ぜた ?? 何が ??? 」


 爆発音に(おどろ)いた人らが戸惑(とまど)い、兎らが逃げ惑う。

 んで、火柱上がった(あた)り見た。(けむり)ん中から、何か橙色の光が見える。


 風の加減か、煙が切れる瞬間があって。橙色に光っとんは、何かデロデロした物みたいや。



「あ゛~? 溶岩(ようがん)…… ?? 」


 いや、溶岩で火柱は……あとまず、どこからどないして持ってってん、て話やし。

 ほな()けるほど熱々(アツアツ)の金属、やとして……金属……爆発…………



「あ! テルミット反応か?」

「「なんそれ ?? 」」

「鉄とアルミ粉々にして、火ぃ()けたら爆ぜる……てやつ」

「「なんそれ…… ??? 」」

「いや~……それ以上は俺も知らん」



 友達が「なんそれ?」bot(ボット)と化したんで、説明を打ち切る。

 テルミット反応を使うと、


(じゅん)()の高い鉄が手に入る」

「超高温で、電子機器の記憶領域(メモリー)を確実に潰せる」


とかって聞くんやけど。



……うん。もし今のがテルミット反応やったとして、


「やから何? 何がしたいん ?? 」


て話やな〜。



 どんだけこの「ファンフリ」世界がふざけとって、


「中世ヨーロッパ風の異世界のあちこちに、現代日本っぽさが漏れ出してる」


ていうても、さすがにPC(パソコン)とか携帯電話まである……とは思えんし。

 ほら、その前に(じゅう)とか電車とかが出てくるやろ? 普通は。



 あと、「純度の高い鉄」は(かと)うて(もろ)いから、使い物にならんねんて。

 昭和か平成ぐらいの、大昔のアニメに


(てづ)に混ぜ物しねぇど、(じょう)()になんねぇだ!」


とかって台詞(セリフ)あるぐらい、らしい。



 アッハッハ、分から〜ん! (なぁん)も分から〜ん !!

 何やこの、気色悪(きっっしょ)い爆発ぅ〜 !!?



「……とりあえず、(ウサギ)ら呼んでええかー?」

「「お願いしま(おなしゃ)〜す」」

了解(りょーかーい)


 まあ、いつまでも知らん人ら気にしたって仕方(しゃあ)ないか〜……

 俺らは先へ行く。(ねみ)いのさ。



 ◇


 俺ら3人に、(ウサギ)2羽、(ネズミ)1匹、スライム6匹。いつもの12名が(そろ)た。

 爆発のショックから立ち直れんと、まだワタワタしとる野良の兎らを尻目に、俺らは草原を突っ切った。



 あっさり着いた森から、早速お客さんが駆けてくる。



「¿Qué(ケー)? ケーッ !! 」


 跳ねたり走ったり、落ち着きのn……(みょう)に足腰強そうな(トリ)さんや。

……おっ通知。



《「トウケイ(♂)」1羽と交戦中です》



 ……やっぱ闘鶏(とうけい)、なんかな〜? 名前的に。

 んで、いっつも通り先頭俺なんやわ。



()〜ね〜……【鑑定(かんてい)】、【火の魔球(ファイア・ボール)】」


 とりあえず【鑑定】かけて、火魔法でビビらせとく。

 んで、ウチの(とがの)スライム(はっさく)に指示出そうとしたら……



「ふんす!」

「【鑑定(きゅい)】、【水の魔球(きゅい・きゅきゅい)】〜」


 もう動いとった、という。



―――――

トウケイ(♂) Lv.21[交戦中]

(分類)魔物/動物型

 野生化した(ニワトリ)、もしくはその子孫。進化を()て、さらに勇敢(ゆうかん)かつ頑健(がんけん)になっている。

 戦えないなら、遠ざけるべき相手である。特に()りと、(くちばし)を活かした突進に要警戒。


 HP:99%   MP:―

―――――



 能書(のうが)きは後にして。



「ゲッ、 ケ゛ェ゛ー゛ッ゛!」


 俺らの魔法()ろて、(トリ)さんは後ろに()ねた。

 そこへとがのが飛びかかる。



「ふす、ふんす!」

「ケェーッ !? 」


 鶏さんの、咄嗟(とっさ)の蹴りを(かわ)しながら、前脚(まえあし)2本で着地して。

 そのまんま体(ひね)って、回し蹴り。


「ふすぇあッ !! 」

「ゲェーッ !!! 」



 とがのの後ろ足が、鶏さんの首ら(へん)(とら)えて……「CRITICAL(クリティカル)!」、(いただ)きました。



《「トウケイ(♂)」1羽を討伐しました。以下の条件が満たされています》

《従者「とがの」の〈蹴り〉がLv.10になりました。技【(ひざ)蹴り】を取得》

《従者「はっさく」の〈水魔法〉がLv.6になりました》



 ほな手ぇ合わせて。なむなむ……



「……待て〜、【膝蹴り】?? 兎の膝どこよ ??? 」

「ツッコむなツッコむな」

「そーそー、先に鶏さん解体(バラ)したれ」

「あっハイ……」


 せや、()せとった。短刀出して……



《以下のアイテムを入手しました。

 ・トウケイの肉(小)×2

 ・トウケイの羽根(極小)×54

 ・トウケイの頭部(小)

 ・トウケイの魔石(極小)》



「ま〜た生首ぃ〜! もうええて !! 」


 変な声出た。けどしゃあないよな〜、これは。

……とか思とったら、ボーゼが生首見ながら一言。



「強く生きるんやで」

「もう死んでるー」

「首に何言うとん……?」


 安定の()謹慎(きんしん)



「でー、それどないするん?」

「どないしよ? 昨日の所()めたろかな〜……」

「さよか。ほな行くコ」

「「あ~い」」



 ◇


 昨日と(おんな)獣道(けものみち)辿(たど)って、森の中を進む。

ていうても、昨日とは全然雰囲気が違う。



「ウオ〜〜〜ン」

「ケッケッ、ケー」


 (ウルフ)遠吠(とおぼ)えが聞こえたり、渋い鶏(コケイ)さんが数匹、その辺飛んどったり。生気に満ちあふれとる。



 ……ちょお待て、コケイさん飛んどるど〜!

 いや低いけど。滞空(たいくう)時間(じかん)5秒とかやけど。



「んー? 鶏て空飛べたっけ……」

「聞いたことない。家畜になる前(ごせんぞ)は飛べたらしいけどな〜」

「……先祖返り、てやつー?」

「かもな〜、知らんけど」



 気になる。【鑑定】させてほしい。


 けど無理そうなんよな〜。めっちゃ警戒されとるし。



「きゅいきゅい……」

「ケ゛ー゛ッ゛!」

「「「ケ゛ッ゛ケ゛ッ゛!! 」」」


 はっさくがぴょこぴょこ近づこうとしたら、近くの(しげ)みにバッと隠れよる。



「きゅい、きゅい〜……」

Oh(おぉ)……災難(さいなん)やったな……」


 甘えるように飛びついてきたはっさくを、()でながら思う。

 この子であの反応か〜……ほな、俺らの手には()えんな。残念。



「おー、置いてくぞー? 何しとんねん ?? 」

「すまん、今行く〜」


 先行こうとしとった友達らを追う。道が(ゆる)〜く右に曲がりよる所や。



「野良の鶏と仲良うする手ぇ、ない〜?」

「ある。けど俺らには無理」

「言い切った !? 何で……?」

ファンフリ(ここ)の鳥、全体にプライド(たっか)いみたいでな。最初に仲間にせな(なつ)かへんらしい。

 知り合いに『それがいいんだよ!』とか()かすド変態おるけど……はった違う、他の(やつ)な。そいつが延々(えんえん)手ぇ(つつ)かれとるん見せられてな。


 いたたまれんで、アレは」



……ひぃ。



 まあ多分、


(たまご)から育てたら懐く」


とかあるんやろうけど。



 そ こ ま で す る () () (ひま) は 、 な〜……


 もうちょい他のことに使いたいな〜、俺は。自己中心的(ジコチュー)ですから。



 ◇


 一旦安全地帯(あんち)通り過ぎて。出てきた狼の群れを、えすとらに任せて。

 鶏の生首持て余した俺らは、昨日の茂みに穴追加しよるとこや。



 えすとに借りたシャベル、大活躍。


「これが〜、文明の利器(りき)……!」

「どっちか言うたら鈍器(どんき)やろ」

「ツッコミありがと〜」



 んで。

 途中、黒猫が鶏の首()りに来た。見張ってくれとったボーゼが、すぐ反応した。



 そこまではよかってん。



「あ」

「あ゛?」


 味噌(みそ)(しる)に髪の毛でも浮いとったんか? て感じの、間抜けな(うめ)き声が聞こえた。



「……首が増えたよ。やったねジンちゃん!」

「 し ば く ど ??? 」

「ふす……」


 とがのも そうだそうだ と いっています。



「……すみませんで(サーセン)した」



 結局、予定(くる)てもて。

 俺らが猫の首埋めよる間に、狼の群れがリポップして。えすとらはまた、狼と戦う羽目(はめ)になりましたとさ。



 でめたしでめたし……











 ありがとうねぇ。



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 次回更新は3/1(日)頃の予定です。ジンジュくん、南のボス鳥に挑む!


 感想・リアクション等ありがとうございます〜!!



【追記】一部修正しました

(2026/02/26)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ