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▶️【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
 [第3章]ゴブリン・ライフは どこへ 行く...?
57/57

047. 俺ら、南の森にて……

 感想・リアクション等ありがとうございます!



 ◇


 ジンジュです。東の街(イース)の南の森……の、手前まで来ました。

 先を行く連れの兎(とがの)が、幽霊(ゴースト)(ウルフ)に襲われかけたとこで。


 俺と連れのスライム(はっさく)で魔法ぶち込んで、引っ()がしにかかる。



「ワ゛ォ゛ア゛ア゛!!? 」



 (ねろ)た通り、こっちに来る幽霊狼。(ちゅう)(すべ)るように、水平方向に向かってくるそれは……



 薄茶色(うすちゃいろ)で、とがのより一回り()っちゃい石でした〜。



「 い゛や゛石゛ぃ゛!? 狼(ちゃ)うやんけ !! 」

「きゅい?」



 あれ? でも「ゴーストウルフ・ブラウン」て名前(?)出とるよな。

 んで、狼っぽい悲鳴も上げとった。


 ほな、これって……



「あ~ッ !! バグっとぉ !!? 」



 マジか〜……

 戦いながら運営さんに通報、とか無理〜。とっとと倒そ。



「【着火(バーン)】」

「【光の癒し(きゅきゅいきゅい)】〜」

「ワ゛オ゛ゥ゛ウ゛!!? 」


 もう一発ずつ魔法使(つこ)たったら、幽霊石(?)はあっさり地面に倒れて。「CRITICAL(クリティカル)!」、いただきました。

 ほな手ぇ合わせて。なむなむ……



《「ゴーストウルフ・ブラウン(♂)」1頭を討伐しました。以下の条件が満たされています》

《従者「とがの」の状態異常【恐怖】が解消されました》

《従者「はっさく」の〈精神強化〉がLv.5になりました》



 通知来た。と同時に、薄茶色の石が(くず)れはじめた。

 脚と尻尾(しっぽ)の先から順番に、白く光るサイコロ(ポリゴン)の集まりに変わる。やがてポリゴンは(ほぐ)れて、空高く消えていった。


 んで、(てのひら)サイズの青黒い石が、1個だけ残っとる。

……また通知?



《「ブラウンウルフの魔石(ませき)」1個を入手しました》



 せやせや、魔石や。これ冒険者組合(シーカーズ・ユニオン)に持ってくと、魔物討伐の(しょう)()になるんやったな。

 ほな、ありがたく(もろ)とこ〜。



 ん? 【解体】なしか。

 しかも魔石だけ……。


 いや、幽霊【解体】して素材()れるほうがおかしいけどさ〜。

 持ち物とか、特にないんやな。へぇ~……



 ◇


「さて、どないしよ……」


 バグっぽい(もん)見てもた以上、さっさと通報すべき。 ……なんやけど、その前に安全確保しときたい。

 やから森入って、すぐの(しげ)みに(かく)れる。


 とりあえず、今すぐ何かに(おそ)われる……て状況やなさそう。



 ほな2択や。とがのとはっさくに聞いてみよ〜。



東の街(イース)に戻るか、森ん中の安全地帯(あんち)を探すか。お前らどうしたい?」

「きゅいきゅい〜?」

「ふす……ふすふす!」


 触手伸ばして、左手の親指(?)で後ろを()すはっさく。街戻りたいらしい。

 対するとがのは、森の奥へ進みたがっとる。


 何かの(にお)いを気にして、ずっと()ぎ回りながら。



 意見割れてもたな〜。



「ん~……せっかくやし、もうちょい森行ってみよかな」

「ふす!」

「あ〜でも、やばかったら即引き返すから。 ……てことでええ?」

「きゅいきゅい」



 ほな行こか〜!

 安全地帯(あんち)、あったらええな〜……。



 ◇


 早速茂みを出て。

 まっすぐ続く獣道(けものみち)を、南へ。


「ん〜……何か()(しょく)(わる)いな……」

「きゅいきゅい……」



 森ん中やから、人通り少ないんは分かる。

 けど、それにしても静かすぎる。生き物の気配もないし、()の葉が風に揺れる音もせぇへん。


 何でこんな、空気(よど)んどんねやろ……?



「……きゅい? きゅいきゅい」

「え? 東の空 ?? 」


 はっさくに言われて、左を見る。木々の隙間(すきま)から、真っ()っかの月が見える。

 こっちを(のぞ)き込むかのように。



「気色悪ぅ……何やアレ ??? 」

「きゅい……?」


 分っかんね……



「ふす? ふすふす……」


 んで、とがのは全部無視して、ひたすらその辺|嗅ぎ回っとる。



「ふす !? 」


と思たら、急に顔上げて右見た。



 ……ん !? 何か光っとる。

 白く光っとる……(チョウ)? こっち飛んできょるな〜。



「きゅい! きゅいきゅい……」


 んで、はっさくが立ち止まって、触手を伸ばす。また俺の収納袋を(あさ)って、十数(つぶ)の「スライムグミ」を出しよる。



 で、はっさくは触手引っ込めて、頭の上に出し直した。

 触手が木の枝みたいな形に変わって、先端に花が……今度は菜の花(ナノハナ)やな?


 そこに蝶が止まって、口元のぐるぐるを伸ばして……



「 き゛ゅ゛い゛い゛い゛!!? 」


 吸い始める前に、はっさくのHPが減りよる。体を波打たせて(もだ)える彼……の反応に驚いたか、蝶は飛び立った。

 この間、約3秒。HPが3割弱、MPもちょっと減った。



「ふす !? 」

「ちょ、大丈夫か !! 」

「きゅいきゅい……」


 思わず駆け寄ったら、はっさくは触手2本伸ばしてきた。

 収納袋から「スライムグミ」を一気に20個ぐらい(すく)って、まんま口に()り込みよる。


 大丈夫は大丈夫らしい。



 で、蝶のほうは……あっ逃げよる!


「【鑑定(かんてい)】!」

「【鑑定(ふす)】」



 ……チッ、逃げたか。ほな茂みに隠れて、【鑑定】結果見たろ。



―――――

ゴーストバタフライ・ホワイティ(♂) Lv.14

(分類)魔物/虫型

 草原や畑に現れる、蝶の亡霊(ぼうれい)彷徨う亡者(アンデッド)の一種。

 生前よりも身軽だが、その分打たれ弱い。花の(みつ)(この)む。


 HP:98%   MP:82%

―――――



 何で光っとるんやろ? て思たら、幽霊でした。

 マジか、全然気ぃつかんかった……


 んで、幽霊は闇属性、はっさくの弱点突いてくる属性や。

 やから()れただけでああなった……んかな?



 知らんけど。



「……ふんす?」

「きゅいきゅい」

「お〜スマン、お待たせしました〜」



 ……何も出て()ぇへんな、ヨシ!

 ほな進もか〜



 ◇


 南にまっすぐ伸びとった獣道が、急に右へ曲がりだした。

 安全地帯に行きたいから、道なりに右へ進む。何もないとこに道はつかんからな。


……知らんけど。



 十数秒歩いたら、道はまたまっすぐになった。角度的には西南西(せいなんせい)ぐらいかな?

 で、道の奥に人影が見える。高〜い台の上に乗っとって、1mm(ミリ)も動きそうにない。


 多分、女神像や。つまりあの辺が安全地帯……と見た。



……うん、(うっす)らドーム状の結界みたいなん見えるわ。



「もうちょいや、行くぞお前ら〜 !! 」


とか言いたなるんを、ぐっと(こら)える。こういう時こそ慎重に。



 もしPKer(プレーヤー・キラー)とかおったら、ええカモやからな!



「ふすふす……」


 相変わらず、とがのはその辺嗅ぎ回っとる。いやでも、さっきまでに比べて、まっすぐ道なりに動きよるんよな〜。

 (にお)いの大元が近づいてったんか? 俺には何も分からんけど……



「……ふす! ふすふんす !! 」

「きゅい〜?」

「ふすふす」


 何かに気ぃついたらしいとがの。で、はっさくが触手伸ばして、安全地帯のほうを指す。


……やっぱ何かあるな〜?



「ほななるべく静かに、な」

「ふす」

「きゅい」



 速さはそのまんまで、なるべく音立てんように歩く。

て言うても、(よろい)着て盾持っとったら、どないしても音するんやけどな。



 そないして辿(たど)り着いた、安全地帯の前。中には女神像1体と、別の人影が1つ。

 黒い服の、どっかで見た女せ……ヤバい、短剣(ダガー)(つか)んでこっち来る!



「駆け込め〜ッ!」


 言いながら、女神像めがけて全力で走る。女性とすれ違うより3秒先に、安全地帯に入れた。

 それを見た女性――たしか「ザいけ」さん、やったか――は、短剣引っ込めて、そのまんま走ってく。


 足音が一定の速度で遠ざかり、消えた。

 芝居やなかったら、もうこの辺にはおらん。



……え?



「何で見てないん?」


やて?



 そら俺も、仕返ししたいで。

 少なくとも【鑑定】ぐらいはさせて(もら)わな、やられ(ぞん)やしな〜。



 でもお前、石像にぶつかって死にたいか ??

 急に止まって(はしるんやめて)、ショック死したいか ???



「いくらゲームやからって、俺は嫌やな〜……んなしょ〜もない死に方するん」


 やからやめといた。



 (わら)いたければ嗤え、以上や。



 ◇


 息が(ととの)うまで、女神像の周りをぐるぐる歩いて。

 落ち着いたとこで、「お問い合わせ」する。さっきの幽霊狼バグっとったやつな。



 やから、とがのとはっさくには


「休むなり遊ぶなり、好きにしとき。 ……あ、呼んで聞こえる(とこ)おってな〜?」

「ふんす」

「きゅい〜」


て言うてんけど。



「ふすふす」

「きゅいきゅい?」

「ふす……」


 安全地帯のすぐ外で、草の味見したり、()っちゃい花とかキノコとか見たりしとる。



 お楽しみ中に悪いけど、そろそろ呼び戻そか〜。



「終わったぞ〜、次どうしよ〜?」


……わざと大声で、標準語で。変なんおれへんか、ついでに確認したろ。



「ふすふす」

「きゅい〜」


 2匹が戻ってきた。

 何やら満足げなとがのと、そわそわしとるはっさく。



「どないしよ? 街戻る? それとももうちょい歩いてみる?」

「ふす、ふすふす」

「きゅい〜」


 聞いてみたら、また意見分かれた。

 とがのは後ろ足を上げて、街のほう向けとる。戻りたいらしい。

 一方、はっさくは左手の人差し指(?)で、前方を指す。もうちょっと先まで行ってみたいんやて。



「……さっきと逆やんけ?」

「ふす」

「きゅいきゅい」


 閑話休題。



「ん~……ほな、もうちょい先行ってみよか」

「きゅいきゅい!」

「あ〜でも、何かあったらすぐ街戻るで。ここ経由で。 ……てことでええ?」

「ふんす!」


とか言いながら周り見て、1個気ぃついた。



 行こうとする獣道の先に、白い光の壁が見える。

 んで、その手前に何やら動く骨が1体。あれ(なーん)だ?



「【鑑定】〜」



……あれ、通知?



《【鑑定】対象が遠すぎます》



 マジか! 距離的には問題ないはずやのに。

 ……やっぱ横着(おうちゃく)したらアカンなぁ、往生(おうじょう)しまっせ〜!


 教訓(きょうくん)。安全地帯の外の敵は、安全地帯の外で挑発しましょう。



……そらせやな !!



 ◇


 装備よし、HP・MPよし。あとは石出して〜……

 他に何もおれへんのを確認して、安全地帯の結界の外へ。


「【土の魔球(ソイル・ボール)】、【鑑定】〜、フンッ!」



 魔法()って、骨がこっち向いたん見てから、石も放る。

 【鑑定】結果はあとで。石当たれ〜……



―――――

コッケイ(♂) Lv.17

(分類)魔物/動物型

 草原や森に現れる、(ニワトリ)亡霊(ぼうれい)彷徨う亡者(アンデッド)の一種。

 生前よりも身軽だが、その分打たれ弱い。雑食。


 HP:89%   MP:95%

―――――



O() que(クェ)〜 !?? 」


 ッシャア、当たった〜 !! ……あっ通知。



《「コッケイ(♂)」1体と交戦中です》

《抵抗に成功しました》

《従者「とがの」「はっさく」が抵抗に成功しました》



 あい。ほなサクッと()んでもらおか〜。

……て言う間もなく、とがのが骨鶏(コッケイ)に突っ込んどる。


「ふすぇあッ !! 」

「O que...!」



 あ、「CRITICAL!」いただきました〜……。



《「コッケイ(♂)」1体を討伐しました。以下の条件が……》

《〈投石〉がLv.4になりました》

《従者「とがの」の〈噛みつき〉がLv.6になりました》

《以下のアイテムを入手しました。

 ◯コケイの全身骨格

 ◯コケイの魔石        》



 どうもジンジュです。気の済むまでツッコむ機械(マシーン)やりま〜す。


 骨鶏の生前は、渋い鶏(コケイ)らしい。 ……駄洒落(ダジャレ)か?

 んで全身骨格……()ら〜ん!



「てか昨日のダツの頭とか、まだ持っとったな〜。どないしよ……」



 あと、とがのの攻撃。噛みつきて言うより体当たりやったぞ? そのスキル扱いでええんすか ??

 まぁ(もろ)ときますけど、ありがたく……



 あ! あと1つだけ。

 骨鶏の肺とか声帯とか、見当たりませ〜ん !!



 と゛こ゛か゛ら゛声゛出゛し゛て゛鳴゛い゛と゛っ゛て゛ん゛ワ゛レ゛ぇ゛〜゛!!?



 急なホラー展開やめろぉ !!!



 ◇


 思い立ったが……ならぬ、思い出したが吉日(きちじつ)。てなわけで。

 近くの茂みに穴、3つ()って。牛の頭、ダツの頭、骨鶏を()めます。


 でもスコップとかシャベルとか、んな文明の利器(りき)、ありません。

 石ととがの前脚で頑張りました。あ〜しんど……



鳥葬(ちょうそう)なう」


 ボケをしても1人。ジンジュ。



「あなたをこちらの好きに、お埋めします。オ〜ッホッホッホ……」


 し~ん……



 埋め終わったら石乗せて。3か所全部終わったとこで、手ぇ合わせる。


「なむなむ……」

「ふす……」

「きゅいきゅい……」



 ほな戻るか〜、さっきの安全地帯……



「ふあぁ〜……俺は街へ帰る。(ねみ)いのサ」

「ふす」

「きゅい、きゅいきゅい」


 とがのもはっさくも異議(いぎ)なし……らしい。



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 次回更新は2/10(火)頃の予定です。イース市に戻る3匹(?)


 ゴブリンの倫理(りんり)(かん)が分からん系作者です。

 にんげんだもの……



【追記】一部加筆/修正しました

(2026/02/02)



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