046. むしろ苦手なほうなんやけど……
感想、ブクマ等ありがとうございます!
リアクションもつけてくれてええんやで……|ω・)
◆
ジンジュです。
南の森が気になって、東の街のすぐ南まで出てきました。
「バウ! バウバウ !! 」
「あ! あれは一昨日の……」
……ん !? 後ろから聞き覚えのある声が。
振り返ったら、茶狼4頭を連れた女性2人が、こっちに走ってきよるんが見える。
「悪徳ゴブリンめ! 今度は逃がさないわよ !! 」
「……はい !? 」
うわァ、一昨日の人らや……
知らん人にぶつかられて、列に横入りされて。次……これ ???
あ゛〜゛、 も゛〜゛ッ゛!!! 何 な ん 今 日 !!?
◇
……とかって俺の気持ちは無視して、女性2人は喋りだす。
「『抑、魔物は愛玩動物を飼ってはならない』、聖なる書物にもそう書かれています。まして貴方は餌も与えず、野放しにする外道!」
だぁ~気色悪い気色悪い気色悪い! きっっしょ黙れや !!
教科書の音読か !? 書き言葉でダラダラ喋んな下手糞ぉッ !!!
吐き気するわ……オ゛エ゛〜゛ッ゛!
しかも狼らの目の前で怒鳴り散らしよって! そいつらの耳潰す気ぃか?
てか、それ差っ引いてもビビりすぎやろ、そいつら !! 何したらそないなんねん !?
よ〜っぽど酷いこと、したみたいやのぉ ??
ほな俺とお前ら、どっちが外道どい !!?
「不届き者には罰を。僭越ながら神に代わって、私どもが裁k……ちょっと !? うちの子に何を」
「バウウウ……」
石片付けて、大盾は背負い直して。
唸り声上げながら、俺らを睨めつける狼の1頭に歩み寄る。ゆっくりと、でも自然体で。
その子の前まで歩いて、しゃがみ込んで。
左手を下から出して、首周りを撫でる。
「よしよし……怖かったか〜?」
「バウ……」
めっちゃ戸惑うとるな。
まぁそらそうか。不審者に急に撫でられたら怖いよな〜。
分かる。分かるで〜。
お、でもちょっと表情緩んできた? んで寝っ転がって、腹見せてきt……
いや早ない !?
「嘘……なんで……?」
「バウバウ」
驚く飼い主をガン無視して、「お腹も撫でて!」と言わんばかりの狼。
えぇ……面倒くさ。何で俺が?
俺、犬嫌いやのに…………
◆
昔、いうても10年ぐらい前やけど。
現実の家のご近所に、番犬気取りの猛犬がおってさ。
1回だけ、散歩中の奴と出会てん。友達ん家からの帰りに。
「アゥッ!」
ほなあのクソ犬、飼い主振り切って飛びかかってきよった。
即逃げたけど、数秒で追っつかれて。左脚噛まれてん。
「痛゛ぁ゛〜゛ッ゛!!? 離せやァ!」
「アゥアゥ! ヴ〜ッ……」
思わず犬の首どついてもたけどさ、まぁ許されるよな? こっちは病院沙汰やったし。
しかも行った病院で、お医者さんに言われてん。
「大動脈切れてのうてよかったです。あと数mmズレてたら、救急車でも間に合うたか……」
はい。
「めっちゃ血ぃ出て痛かった!」
どころの話やない。あの年齢で墓入っとった可能性あるとか、嫌すぎる !!
……やから俺、犬嫌〜い。
あと俺、猫も嫌〜い。
同し頃、近所に狡賢い野良猫もおってな。
夜な夜な(?)家の庭に来ては、ウ●コして埋めよったんよな〜……。
これがホンマの、糞っ垂れェ !!(物理)
……はぁ。犬派とか猫派とか、平和で羨ましいわぁ〜。
◇
飼い主とか敵味方とか、全部ガン無視して。「お腹も撫でて!」と言わんばかりの、目の前の狼。
面倒くさ〜。でも無視して噛まれても嫌やし……てわけで。
撫でたるか〜。
「クゥ、クゥ〜ン……」
撫でよったら、また甘ったれた声出しよったぞ〜 ??
オ゛エ゛〜゛ッ゛……
「バウ?」
「バウバウ」
なんか他の3頭も寄って来たし。
「きゅいきゅい? きゅい〜」
あ、はっさくが1頭撫でよる。狼の顔が緩んでって、寝っ転がって、腹見せよr……
「クゥ〜ン……」
やから早いて〜 !!
「何この人……真顔で撫で続けてるの怖……。そういう絡繰人形ですの?」
「なぜ? なぜです、私たちは触らせてももらえないのに……媚薬でも使ってるのかしら」
お〜お〜酷い言い種やの〜、お2人さ〜ん。
飼い主やろ、しっかせぇや!
……あれ? ちょお待て!
とがのは今、何を?
「ふす〜……」
ひぃ~や !!?
ひ、左隣におる !! いつの間に !??
撫でられ待ちなんか、耳下げて。両の後ろ足で立ったまんま、こっちをじ〜っ……と見とる。
じ〜っ……と、な。
「あの、お取り込み中すみません! この子たちとの接し方、教えていただけませんか !? 」
「ほぇ?」
ちょ、飼い主=サンまで話しかけてった !?
俺は一体、どないしたらええんや〜 !!?
◆
狼との接し方を教えろ……やて?
それアレ ?? 犬も猫も嫌いな俺が、必死で覚えた「ご機嫌の取り方」を、無料で教えろ……ってか ???
いや、別にええけど。んな命懸けで覚えたことないし。
てか、逆に困るねん。教えたくても教えられんからさ〜。
何でや? 何でこんな上手いこといくんや ??
狼撫でるん、初めてやのに !!! 何でや !!?
……もしかして、種族補正 !? ゴブリンが器用やからか !??
勘 弁 し て ぇ な 〜 !!!
◇
……て、今めっちゃ言いたい。
言いたいけど、言えるわけない。やからこうなる。
「僕ど素人ですけど、それでもよろしければ……」
「「ありがとうございます!」」
えぇ~……何やったん? さっきまでの態度。
……とか思とったら、目の前の狼が一言。
「クゥ~、キャウン!」
もっと撫でて! とでも言わんばかりに目ぇ輝かせて、甘えてくる。
何で?
……あ、手ぇ止めとった! それでか〜。
う゛え゛ェ゛〜゛ッ゛!!
狼てさ、何て言うか……もっとこう誇り高い生き物やと思とってん。
なのにさぁ、何でこんな甘えてくんの? 悲しいじゃん。
甘えられたら、お前のこと尊敬できないよ。
もう撫でるしかなくなっちゃったよ……
「クゥ〜ン……」
また撫でたったら、目の前の子が満足げな声を上げよる。
そのまんま、飼い主さんらに話しかけた。
「お2人さん知ってます? 狼って耳がいいんで、怒鳴りつけたらダメらしいですよ」
「「本当ですか !!? 」」
「しーっ」
空いた右手の人差し指を立てて、口元へ。「静かにしろ」のポーズや。
……で〜、 や っ ぱ そ こ か ら か 〜 !!
いや、そんな気ぃしたけどさ……動物好きやったら常識やろ ?? え、違うの ???
ホンマか〜。ほな
「撫でる時、いきなり頭はやめとき。手は下からやで〜」
とかって話も、せなアカンねやろなぁ〜……
あ゛〜゛!! 怠゛う゛〜゛ッ゛!!!
………
……
…
◇
「「ありがとうございました !! 」」
「どういたしまして〜」
狼4頭の飼い主さんらと別れて。彼女らが見えんなったとこで、その場にへたり込む。
「あ〜、やっと終わった……」
なんかもう、疲れた。主に口と左腕が。
それに気も使たし、腹も減った。
あと、知らん異人さん4〜5人の一団が寄って来て、勝手にカメラ回しだしたし。
「止めて下さい、狼らが嫌がってるんで」
て何回言うても、聞いてくれへんかった。
キレたとがのが飛びかかるん、止めなアカンかったし。
飼い主さんらが通報して、ぶるダイさんが来るまで、ギャッハギャハうるさかったわ〜……。
あ〜あ、俺知〜らね。
顔覚えたからな? とがのが。
もう何されても知らん。知らんで〜、ホンマ……
あ、南の森? 行くで。
行くけど、1回休ませて。今この調子で行く所やない……。
「ふす……」
「きゅいきゅい……」
「あ、ありがと〜」
とがのとはっさくが、俺を撫でとる。強い子らや、俺と違てな。
少なくともとがのは、逆に撫でられたいほうやのに……。
あ、はっさくは分からん。ゴメン。
ところで。ゲーム的には、俺は一応“従魔使い”てことになるらしい。
やから傍目には、「使い魔に餌もやらないクズ」に見えとるようで。
でも逆なんよな。とがのもはっさくも、自力で生きてける強い子らで。
やのに何でか、俺の面倒見てくれとる……て感じ。
いつか理由、教えてくれるんかな〜?
……まあ黙っとこ。こっちから聞くんは恥ずいし。
……え?
「どっちみちクズじゃん、お前!」?
知ってた。雑魚ですんません。
……あ~、アカンアカン! 柄やないのにしんみりしすぎた。ギャグで中和せな !!
人間、森人、獣人……が行き交う、イース市の郊外は。
う~ん、国際都市。
……やめとこ。怒られるわこれ。
◇
とりあえず、軽く飯。
いっつも通り、収納袋からレーズン味の携帯食料を取り出す。
あと、とがのが食う「ウィードの葉」(アインツ平原産)も。
「とがのは草でええとして〜……はっさくは?」
「きゅいきゅい……きゅい!」
袋まさぐって出してきたんは……氷?
「何それ〜? どこで拾たん……」
「きゅいきゅきゅい、きゅきゅい〜」
スライム6匹で裏路地入って、ゴミ捨て場で拾たんやて。
あ〜……言われてみたら、ほんのり魚臭い。それ食うんや……
とか思とったら、とがのが出した草の半分ぐらいを突き返してきた。
「ふす」
「ゑ? ええの……?」
「ふすふす」
彼女は軽〜く2回頷いた。で、残り半分を大事に抱えたまま、その辺の草を食いだした。
「味覚変わったんかな〜?」
「きゅいきゅい」
……まぁええわ。俺らも早よ食お
「頂きま〜す」
「きゅきゅきゅ〜い」
食レポとか、別にええな?
………
……
…
◇
……ご馳走さんでした。
「ほな行こか〜、森」
「ふんす!」
歩きだして、すぐの所で。
野良の兎らが、透明な壁にぶつかっては弾かれとる。
街を護る結界らしい。
で、とがのが体伸ばしてから、縮こまる。
「ふんす!」
「ぶひゅあ !? 」
……いや突進したわ。溜めの動きやったんかい〜!
白い1羽を突き飛ばしながら、結界の外へ。
俺は歩いて、はっさくは跳ねて、彼女を追う。
「ふんす! ふすふす !! ふすふんす !!! 」
「ぴぐぅ」
「うぷぃ !? 」
「ぶふぅ !! 」
寄ってくる野良兎らを、片っ端から蹴飛ばして進むとがの。
容赦ないなぁ。仮にも同族の、しかも求愛やろうに……
まぁでも、お蔭で俺らは楽できとるからな〜。交戦中とかって通知も来ぇへんし……
「待てとがの! その子は……」
「ふんす!」
「ふきゅ !? ふきゅふきゅ !! 」
「ふんす !!? 」
《「ミニラビット(♀)」1羽と交戦中です》
あ〜遅かった……。逃げようとしとった子の尻に、蹴りが入ってもとる。
ほな当然キレるよな〜、相手の子は……
狼も食わない雌兎の戦い! レディ〜……ファィッ !!
「いや面倒くさ……」
「きゅいきゅい」
さっさと止めよ。その辺の草を一掴み、引きちぎって。
「【着火】」
火ぃ点ける。煙たい匂いが、辺りに広がって……
「ぶひゅあ !? 」
「ぴぐぅ」
「うぷぃ !? 」
周りの兎らが逃げ出した。
「ふきゅ !! 」
「ふすぅ……」
2羽も気ぃついたらしい。野良の子は逃げだした。
とがのも森へ駆けだした。
ほな火ぃ消して……
《戦闘を終了しました》
「これ持っといて。掴まっときや〜」
「きゅい、きゅい!」
燃え残り持たせたはっさくを、抱えて追っかける。
◇
「ふす! ふす!」
疾走する、牛柄の兎。
遅れてそれを追う、焦げ臭い小鬼。
……傍目には、そない見えとんねやろな〜。
彩り豊かな野良の兎らが、蜘蛛の子を散らすように逃げよる。
「……これ、しんどい!」
まだ森まで400mはある。マジか〜……
仕方ない、ペース落とそ。あと1分全力で、とか無理や。
……とがのに置いてかれる? そんなん今更やし。
「向こうでじっと待っとってくれたら、それで……」
えっ通知?
《「ゴーストウルフ・ブラウン(♂)」1頭と交戦中です》
《抵抗に成功しました》
《従者「はっさく」が抵抗に成功しました》
《従者「とがの」が抵抗に失敗しました。状態異常【恐怖】が付与されます》
「だぁ〜ッ早いて〜 !! しかもよりによって……はっさく、【光の魔球】用意しといて」
「きゅい!」
魔法使えんとがのに、魔法しか効かん幽霊狼が襲いかかる。
……狼とか言うといて、とがのより小っちゃいんは気になるけど。
能書きは後や、まずは倒したらぁ〜!
「【鑑定】、【火の魔球】〜!」
「【鑑定】、【光の魔球】〜」
「ワ゛ォ゛ア゛ア゛!!? 」
っしゃ、間に合うた! ほなこっち来いや〜 !!
―――――
ゴーストウルフ・ブラウン(♂) Lv.16[交戦中]
(分類)魔物/動物型
森などに現れる、狼の亡霊。彷徨う亡者の一種。
通常のウルフより身軽だが、魔法に弱い。
HP:43% MP:85%
―――――
【鑑定】結果は後で……ん !?
アイツ宙を走らんと、滑ってきよる。
てかおかしいぞ? 何で赤茶色の毛玉やのうて、薄茶色の石が飛んでk...
「あ~ッ !! バグっとぉ !!? 」
???「犬猫は、愛でられるか?」
???「むしろ好まぬほうにござる」
???「好まぬ !? 」
お読みいただき、ありがとうございます!
次回は2/1(土)頃、番外編の予定です。
本編更新は2/10(火)頃を予定しております。よろしくお願いします m(_ _)m




