045.「普通のプレイヤー」て何やっけ……?
あけましておめでとうございます~!
2026年もこの『かんぶい』をよろしくお願いします m(_ _)m
※作中6日目、木曜日です
◇
ジンジュです。東の街からこんにちは。
ファンフリで初めての一人旅に、出てみたいと思います。
「ふんす!」
「きゅい〜」
まぁ足元に、ついてくる気満々の牛柄の兎とツヤツヤなスライムがいますけど。
……これ、“一人旅”て言うてええんかな?
とりあえず、ここ「中公園」から、街の南に見えてた森を目指しま〜す。
◆
少々、時を戻して。
今日も昼からログイン……したら、今日は晴れとる。出歩いとる人も多め。
あ、ゴムタイヤの人もおる! ……とか思とったら通知来た。
《従者「とがの」の〈引っ掻き〉がLv.4になりました》
《従者「はっさく」の〈擬態〉がLv.2になりました》
今日も平和。ありがたやありがたや〜……
「May I help you?」
「へ? ……あっ! No, Thank you! Sorry!」
ま た や っ て も た ……
いや、違うねん。
ゴムタイヤの人見た、ちょうどその時に通知来たから、そのまんまゴムタイヤの人ガン見する形になってもて……
「アァ、構わンで兄チャーン。ウチ関西弁分かるからネ!」
「ゐ゛……?」
右手の親指立てて、ご自身を指さすゴムタイヤの人。
か、関西弁の……外人さん !?
待って、色々待って……頭追っつかん!
「『ボーゼCh.』見たデ! 頑張リや〜 !! 」
「ほあぁ、ありがとうございます〜…… ??? 」
手ぇ振りながら、颯爽と去っていくゴムタイヤの人。
見とってやねんて、ボーゼ。へぇ~。
いやでも、それ俺に言われてもな〜……
……とか何とか考えとって、立ち止まっとったら。
「ふす、ふす!」
「きゅい〜!」
とがのとはっさくが駆け寄ってきて、短く鳴いた。
近くにおったんか〜……とか思とる場合やなかった。
直後、後ろから左肩に、何かがぶつかった。
「お、お早……うごッ !? 」
思わず呻いてから、振り返ったら。真面目な体育会系っぽい若者やった。
「あっ、すんません!」
「チッ」
「……あ゛?」
はい ?? 舌打ちィ〜〜 ???
……せやな。謝るわけでも、
「地球の運動について」
とか言うてごまかすわけでもなし。
黙って歩いてくだけ。ゴムタイヤの人と、同しほうに。
最初から何も、なかったみたいに。
人とぶつかって、最初にすることが舌打ちか〜。ふ~ん……おもんな!
腹立つな〜、仕返ししたろ。
「ちょとスマン、先行くで」
「ふす」
とがのとはっさくの許可貰たとこで……
せやな〜……後ろからぶつかって、舌打ちしたったらええかな?
音せぇへんように、鎧は片付けて……腰狙て駆け出す。
なぁ兄ちゃん、ちょっと勉強してき。それ、関西の街中でやったらどうなるか?
現実世界でやらかす前に、な。
「フンッ!」
「ぬがッ !? 」
……あら、兄ちゃん転けてもた。
んで、振り返ってこっち見たったとこで、
「チッ」
「はぁ !? 何すんだ手前!」
……わ、凄い。ホンマにキレたで。
険しい顔で大声出して、胸倉掴んできたった。
ほな俺は、もっとデカい声出したろ。ゴブリンがやったら気色悪い、全力の笑顔で。
「へぇ~、人間様が小鬼にぶつかるんは良うて、小鬼が人間様にぶつかるんはアカンねや〜 !! ええ勉強なるわ〜 !!! 」
「は? 何言ってんだ !? 」
横目で足元見るふりして、周りを見てみた。住民らしき街の人らの顔が、みるみる青ざめよる。
これ効くんや。ほなもうちょい煽ったろ。
「なぁ兄ちゃん !! そんなんどこで勉強したったん !!? 」
「知らねぇよ! さっきから何の話してんだ !! 」
「ゴぶッ !! 」
お゛お゛ぉ゛痛゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛〜 !!
……顎どつかれて、吹っ飛ばされました。首から上、あらかた痛い。
あと背中も。
こんな感じなんか〜、「脳を揺さぶ」られる、て……
無理やり起き上がってみたけど、立てん。
「オ゛エ゛ッ゛」
気ぃ悪い、吐きそうなぐらいや。やから座るんで精一杯。
そこに、とがのとはっさくが追いついて来て……
「ふす?」
「きゅい、きゅいきゅい……」
背中摩ってくれよる。
あ、ちょっと楽になった……
「ありがと〜」
とか言うとったら、視界が急に薄暗なった。
で、頭の上から小母ちゃんっぽい声がする。
「アンタ大丈夫かい?」
「アッはい、えらいお騒がせしてすんません……」
言いながら振り返ったら、屋台のお姉さんやった。
「そうかい。気をつけるんだよ?」
「はい! ありがとうございます」
……あ、せやせや! さっきの兄ちゃんは?
「オー、すまんネ兄チャーン」
「チッ、ツイてねぇ……」
「◯ンパーンチ!」
「げべぁッ !? てめぇ何しやがんグブェッ !! 」
何でや? 何でゴムタイヤの人にぶつかって、吹っ飛んどるんや…… ???
あとゴムタイヤの人はゴムタイヤの人で、それ蹴りやろ! どこがアン◯ンチ……アッそうか !!
un-punch、ってか。
……いや 喧 し わ ッ !!!
◇
「よぉ兄チャーン、また会うたネ!」
ぶつかってきたほうの兄ちゃんを絞め落としながら、ゴムタイヤの人が話しかけてきた……?
「……あ、俺ですか?」
俺から訊き返したら、笑顔で親指立てとってや。合うとった。
……いやアレ。どの「兄チャーン」か分からんから、反応遅れてん。
「えらイ災難やったネ〜……あ、飴チャン要る?」
「大阪の小母ちゃんか」
たぶんこの人、若い男の外人さんやねんけど……なんかこう、大阪らへんの“下町の小母ちゃん”感すごいな! 言葉遣いとか、身振り手振りとか。
いや、知らんけど。
今時こんなベッタベタな喋りの人おるんかな? 逆に……
……あ、差し出された飴は丸うて、透き通った青色でした。食い物が綺麗な青色しとったら、逆に怖いよな〜!
同し理由で、スライムグミもまだ食うたことないし〜。
「あ、飴ちゃんは間に合うてますんで……え〜と、ゴムタイヤさん……?」
「私『ベヴスト』言いまス。以後宜しゅう」
「『ジンジュ』です。こちらこそ宜しゅうお願いします〜」
てなわけで、丁重にお断り申し上げ候。
あと流れで、友達登録もしました。
《異人「bewußt」を友達登録しました》
待って、何その「ß」?? 何語の何て字なん ???
……とか聞く時間はなかった。
「ほな、コレはこっちで処理しとくわ。気ィつけテなー」
「あ〜、ありがとうございます〜」
絞め落とされた兄ちゃんを物扱いして、引きずりながら。ゴムt……ベヴストさんは去っていった。
や〜、しっかし面白いな〜、この人……
◇
「……きゅいきゅい?」
「アッすまん! 待たせたな〜」
「ふす」
はっさくに肩叩かれて気ぃついた。ま〜た要らんこと考えとる〜!
それより「どこ行こ?」て話よな〜、今は。
「ここの南に森見えとったやん。あそこ行くねんけど〜、君らも来る?」
「ふす! ふすふす !! 」
「きゅい〜!」
今日は1人で……て思とってんけど。ついてくる気満々やね、とがのもはっさくも。
で、何するんか? て言うと、これ。
―――――
『 【種族スタート】ミニゴブリン専用のスタート地点(????)から開始 』
―――――
で、【種族スタート】ねぇ~……何かあるな? 場所メモっとこ。南の森、東のほう……っと。
―――――
初期設定の最後、開始地点選ぶ時に出てきたやつ。
色々ありすぎて、完っ全に忘せとってんけど。これそろそろ見とかなな〜……て思て。
で、いっつもは武器片付けたまんま、街歩いとるねんけど。
今日は1人やし、「初めての大盾」だけ出しとこか。
……実はこれ、帯紐が2本付いとって。背嚢みたいに背負えるんよな〜。
よいしょ。
ほんで街中やから、いっつも通りとがのを抱っこして。
「ほな行こか〜」
「ふんす!」
「きゅい〜」
……これ、“一人旅”て言うてええんかな?
まぁええか。
とりあえず、ここ「中公園」から、街の南に見えてた森を目指しま〜す。
◇
20分ほど歩いて、イース市の「南総門」に着いた。畑を横目に、検問で〜す。
んで、また何組か並んどるな〜。ほな最後尾について、大盾は片付けよか。
「盾降ろすで、気ぃつけや〜」
「ふす!」
「きゅい〜」
腕ん中から軽快に飛び降りるとがのと、また触手で親指立てとるはっさく。
で、大盾降ろしよったら、ちょうど列が動いて。
軽薄そうな小父ちゃん異人が、しれっと横入りしてきた。
なんか仁王立ちしとってやな。腰悪いんやろか?
ほな、ちょ〜っと失礼しまして……
喰らえ! 膝カックン !!
「うぉああ !! ……ちょっと君、急に何するんだね !? 」
「あ〜すみません、カッとなってつい……」
言いながら、右肘から先を前に出して。
肘固定したまんま、くるっと右脇腹のほうへ振る。「後ろに並び直せ!」て感じで。
「君、並んでたのか……それは申し訳ない」
「いえいえ、こちらこそ乱暴してすみません!」
お互い頭下げたあと、小父ちゃんは後ろに行ったった。
話通じる人でよかった〜…… !!
んで反省、いきなり暴力はアカン。
「……通ってよし! 次 !!」
あ、もう次の次か。
◇
「……通ってよし! 次 !!」
「お願いしま〜す」
順番来た。
門番の小父ちゃんに一礼してから、冒険者組合員証を渡す。
組合員証見て、何かを記帳しながら、門番さんが話しかけてきた。
「お、故国に帰るのかい?」
「国……?」
「あれ? 『根の国』って知らない ?? 」
「すんません、僕異人でして」
「そうかい、そりゃあ失礼した」
根の国、か〜。名前的に、地底の王国とかやろか……?
とか思とったら、門番さんが門の外指差しながら付け足しよってや。
「あの森の中に、『地下の国への入り口がある』って噂があってね」
「マジっすか !? 」
「見たことないから分かんないけどね……時間あったら探してみて。あと組合員証返すね」
「分かりました。ありがとうございます!」
「どういたしまして。 ……問題なし、通ってよし! 次 !! 」
地下の国、ホンマにあるんか〜。
ん? ほな……
―――――
『 【種族スタート】ミニゴブリン専用のスタート地点(根の国・????)から開始 』
―――――
てこと?
いや、知らんけど。
ふ~ん、楽しみやな〜……
◇
門の外へ出たら、目の前は草原や。
「びすびす!」
「【火の破魔ぷべらっ!」
「ジョーン !! ……おのれ、ジョンの仇! フンッ !! 」
「びすぅ……」
何組かの異人と彩り豊かな兎らが、戯れ合うとる(?)
で、草原の奥に森があって、あとは青空が見える。日陰は……森までなさそうやな。
あと、街道の石畳とか、特に見当たらん。
つまりこの先、街とか大きい村はないみたいや。
……とか考えながら右へ曲がって、土手沿いを十数秒歩く。
着いたとこで戦闘準備。今日は人類最古の武器:石で行こか〜。
「……これを『いつも通り』と言う」
「ふす?」
……いや待てよ? 門の真正面ぐらいで、森を出入りする人おってやな。
で、そこと門の間に、ぽつぽつ地面剥き出しの所もある。
道になるぐらい、人通りはあるんやな〜……
「バウ! バウバウ !! 」
「あ! あれは一昨日の……」
……ん !? 後ろから聞き覚えのある声が。
振り返ったら、茶狼4頭を連れた女性2人が、こっちに走ってきよるんが見える。
「悪徳ゴブリンめ! 今度は逃がさないわよ !! 」
「……はい !? 」
うわァ、一昨日の人らや……
あ゛〜゛、 も゛〜゛ッ゛!! 何 な ん 今 日 !!?
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は1/20(火)頃の予定です。狼に何するの……?
ジンジュくん、進化してから悪戯好き()が目立ってきましたね。
進化とは?
【追記】一部修正しました
(2026/02/01)




