044. まだ釣るんかい! んで釣れるんかい !!
◇
ジンジュです。
イース川のヌシらしき巨大鯰を、皆で倒したとこです。
異常に強かった気ぃするんやけど、気のせい? 「皆」が多すぎたらこうなる、とかあるんかな〜……あっ通知。
《「ジャイアント・キャットフィッシュ(♀)」1尾を討伐しました。以下の条件が満たされています》
《〈土魔法〉がLv.3になりました》
《従者「とがの」の〈体力強化〉がLv.5になりました》
《従者「はっさく」の〈危機察知〉〈精神強化〉両スキルのレベルが上がりました》
あ〜、まぁそんなもんか〜。俺ととがのはあんま戦ってないし。
「ふすぇ~……」
「きゅいきゅい」
んで、また臭いを気にする牛柄の兎を、宥めるスライム。
自分も臭うかも? とか思たんか、いっつもより数cm距離がある。
「せやせや、【洗浄】」
「あ〜ありがと〜」
で、いっつも通りえすとに綺麗にしてもろて。
ほな、今日はこんなもんか〜?
「きゅ! きゅきゅ」
「おー、鯰の肉分けてもろたんか」
「「きゅえ〜い」」
白身の肉持って話しかけるスライムら。リーダー格のブンタンと、ポンカン・デコポンの3匹。
相手は神官エルフと橙色の鼠。
彼らがこっち向いて。
「……要る?」
「ふす……」
「No, Thank you. 」
「さよかー。ボーゼは?」
とがのがドン引きしとるから、断っとく。
次に聞かれたボーゼは……
「お、ほな貰とこ」
「ぴす !!? 」
「きゅう !? 」
2つ返事やった。
で、嫌がって暴れだした黒い兎に、スライムが驚いたとこ。
「ぴすぴす、ぴすぇー!」
「おうおう落ち着け。どうどう」
そんで、青紫色のスライムは……
「「「きゅや、きゅやきゅやー!」」」
「きゅお〜」
触手振りながら去による野良イムらに、触手振り返しとった。
安定のマイペース……いや、お礼だけでも言うとこ。
「ありがと〜ね〜!」
「元気でなー!」
「「きゅよきゅよ!」」
伝わったやろか? やったらええな〜……
にしても、あれやな。何十匹ものスライムが触手振っとんのに、こんな可愛らしく見えるもんなんやな〜。
何でやろ。一昨日の街中と違て、動きバラバラやからか……?
◇
「で、この後はー?」
「もう1回釣らせて」
「「マジかぁ……」」
「ぴすぇ……」
てなわけで、土手の上戻って。
ボーゼが慣れた手つきで餌つけて、釣り糸垂らしてから7秒。
ぐわんぐいーん、みたいな感じで、釣り竿が暴れだした。
「「えっ早 !? 」」
「あれ ?? もう ??? 」
ボーゼ本人すら目ぇひん剥いとる。
「あっ軽い軽い、いけるいける!」
「「さっきの巨大鯰基準にすな」」
一気にリールを巻くボーゼ。そのうち水中に、黒っぽい影が見えてきて……また丸いな?
んで、上がったんは……
「……きゅぬぅ?」
おっとりした雰囲気かつ、藍色のスライムやった。
……一応、大盾を用意。
「チッ、ハズレか」
「【噴水】ー……」
「ごべ !? がばば !! 」
ボーゼが失言した瞬間、水鉄砲食ろてひっくり返った。
大きい公園の噴水みたいな、洒落にならん勢いや。
で、それ見た♀陣の対応が、綺麗に分かれとる。
「ぴすぴずずずず」
すぐ駆け寄った黒兎は、水鉄砲に巻き込まれとる。
「きゅおー?」
彼らをガン無視して、藍ライムさん(仮称)の話を聞こうとする青紫。
「きゅう! きゅうきゅう !! 」
「けほけほ、ぴすぅ……」
とりあえずレティシアだけ助けてから、「もうやめて!」て言うとるらしい水色。
「……ふす」
自分の主と弟分の無事を確かめて、狸寝入りを決め込むとがの。
「いや起きとけや」
「きゅいきゅい」
「ふす〜……」
この子割と神経質やのに、変なとこで図太さ見せてくるんよな〜。
……あれ? よぉ考えたら、ボーゼが動けんなっとる時が多いような……
気のせい ??
◇
要らんこと考えとったら、藍ライムさん(仮称)の水鉄砲が終わっとる。
彼(?)は自力で釣り針外して、土手に着地した。
「きゅお! きゅおきゅお」
「きゅぬ〜」
「きゅきゅう?」
しかももう、あまなつ・こなつと打ち解けとる。早〜……
「ぴすぴすぅ……」
「おいおい落ち着け、どうどう」
ただし約1匹、地団駄踏むみたいに威嚇しとる黒兎もおる。
ボーゼがそのご機嫌取りよる。
「ふす……」
「チュピ……」
とがのと橙色の鼠も、そのご機嫌取りに加わった。
あ、そっか。通知来てないよな。《「◯◯スライム」と交戦中です》みたいなやつ。
ほな、仲良うなってもおかしないんか〜……
……ん !? ここで1つ疑問が。
「……はっさく、あの子【鑑定】してええと思う?」
「きゅい〜……?」
頭の上に、触手で「?」みたいな形を作るはっさく。器用やな〜。
……いや違う違う、本人(?)に聞かな分からんねんな。
んで、はっさくが跳ねていく。
ここでスライム女子会(?)に突っ込めるお前は凄い。ホンマ凄いわ……
「きゅきゅい〜?」
「きゅう?」
「きゅいきゅい、きゅきゅいきゅい」
「きゅう、きゅきゅう?」
「きゅぬ〜」
あと、はっさくが混ざった途端、置物と化すこなつ。なんかスマン……
「きゅきゅい、きゅい」
「ぬ〜、【鑑定】〜」
なんかこっち指差したな……ん !? 通知?
《「レッサー・スワンプスライム(♀)」があなたを【鑑定】しようとしています。許可しますか?
▶️はい いいえ 》
おぉ、ご丁寧にどうも。「はい」で。
《【鑑定】を許可しました》
《「はっさく」の〈水鉄砲〉が開放されました。SP:3で取得できます》
“swamp”て英語で「沼」やっけ……いや早ぁい。
あっ、一瞬寒気が……
「きゅぬ! きゅぬきゅぬ〜」
「きゅう、きゅうきゅう!」
「きゅいきゅい〜」
「きゅお? 【鑑定】〜」
喜んでもろたみたいで何より。ほな……
ん゛ん゛??
《「こなつ」があなたを【鑑定】しようとしています。許可しますか?》
「「【鑑定】〜い!」」
ん゛ん゛ん゛???
《「ポンカン」「デコポン」があなたを【鑑定】しようとしています。許可しますか?》
まとめて「いいえ」で。理由?
「お前らは! 街戻ってからでええやろ !! 」
「「「きゅえー……」」」
「は? 何や何やー ?? 」
急にデカめの声出したから、えすとに怪しまれとる。
「実は斯々然々で〜」
「ヘムヘム」
「マル・マル・モリ・モリ! 」
「そうはならんやろー」
「お前もな〜?」
ネタはさておき、一連の通知を見せる。えすとと、後から来たボーゼにも。
「マジかー、【鑑定】の許可取りとか出来たんや……」
「あぁせや、掲示板の従魔界隈でそんなん見たなぁ。完っ全忘せとった」
「あ〜、やっぱもうあるんや」
新発見ならず、ヨシ!
◆
え〜、毎度のお運びで。
人間、
「偉大な新発見」
とか簡単に言いやすが。実のところ新発見なんてなぁ、まぁ〜難しいもんでございやして。
「これ新発見じゃね?」
てぇ言われるもんの9割は、ただの再確認で終わっちまいやすね。
だからこそ、新発見てなぁ偉大なんですが。うっかりそんなの見つけた日にゃあ、まぁ〜エラい目に遭うもんです。
私みてぇな面倒臭がり屋にゃあ、そんなの耐えられねぇ! てなもんで。
普通に生きていきてぇや……ダメかい?
まぁ要は、
「新発見する奴ぁ、色んな意味で偉えや」
て話でごぜぇやす。
◇
「ま〜た要らんこと考えた! 俺はいつもそうだ。誰も俺を愛さn」
「「ひょっとしてギャグで言っているな?」」
「はい!」
「「はいじゃないが」」
とか言うとるうちに、とがのとはっさくが戻ってきた。
黒兎は落ち着いた。藍ライム(仮称)の許可も取れた。
ほな、お待たせしました〜!
「【鑑定】〜い」
―――――
レッサー・スワンプスライム(♀) Lv.24
(分類)魔物/??型
自然界の掃除屋。雑食。
待ち伏せの達人、ならぬ達スライム。沼地や水底に隠れて、獲物を狙う。
HP:98% MP:79%
―――――
わ〜強そう![交戦中]にならんでよかった〜 !!
んで、水辺行く時は気ぃつけなアカンやつか。覚えとこ、テストに出ぇへんけど。
あと、「達スライム」て何なん? 変な日本語拵えるな……。
「あ、ありがとうねぇ〜」
「きゅぬきゅぬ〜」
お礼言うて頭下げたら、触手振ってくれとる。
大人しいスライム、ええよな……。
どこぞのチャームスライムは見習え。アッッホみたいに汚い粉撒きよって……!
で、ボーゼのほう見たら、収納袋広げよる。
「何や、もう帰るん〜? ちょっと濡れたぐらいで」
「あ゛ァ゛? お前も水鉄砲食ろてみぃや !? 」
全力で断る! ……とか思いながら、釣り糸から針外すん手伝うたりした。
◇
ちょうど片付け終わったあたりで、斜め後ろから日の光が射してった。
茜色の空……とまではいかんけど、もう夕方やな。
土手の上から草原を見回してみる。
あんなにおったスライムが、数グループ十数匹まで減っとる。どこ行ったんやろな?
代わりに馬がちょっと増えて、残った空間を兎が埋めとった。
「ブルヒヒ〜ン!」
「グワーッ !? 」
あと、それらに襲いかかったり、返り討ちにされたりしとる異人もちらほら。
街道の通行人も増えて、ちょっと賑やかやな。
「ふんす!」
「きゅぬ〜?」
「「きゅえ〜い !! 」」
その全てを無視して。
藍ライムとウチのスライム・兎らは盛り上がっとった。
「お取り込み中すまんけど、そろそろ撤収してええか?」
「「「きゅえーい」」」
でもボーゼが聞いたら、すぐ切り替えてくるんよな。賢〜……
「ほな、今日はこの辺にしといたるコ!」
「「あ〜い」」
ほな撤収〜! てわけで、土手道を来たほうへ戻る。
「きゅう、きゅうきゅう!」
「きゅぬ〜!」
藍ライム(仮称)と、一番仲良うなったっぽいあまなつが、お互いに触手振っとる。
俺らが街道に戻って、土手下りて見えへんなるまでやっとった。
元気でな〜……
◇
釣りしとった土手道から、歩いて40分ちょい。イース市の「東総門」まで戻ってきた。
街と農地を覆う土手の、出入り口や。
んで、街道は賑わっとる。てことは……
はい、検問待ちで〜す。
「おー? 今やったら【鑑定】してええん違う?」
「きゅおきゅお !? 【鑑定】〜!」
「静かに。よそ様に迷惑かけんようにな〜」
「「きゅえーい」」
こうして、暇潰しにコソコソお互いを【鑑定】し合う、謎の一団になりました。
《「こなつ」があなたを【鑑定】しようとしています。許可しますか?》
《「ポンカン」「デコポン」があなたを【鑑定】しようとしています……》
………
……
…
え〜と、兎はデータあるよな?
……せやせや、レティシアさん【鑑定】さしてもろた。3日前か。
で。ボーゼとえすとは、本人のデータ見せてもろたほうが確実や。
ほなあと、お願いすべきは……
◇
はい。てなわけで、結果発表〜 !!
―――――
ダイス Lv.10
マウス(♂) 盗賊
(分類)魔物/動物型
小型の鼠。雑食。
朝夕活発になり、薄暗い場所を好む。小柄ですばしっこく、捕らえるのは難しい。
HP:98% MP:100%
―――――
こなつ Lv.10
レッサー・カーススライム(♀) 魔法使い
(分類)魔物/??型
自然界の掃除屋。雑食。
水と薄暗い場所を好む。個体数は少ないが、広範囲に定着している。また、闇魔法に優れ、呪詛への耐性を持つ。
HP:99% MP:95%
―――――
はっさく Lv.11
スライム(♂) 魔法使い
(分類)魔物/??型
自然界の掃除屋。雑食。
水と光を好み、適応力が高い。明るい森林でよく見られるが、水辺を中心に都市・平原などにも定着している。
HP:99% MP:96%
―――――
だそうです。ありがとうねぇ。
ゆっくり読んだろ……て思てんけど。もう次やな、俺らの検問。
あとでじっくり読も〜。
◇
検問済ませて、冒険者組合行って。
《日刊クエスト「複数の魔物を狩ろう!」をクリアしました。クリアボーナス:5マニを獲得》
《所持金残高:208マニ》
今日はもう解散かな〜……て思とったら、ボーゼが一言。
「明日知り合いに呼ばれとってな、向こうの大陸まで渡海チャレンジすんねんけど。来る?」
「「パスで」」
「チッ、薄情者ぉ……」
悪態ついとるけど、まあ想定内……て顔しとる。
「え〜だってさ〜、それ『人類に海は早すぎたんや……』のやつやろ?」
「「黙れ人外レベル10」」
やっぱりな。ツッコミありがと〜。
「そらスマン。けど『異人初! への挑戦』に、俺みたいな初心者混ざったって、足引っ張るだけ違うんけ〜?」
「まぁ、そら否定できんな」
「やろ〜! せめてえすとぐらい上手ないと」
「いやいやいや! あの顔ぶれに混ざるとか、畏れ多いわー」
よぉ知らんけど、えすとでもキツいやつやった。
「あと教会関係のお仕事、ちょーっと溜めてもとってさー」
「オ〜、生臭坊主……」
「オ゛エ゛ッ゛」
「やめろー!」
ネタはおいといて。ほな初めての一人旅か〜……
楽しみにしとこ。
「で、明後日どう?」
「俺は大丈夫〜」
「あ、午前中部活でーす」
「さよか。ほな昼の2時からでええか」
「「了解」」
「「「ほなまた〜」」」
お読みいただき、ありがとうございます!
あとブクマ・リアクション等、大変励みになりました。ホンマおおきに〜 m(_ _)m
次回更新は年明け、1/10(土)頃の予定です。ジンジュくん、初の一人旅……?
というわけで、引き続き『かんぶい』をお楽しみいただければ幸いです。
それでは皆さん、よいお年を〜!!
【追記】一部加筆しました
(2025/12/30)
――【おまけ】ジンジュくんの現状――
ジンジュ Lv.10
種族:ゴブリン (小鬼/下位鬼族) 男
属性:土
職業:【正業】冒険者(闘士) 【副業】―
所持金:208マニ
SP:2
HP:100%
MP:100%
状態:正常
スキル:8
〈鈍器 Lv.7〉〈防御 Lv.4〉〈受け流し Lv.4〉〈火魔法 Lv.4〉
〈生活魔法 Lv.6〉〈従魔法 Lv.6〉〈解体 Lv.4〉〈鑑定 Lv.1〉
(控え:6)
〈危機察知 Lv.3〉〈下剋上 Lv.5〉〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.4〉
〈敏捷強化 Lv.3〉〈人類共通語 Lv.1〉
(種族:4)
〈投石 Lv.3〉〈土魔法 Lv.2〉〈採取 Lv.1〉〈小鬼〉
称号:5
〈駆けだしの冒険者〉
住民からの信頼度が微増する。
〈副神シトリーの祝福〉
幸運のステータス値が微増する。
また、知力と精神の取得経験値が微増する。
〈大物どもを喰らいし者〉
人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。
〈生還者〉
HPが0になる攻撃を受けた際、HP残り1%で耐える確率を微増させる。
〈毛玉の主〉
物理攻撃の被ダメージが微減する。
(控え:4)
〈邪道〉
現在は無効。相手への急所・弱点攻撃の与ダメージが微増する。
〈処刑人〉
現在は無効。急所攻撃の命中率が微増する。
〈水玉の主〉
現在は無効。物理攻撃、および水属性の被ダメージが微減する。
〈地下墓地の踏破者〉
記念称号。異人で初めて、「アインツ北郊・忘れられし地下墓地」を踏破した。
従者:2名(定数2/〈従魔法〉)
とがの Lv.11
ラビット(兎/下位兎族) ♀
HP:100% MP:―
はっさく Lv.11
スライム(下位粘体族) ♂
HP:100% MP:100%




