042. 俺らと、初の釣果(?) ※いのちだいじに!
改めまして、ブクマ・リアクション等ありがとうございます!
◇
こんにちは、ジンジュです。
友達2人と魚釣りに来ました。スライムらを連れて、イース川の土手道におります。
釣り好きなボーゼが、ちゃんと3人分の釣り竿を用意してくれてます。
まあ本人は、
「お古と今のんと予備、以上」
と言ってますが。問題はそこじゃないんです。
竿持ってるのが、狼獣人と2匹のスライムなんですよ。
「きゅえー?」
「きゅえー……」
「「きゅえーい!」」
で、俺は小鬼、もう1人の友達は森人です。これが問題。
興味持てや、ってね。
……いや他人事かッ !!
◇
「きゅゆー! きゅゆきゅきゅゆきゅゆゆーッ !! 」
濃ゆ〜い桃色の「チャームスライム」が、イース川を渡りきり、土手の向こうに消えた。
「ハハハ、元気やな」
「ほんまそれ〜」
「まー、俺らは俺らのやることやろかー」
「「せやな〜」」
何やかや言いながら見届けた俺らは、魚釣りの準備に取りかかる。
あ、お天気? 一旦雨止んで、薄曇り。
「ん〜、晴れて来ぇへんか。水溜まり邪魔やな〜……」
「止まない雨はない。だが今晴れるとも言ってない」
「「誰じゃお前?」」
格好つけたえすとに一言。ほんでボーゼが付け足す。
「まぁええやん。晴れたら晴れたで暑いし」
「せやなー、リアルよりマシやけど」
「あ〜せやった、俺1回日焼けで死んだな……」
「「変な死に方しよって……」」
閑話休題。
◇
ほな準備。
まずはボーゼが、要る物全部出して、足元に並べよる。
釣り竿、釣り針、擬似餌、バケツ、ほんでクーラーボックスに、タッパーウェア3つ。あと折り畳み式の椅子と、魚図鑑に料理本……
「釣らぬ魚の皮算よ……」
「あ゛?」
「いや〜、何でもねぇっす」
……多い。とにかく物が多い。収納袋がみるみる萎んどる。
「これさ〜、1個ずつ詰めて並べたら、土手道の幅いっぱい埋まらへん?」
「埋まる埋まる。やから何? て話やけど」
「いや〜、思ただけ……」
「さよか」
思いつきで変なこと聞いた。反省……
「タッパー何入れとんのー?」
「生き餌と〆た魚。色々試したろ思てな」
「おぉー、蠢いとるー……1匹貰い」
「お、ほな俺も〜」
えすとの疑問に、ボーゼがタッパー開けながら答える。1個開いたその中で、ミミズがぬろぬろ屯しとった。閲覧注意……
見とって気分のええもんやないよな〜。
けど、離れて見とっても仕方ないからな。1匹摘んで釣り針へ……
なむなむ……
……あ、顔は可愛いな。絵本とかに出てきそう。罪悪感増すからやめて。
で、蓋閉めながら、ボーゼが付け足す。
「あとは鯖の切り身と鰯」
「「へえ~……」」
よぉ分からんけど、とりあえず目的の“主”は肉食魚らしい。
◇
椅子並べた。釣り竿立てた。あとは待つだけ……
「ほな俺寝るから。おやすみー」
「『おやすみー』違うねん、せめてあっちで寝ぇや」
土手道を塞ぐかのように寝っ転がるえすと……に、ボーゼは斜面指してツッコむだけ。
ほな悪戯したろ〜 !!
「ぬ゛ぉ゛わ゛ぁ゛ー !!? 何すんねん !?? 」
「寝耳にミミズ〜」
「加減せえ! まずは“寝耳に水”やろ !? 」
「え〜、そっち?」
「こンの……自分でやっといてー……!」
ドーモ、皆=サン。精神クソガキです。他意はない。
あと、ミミズはタッパーにお帰りいただきます。ご安心ください。
……いや、その前に。ボーゼに確認。
「こいつ【鑑定】してええ〜?」
「そらもう遠慮無う……出たな収集癖」
よっしゃ~、ほな早速……
―――――
プリティーワーム(♂) Lv.2
(分類)魔物/虫型
北の大陸で最も一般的なミミズ。雑食。
小型だがよく食べる、地の掃除屋である。乾燥に弱い。
HP:99% MP:−
―――――
ふ〜ん……?
「まず“可愛い”とは、何か……」
「哲学?」
「おー? 何や急に」
「いやこれ見て〜」
2人に【鑑定】結果を見せる。
見るなり、ボーゼが一言。
「おぉそうか、お前ら可愛かったんやな……ってなるか!」
「「急にノリツッコミ」」
ま〜、顔と名前いじった所で、ミミズはミミズやし。合掌……
「おぉ忘せとった! ジンジュ、〈土魔法〉取っとる?」
「取ってない。今要る感じ〜?」
「せやな、取れたら取っといて。魚によぉ効く」
「了解」
ボーゼに言われた通り……え〜と土魔法、土魔法ね。
《〈土魔法〉を取得しました。残りSP:2 》
◇
さて。
人生初の釣り(ゲームやけど)、飽きた……
やから今、はっさくの【調合】を見学しとる。
えすとに知恵と道具借りながら、作業しとるんを、な……
「きゅい〜?」
「そーそー。 ……おぉ一発か、上手いなお前」
「きゅいきゅい」
初級HP回復薬を作るらしい。
透明な小皿に何か入れて、細長い棒で混ぜとる。
んで、うちの子褒められて嬉しい。これが親バk……いや何でもないです。
あと、素直に褒めてええんも嬉しい。とがのは見習え。
「くあ〜……ふす?」
椅子の上で丸まって寝とった、牛柄の兎本人はさておき。
てか、欠伸とか呑気やな……
「きゅい、きゅい〜きゅい?」
「そーそー。いー、いこーる、えむしーのにじょー……や」
「いや何教せとんねん」
E=mc2 ――クソッ、“2”が小っちゃならへん――て、物理やんな?
今関係ないよな ?? ボーゼさん、解説のほう……
「すぅぅ、すぅぅ……」
「あ゛〜゛…… 寝゛と゛る゛!! 」
何ということでしょう。そこには椅子に腰掛けたまま、首を90度に傾げて動かん彼の姿が……
「おいおい、首いわすぞー……」
反対側の肩叩きながら、えすとが呼びかける。
反応はない。
「首を痛めるぞ」
「首を殴るぞ」
両方の意味で言うたん分かっとるんは、本人と俺だけらしい。
◇
起きて来ぇへんヤツは仕方ない、放っとこ。
回復薬作り、ここからが一番の難関なんやて。はっさくがシャーレと三角フラスコ並べて、にらめっこしとる。
「きゅきゅい〜?」
「そーそー。入れて、光りだしたらすぐ……やで」
「きゅい!」
はっさくがシャーレの液体を、三角フラスコに注ぐ。中の液体と混ざった所から、なんか青く光りだした。
それを確認した彼は、フラスコにマドラー突っ込んでかき混ぜよる。
あと、視界の端でも何か光ったな〜?
……とか思た時には、遅かった。
次の瞬間、視界のほぼ下半分が真っ赤っかになって。
「イツニッ三、田ァッ!」
て、小父さんの声も聞こえた。
誰やそれ〜?
んで、光った辺りから何か飛んできた。白っぽくて細長い何かが、猛スピードで!
……魚 !?
「ふすぇあッ !! 」
「きゅい? ……きゅい!」
それをとがのが、容赦なく蹴り上げる。
さらにはっさくが、3本目の触手を伸ばして、地面に叩きつけた。
「お見事ぉあぁーッ !? 」
「えっ何〜……ん゛き゛ょ゛あ゛ッ゛!? 」
押さえつけられてなお、ビチビチ藻掻いとるそれ見て、俺らは仰け反った。
秋刀魚みたいに細長い銀色の体から、長く突き出す上下の顎。その顎に数十本生えとる、鋭い歯。
デビルフィッシュより、よっぽど悪魔っぽく見えるわ〜。
《「リバー・ニードルフィッシュ(♂)」1尾と交戦中です》
「“Needle fish”ぅ !? ダツやんけそれ! 何でや、何で海の魚がこんな所おんねん !!? 」
「落ち着け、まずは“CRITICAL”貰お」
「……そっか、了解。ほな……【土の魔球】、【鑑定】、【テイム】!」
戦闘狂の助言で、何とか落ち着けた。お早うございました。
とりあえずダツの目狙て、土魔法放ってみる。
黄色い光の玉が、ダツの顔面にぶつかった。
あ、【鑑定】結果はあとで。まずは討ち取ってくれる〜ッ!
―――――
リバー・ニードルフィッシュ(♂) Lv.23 [交戦中]
(分類)魔物/魚型
淡水に適応したダツ。肉食魚。
小魚の腹など、光るものに反応して突進する。鋭く尖った顎と歯に要注意。
HP:34% MP:72%
―――――
《「リバー・ニードルフィッシュ(♂)」の【テイム】に失敗しました》
……おぉ、ビッチビチ暴れとんな〜。効いとる効いとる。
いや、【テイム】は失敗したけど、想定内。挑発出来たしな〜。
んで、ダツのHP、じわじわ減りよる。こっちが何もせんでも。
水から出とるだけでダメージ食らう、とかあるんかな〜?
あ、土魔法はよぉ〜効いた。一発で3割分削れたで。
とはいえ、まともに戦うんは面倒くさい。
もう短刀と石でええか。大盾は椅子に立てかけて、右手に短刀、左手に石1個装備して〜……
あの鋭い顎を石で押さえながら、鰓に刃ぁ突っ込む。
「ぅおわっち !? 」
右手に霧吹きしたみたいに、白く光るサイコロが飛び散って……「CRITICAL!」、頂きました。
なむなむ……
《「リバー・ニードルフィッシュ(♂)」1尾を討伐しました。以下の条件が満たされています》
《〈土魔法〉〈生活魔法〉〈従魔法〉〈解体〉〈危機察知〉〈下剋上〉以上6スキルのレベルが上がりました》
《従者「とがの」がLv.11になりました》
《「とがの」の〈蹴り〉〈危機察知〉〈下剋上〉〈敏捷強化〉以上4スキルのレベルが上がりました》
《従者「はっさく」が「初級HP回復薬」200mlを完成させました》
《「はっさく」の〈調合〉がLv.5になりました。【味付け初級HP回復薬のレシピ】等、3つの新レシピを取得》
《以下のアイテムを入手しました。
・リバー・ニードルフィッシュの肉(小) ×2
・リバー・ニードルフィッシュの骨(小)
・リバー・ニードルフィッシュの頭部(小)
・リバー・ニードルフィッシュの魔石(微小)》
あ〜、また仰山通知来た。読む気失せる……。
いや、違うねん。〈下剋上〉の反動でしんどいんすよ。
すっかり忘せとった……
んで、とがのとはっさく見たら、ダツに手ぇ合わせとった。
まな板の上で、お頭と魔石と三枚下ろしになっとるダツに。
ちょお待て。
あなたのまな板は、どこから……?
いや、ありがたいけどさ……
「ふす? ふんっっす !! 」
「きゅい〜? 【鑑定】」
終わった途端、とがのが騒ぎ出す。ダツ蹴り上げた右脚の、臭いが気になるらしい。
はっさくのほうは、ダツを【鑑定】しよる。
んで、【形態模写】……
「いや何しとんねん!」
「きゅいきゅい」
スライムの軟な体で、ダツを再現しようとすると崩れる。重力に負けて、顎も尻尾も地面にペタン、て……
「【洗浄】」
「お、ありがと〜」
「ふすふす!」
とか思とったら、えすとが魔法できれいにしてくれた。
ありがとう。混沌や……
さ〜て、どっからツッコんだろかな〜 ???
◇
まずは回復か。
で、昨日見た【所持品一覧】の一番下に、
―――――
・初級HP回復薬(100ml) ×5
・初級MP回復薬(100ml) ×5
―――――
とかいうんが埋もれとった。
「初心者向けで効果も知れとる。早よ使てまえ」
て物らしい。
知らなんだ、先言うてぇな……
で、HPは大丈夫そうやから、MPのを早速。
「いただきま〜す……うわ苦」
「ふす……」
「きゅい……」
とがのとはっさくにも1本ずつ、やねんけど……渋い顔しとんな〜。
味はグレープフルーツのジュースに近い。けど、甘さと苦さ、酸っぱさがバラバラに来る。
“方向性の違い”で喧嘩でもしとんか? てレベル。
◇
次に質問です。ダツの下の、白いまな板。
「これ誰のん〜?」
「さぁー? ボーゼ違うん ?? 」
「え、俺の木やぞ? こんなん知らんわ」
……マジすか?
「祟〜り〜じゃあ〜 !! 」
「落ち着け、てか何でそんな声出せるんお前」
「まぁこう、口の奥広げて、大声出したら~」
「待てー、何の話しとんねん?」
「すまん聞いた俺がアホやった」
「酷〜い」
……アカンアカン、話逸れた。
「で〜、これどないしよ……?」
「放っとけ。別に要らんねやろ?」
「同感やなー」
ん〜……。
まぁ黙って持って帰るよりは、置いとくほうがええ……やろけど。
魚だけ回収して放ったらかすんもな〜、何か、な〜……
お礼しとこ。
「どこのどなたか存じませんが、ありがとうございます。こちらはお納めください」
とりあえず、ダツの切り身――「リバー・ニードルフィッシュの肉(小)」――の片方を、まな板の上に残しといた。
正解とか知らん。あるんやったら、誰か教えて……
「きゅえー?」
「きゅえー……!」
「きゅお! きゅおきゅお !! 」
……とか思とったら、釣り竿見とったスライムらが騒ぎ出した。
「お? ……うお来た! こらデカいど !! 」
「嘘ぉー !? 釣り竿、こんな揺れるん
?? 」
「ホンマやな〜、初めて見た……」
竿がぐいぐい引っ張られて撓っとる。魚釣るどころか、こっちが引きずり込まれそう……
それ見て喜ぶボーゼは、やっぱ漁師の息子……て感じ。
俺ら? 俺らは“町の子”です、はい。
それより、何が掛かったんやろ。
ヌシやろか? それとも、別の大物やろか――――
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
都合により、また1か月お休みをいただきます。次回更新は12/20(土)頃の予定です。
異様なヌシの威容……
※少なくとも、ジンジュとえすとっきゅーは「E=mc2」の意味を分かってないと思われます(敬称略)
書いてる私が分かってないので……()
【追記】一部修正しました
(2025/12/29)
――【おまけ】ジンジュくんの現状――
ジンジュ Lv.10
種族:ゴブリン (小鬼/下位鬼族) 男
属性:土
職業:【正業】冒険者(闘士) 【副業】―
所持金:405マニ
SP:2
HP:98%
MP:100%
状態:正常
スキル:8
〈鈍器 Lv.7〉〈防御 Lv.4〉〈受け流し Lv.4〉〈火魔法 Lv.4〉
〈生活魔法 Lv.6〉〈従魔法 Lv.6〉〈解体 Lv.4〉〈鑑定 Lv.1〉
(控え:6)
〈危機察知 Lv.3〉〈下剋上 Lv.5〉〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.4〉
〈敏捷強化 Lv.3〉〈人類共通語 Lv.1〉
(種族:4)
〈投石 Lv.3〉〈土魔法 Lv.2〉〈採取 Lv.1〉〈小鬼〉
称号:5
〈駆けだしの冒険者〉
住民からの信頼度が微増する。
〈副神シトリーの祝福〉
幸運のステータス値が微増する。
また、知力と精神の取得経験値が微増する。
〈大物どもを喰らいし者〉
人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。
〈生還者〉
HPが0になる攻撃を受けた際、HP残り1%で耐える確率を微増させる。
〈毛玉の主〉
物理攻撃の被ダメージが微減する。
(控え:4)
〈邪道〉
現在は無効。相手への急所・弱点攻撃の与ダメージが微増する。
〈処刑人〉
現在は無効。急所攻撃の命中率が微増する。
〈水玉の主〉
現在は無効。物理攻撃、および水属性の被ダメージが微減する。
〈地下墓地の踏破者〉
記念称号。異人で初めて、「アインツ北郊・忘れられし地下墓地」を踏破した。
従者:2名(定数2/〈従魔法〉)
とがの Lv.11
ラビット(兎/下位兎族) ♀
HP:96% MP:―
はっさく Lv.11
スライム(下位粘体族) ♂
HP:93% MP:100%




